FORSE

巫夏希

26

オリジナルフォーズはそれを吸収した。

大きな雄叫びを上げ、それはふたたびゆっくりと進み始めた。

「……槍を吸収した……!! これは……!!」

修一は言葉を失った。

「おい!! どういうことだ、これは?!」

「君も見た通りだ」グラムの言葉に修一は答える。「オリジナルフォーズはさっきのままでは完全体じゃないんだ。オリジナルフォーズが不死身を表す『生命の実』の持ち主であるとすれば、槍はさっきも言ったが知能を示す『知恵の実』だ。これが融合してひとつとなった。何を意味するかは、解るな?」

「……ヤツは神になった、とでも言いたいのか……!!」グラムのかわりにサリドが忌々しくつぶやいた。







「……ハハハ。遂に『計画』は成し遂げた。オリジナルフォーズを神とした今、この世界を滅ぼすことももはや卵の殻を割るほどに容易!」

「……おい、オールアイ。今なんといった?」

「なんだ、レイシャリオ枢機卿。まだいたのか」オールアイは訝しげに呟いた。

「どういうことだ!! あれは神の使いであって神じゃないはずだ!! 私たちの信じる神があのような……」

「怪獣だ。アイツは神ではある。だがこの世界ではどう見ても怪獣でしかないのさ」

「そんなっ……!! 我々は怪獣を信仰していたというのか?!」

「怪獣とは言い方が悪い。あれがカミサマだ。君たちが何百年ものの間死物狂いで祈り、捧げ、神へ総てを打ち解けた、な」オールアイは口に笑みを含んで言った。

「どうだ、人間。苦しいか? 苦しいか? 私を恨むか?」

「……、」レイシャリオは何も言わない。

「だが、残念だ。恨むなら私でなくオリジナルフォーズを! 委員会を恨むといい!!」

そう言ってオールアイは足早に去っていった。



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