FORSE

巫夏希

資本主義国と社会主義国において、違いは色々と存在する。

その代表的なものとして挙げられるのは『神』についてだ。

社会主義国の神は過去に生きた者として扱われ、それを人間が信仰していくのに対し、資本主義国の神は“実在する”。現在に生きている。そして、それを信仰していくのだ。

彼らは大神道会の《使徒》で、かつ今この世界に現出している神なのだ。


「問題はなんだ? また神殿協会とやらが何か起こしたのか?」

龍風は苛立ちながらも、発言をした。こう会議に嫌々ながらも出てくるのはやはり責任感があるからなのだろう。逆に言えば責任感のない神などここには来てないだろうし、使徒にすら選ばれていないはずだ。

「単刀直入に言おう。実は、神殿協会がここに攻め込んでくる。ここも泥沼の戦場になる、きっとだ」

水神はただ言った。

会議の場に緊張が走り、全ての雑音を無視出来る程の静けさがそこら中に広がった。

「神殿協会がか……? 理由は宗教の弾圧か?」

「いや、そうであるとは一言では言えないだろう。彼らは今ある預言者に操作されているらしい」

「預言者?」その言葉を聴いて一人の少女が耳を潜めた。

まだ年端もいかない少女だ。おかっぱ頭の彼女はここにはあまりにも似合わないはずであるのに、なぜかその違和感は感じられない。

木隠こがくれ、君なら知っているはずだ。預言者の名を。大分昔に戦ったとの報告を受けているからな」

「わたしは戦ったのではなく、その話をタイガノミコトから聞いただけなのだが……、まぁいい。そうだ。わたしは確かにその預言者の名前を知っている。たしか、そう」

「オール・アイだったな?」

木隠は笑いながら、言った。

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