FORSE
20
「……つまり、ストライガー。お主の知り合いでいいのか?」
「えぇ。少し前にプログライトに私が行きましたよね。あの時助けてくれた方達ですよ」
ストライガーと木隠はサリドとグラムを他所に短い会話を交わした。
「……そうか。ならば申し訳なかった。……自己紹介をしておこうか」
木隠はそう言って小さい腕を胸に当てた。
「私は木隠。大神道会の“使徒”の一人だよ」
「……使徒?」
「おや、聞いたことがないかな? ならば八百万神は解るだろう?」
木隠の言葉にサリドは小さく頷く。
「解ればいい。少し話が長くなる」木隠は振り返り、「話はこの世界にジャパニア――当時はニッポンという国だったが、それが出来る時に遡る。全ての神、天照大神が神を創り、人を作った。そして人は文明を開化させ、独自の進化を遂げた。我々神も信仰の対象として人に崇められることとなった」
「だが、人は文明を進化させていくうちに気付いたのさ。『人は神に成り変われる唯一の存在』だとな。そんなことは有り得ない。神が人になる“堕天”はあるがな。……話がずれてしまったな。というわけだから神の方でも不信を抱くようになった。『信仰を抱かない人間を、神が守る意味はあるのか?』とな。それからは……血生臭い争いだ。神の力を操ろうとした組織、それと神を守るためにある組織との闘い。……結果として後者が勝った。そして神の力を悪用しようとする人間は居なくなった……はずなんだ。人間はその後爆発的な速度で人口を増やし続け、『人が人としていられる定員』を迎えてしまいそうだったのさ。それを迎えたらどうなると思う? 簡単だ。人が増えたとしてもそれは人じゃない。どこかしら抜けている人紛いのやつだ。あぁ、人じゃないんだよ。脳がない人間。頭がない人間。心臓だけしかない人間。それは様々だ。……あくまでも人間どもの試算だがな。そして、人間どもは考えた。『もし人として居られないなら、自分達が神に成り変わればいい』とな。そして旧時代は終焉した。彼らが神となったかは私には解らないがね」
サリドは木隠の話を時折、相槌を入れながら聞いていた。
「……そんなことがあったのか……? 旧時代に……!!」
話を聞き終えたサリドは思わず立ち上がった。
「……えぇ。だがこれは大多数の人間は知らない。すべて『はじまりの福音書』に書かれているものだ。だが我々はもともとそれを経験しているから読む必要はない」
「……木隠、と言いましたっけ」
サリドの言葉に木隠は頷く。
「神殿協会はいったい、何をしようとしているんですか……?」
「……恐らく神殿協会はオリジナルフォーズを……神の使い手を使って旧時代の人類を滅ぼそうとしているのかもしれない。もう冷凍保存でいた彼らは生き返っているからな」
「……彼らに逢わせてはくれないでしょうか?」
サリドは突然そんなことを言い出した。
「……別に構わんよ。君らはストライガーの仲間だ。ならば否定する理由などない」
そう言って木隠は振り返り歩き出した。ついてこい、ということだろうか。
とりあえずサリドたちは歩いていく木隠に着いていくことにした。
「えぇ。少し前にプログライトに私が行きましたよね。あの時助けてくれた方達ですよ」
ストライガーと木隠はサリドとグラムを他所に短い会話を交わした。
「……そうか。ならば申し訳なかった。……自己紹介をしておこうか」
木隠はそう言って小さい腕を胸に当てた。
「私は木隠。大神道会の“使徒”の一人だよ」
「……使徒?」
「おや、聞いたことがないかな? ならば八百万神は解るだろう?」
木隠の言葉にサリドは小さく頷く。
「解ればいい。少し話が長くなる」木隠は振り返り、「話はこの世界にジャパニア――当時はニッポンという国だったが、それが出来る時に遡る。全ての神、天照大神が神を創り、人を作った。そして人は文明を開化させ、独自の進化を遂げた。我々神も信仰の対象として人に崇められることとなった」
「だが、人は文明を進化させていくうちに気付いたのさ。『人は神に成り変われる唯一の存在』だとな。そんなことは有り得ない。神が人になる“堕天”はあるがな。……話がずれてしまったな。というわけだから神の方でも不信を抱くようになった。『信仰を抱かない人間を、神が守る意味はあるのか?』とな。それからは……血生臭い争いだ。神の力を操ろうとした組織、それと神を守るためにある組織との闘い。……結果として後者が勝った。そして神の力を悪用しようとする人間は居なくなった……はずなんだ。人間はその後爆発的な速度で人口を増やし続け、『人が人としていられる定員』を迎えてしまいそうだったのさ。それを迎えたらどうなると思う? 簡単だ。人が増えたとしてもそれは人じゃない。どこかしら抜けている人紛いのやつだ。あぁ、人じゃないんだよ。脳がない人間。頭がない人間。心臓だけしかない人間。それは様々だ。……あくまでも人間どもの試算だがな。そして、人間どもは考えた。『もし人として居られないなら、自分達が神に成り変わればいい』とな。そして旧時代は終焉した。彼らが神となったかは私には解らないがね」
サリドは木隠の話を時折、相槌を入れながら聞いていた。
「……そんなことがあったのか……? 旧時代に……!!」
話を聞き終えたサリドは思わず立ち上がった。
「……えぇ。だがこれは大多数の人間は知らない。すべて『はじまりの福音書』に書かれているものだ。だが我々はもともとそれを経験しているから読む必要はない」
「……木隠、と言いましたっけ」
サリドの言葉に木隠は頷く。
「神殿協会はいったい、何をしようとしているんですか……?」
「……恐らく神殿協会はオリジナルフォーズを……神の使い手を使って旧時代の人類を滅ぼそうとしているのかもしれない。もう冷凍保存でいた彼らは生き返っているからな」
「……彼らに逢わせてはくれないでしょうか?」
サリドは突然そんなことを言い出した。
「……別に構わんよ。君らはストライガーの仲間だ。ならば否定する理由などない」
そう言って木隠は振り返り歩き出した。ついてこい、ということだろうか。
とりあえずサリドたちは歩いていく木隠に着いていくことにした。
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