FORSE
2
その頃、神殿協会。
「レイシャリオ。いよいよ、この時がきた」
廊下の吹き抜けから外を見ていた彼女に唐突に声がかかった。
声の主は白いローブに身を包んでいた。そして、とても小さい体だった。だが、それから出る波動(どちらかといえば、オーラに近いものがある)はレイシャリオのそれを凌駕していた。
波動は魔力に比例するもので、単純に言えば『魔力の強さ=波動の濃さ・強さ』となる。魔術の世界では図体の大きさで勝ち負けがほぼ予想出来ることなどない。魔力の強さ、波動の強さで決まるのだ。人間によってはその波動を示すだけで恐れ戦く人間だっているほどに。
「えぇ、そうですね」
だからこそ。レイシャリオはそれに逆らうことは出来ない。ただ従うままに返事をするだけだ。
「空白化計画もいよいよ佳境……。ということはついに“あれ”を使うときが来た、ということですね?」
「あぁ。オリジナルフォーズを、な。人類のデータを書き換え、無に帰す。……やっと、だ。ここまでどれほどの時間がかかったんだ。誰にも想像は出来ない」
人間は、語る。
「えぇ、そうですね」
そして、レイシャリオはその人間の名前を言った。
「……オール・アイ様」
だが、レイシャリオはこのオール・アイという人間をあまりよくは思わなかった。
そもそも、オール・アイは人間であるかどうかも怪しい。何せもう何万年も生きていて、その記憶を完璧な状態で記憶しているというのだ。まさに神の奇跡だろう。科学的に見れば、そんなことは有り得ないからである。
だが、これが誰にも疑われることなく神殿協会の『預言者』としていられるのには、理由がある。
彼、いや声色からみれば彼女なのだろうか、はこの後3000年の歴史を予見している。しかもそれが全て的中しているのだ。
神殿協会はもとは世界を救った神ドグの御言葉によって活動をしていくものであったが、それを名目に今やオール・アイを中心としたカルト宗教へと徐々に変化を遂げているのだった。
勿論、それを不快に思う人間もいる。従来の教えを守る、所謂『古参派』だ。しかし、古参派は最終的にはオール・アイ率いる新参派によって討伐されてしまった。
結果として、神殿協会の大多数が新参派、その残りは古参派だが、それを公表出来ずに新参派を名乗っている人間のみが残った。レイシャリオは後者だった。
だから、今や彼女に楯突こうとする人間はいない。居るとしたらそれはとんでもない馬鹿だろう、とレイシャリオは考えた。
「……さて、レイシャリオ。オリジナルフォーズの出撃許可を」
「オリジナルフォーズ……エヴァード……、出撃を許可します」
彼女が言った瞬間、淡い光が漏れた。
「レイシャリオ。いよいよ、この時がきた」
廊下の吹き抜けから外を見ていた彼女に唐突に声がかかった。
声の主は白いローブに身を包んでいた。そして、とても小さい体だった。だが、それから出る波動(どちらかといえば、オーラに近いものがある)はレイシャリオのそれを凌駕していた。
波動は魔力に比例するもので、単純に言えば『魔力の強さ=波動の濃さ・強さ』となる。魔術の世界では図体の大きさで勝ち負けがほぼ予想出来ることなどない。魔力の強さ、波動の強さで決まるのだ。人間によってはその波動を示すだけで恐れ戦く人間だっているほどに。
「えぇ、そうですね」
だからこそ。レイシャリオはそれに逆らうことは出来ない。ただ従うままに返事をするだけだ。
「空白化計画もいよいよ佳境……。ということはついに“あれ”を使うときが来た、ということですね?」
「あぁ。オリジナルフォーズを、な。人類のデータを書き換え、無に帰す。……やっと、だ。ここまでどれほどの時間がかかったんだ。誰にも想像は出来ない」
人間は、語る。
「えぇ、そうですね」
そして、レイシャリオはその人間の名前を言った。
「……オール・アイ様」
だが、レイシャリオはこのオール・アイという人間をあまりよくは思わなかった。
そもそも、オール・アイは人間であるかどうかも怪しい。何せもう何万年も生きていて、その記憶を完璧な状態で記憶しているというのだ。まさに神の奇跡だろう。科学的に見れば、そんなことは有り得ないからである。
だが、これが誰にも疑われることなく神殿協会の『預言者』としていられるのには、理由がある。
彼、いや声色からみれば彼女なのだろうか、はこの後3000年の歴史を予見している。しかもそれが全て的中しているのだ。
神殿協会はもとは世界を救った神ドグの御言葉によって活動をしていくものであったが、それを名目に今やオール・アイを中心としたカルト宗教へと徐々に変化を遂げているのだった。
勿論、それを不快に思う人間もいる。従来の教えを守る、所謂『古参派』だ。しかし、古参派は最終的にはオール・アイ率いる新参派によって討伐されてしまった。
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だから、今や彼女に楯突こうとする人間はいない。居るとしたらそれはとんでもない馬鹿だろう、とレイシャリオは考えた。
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彼女が言った瞬間、淡い光が漏れた。
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