FORSE

巫夏希

17

そして、そのころ。


「……これでいいんだろう? ……“オール・アイ”」


「ああ。もうなにも文句は言わないよ。ご苦労様だった」


オール・アイとレイシャリオは話をしていた。神々しい光が差し光る建物の中で、彼女らは話をしていた。


「ところで、この後はどうすればいいのでしょう?」


「エヴァードが“槍”を体内へ取り込めば完全なる存在へと昇華する。それまではシェルターにでも逃げ込んでいればいいだろう」


「……余裕なのね」


「なにが言いたい?」オール・アイは顔を見せずに、「私はただ“神から言われたこと”を伝えているだけですよ」


ただなにも知らぬ振りをして、彼女はただ水晶玉を見つめるだけだった。


「時に、どうだ? 様子は」


場所は変わり、闇の会議場。


「ライファウルの報告によればエヴァードは全ての準備を終え今ジャパニアへと向かっているとのことだ。あとは槍を取り込めば全てが終わる」


「槍は?」


「槍は、まだ来てはいない」


「……なんだと?」


「槍はまだ発掘が為されていないんだ」


「発掘されてない……。つまり見つかっていないというのか?」


「申し訳ない」


「申し訳ない、ですむのか!? このために我々は八千年もの時間をかけたのだ!! それが今更"発掘できていない"という一言で片づけられるのか?!」


「済まないと思っている。急ピッチで進めている。今日の深夜2時には発掘を完了し、槍は相手を求めてマッハ4の速さで飛ぶ。それまでの辛抱だ」


「じゃあ、それで大丈夫だな。任せたぞ?」


「あぁ。任せていろ」


そして、闇の会議場から声が消えた。

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