FORSE

巫夏希

33

ラインツェルとリーフガットはあの少女に出来る限り近付こうと、建物の瓦礫をうまく使い、気付かれないように歩いた。

「信じらんない……。13層の特殊装甲がいとも簡単に……」

ラインツェルはもはや建物のそれを為さない瓦礫を見て、言った。

「あれは仕方ないわよ……。だって誰も想像できないわよ? 50mを超す高さを誇る獣が襲いかかるなんて事態」

「そうね。……でも、何で急にこいつは出てきたの……?」

「それが解ったら苦労しないんだけどね。生憎こちとら戦力は皆無に等しいし、敵さんのデータが少しでもあれば弱点とか突き止められるんだけどね……」

「しかし、こんなことではかなり時間をくうのはちょっと悩みところ。まずは進んでみましょ」

「……そりゃそうね」

リーフガットとラインツェルはどことなく二人で決意を固め、更に奥へと向かった。





少女がいる中心へと向かおうとすると、蔦が進路を塞いで通れなくしていた。

「ちくしょう……。まるで迷路だな」

ラインツェルは蔦をもともと所持していた護身用ナイフで切っていた。

切れ味が悪いのか、蔦がしぶといのかは解らないが、蔦はとても固かった。

「にしても彼女、一体何者……? あんな高いとこにいてかつ裸だなんて……」

「今はそんなことを考えてる場合じゃないわ。……兎に角、あいつを何とかしないと……」

ラインツェルのナイフは震えていた。ラインツェル自身が力を込めているからだ。それが何の感情によるものなのか、よもや語る必要はないだろう。

リーフガットはそれを解っていたからこそ、彼女とともにあの異形の正体を突き止めようとしているのだから。

「ともかく……、あれが何か良からぬことをしようとしている。それは事実のはずよ。あの駭駭しい気配は魔物そのものだもの……」

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