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FORSE

巫夏希

29

フランシスカは急いでヒュロルフタームから出る。

そしてサリドの方へ一直線に走っていく。

そして、

「サリドっ!!」

「えっ」

振り返ろうとして、サリドはフランシスカに抱きつかれた。

「?!」

抱きつかれたサリドは驚いて、フランシスカの顔を見ようとして、

「見ないで」

その声を聞いて、サリドは顔を見ないで、照れくさそうに笑って、頭を撫でた。

「……俺、狙ってたのに……」

嬉しいのか、悲しいのか、ともかくすすり泣きするグラムは、誰からも放置されていた。

「……ありがとう。あんたの気持ち伝わった」

「それじゃ……」

「返事は、これが終わってからにしてくれないかな。いろいろ整理したいんだ。ただ、これだけは言える」フランシスカはゆっくりと顔を上げ、

「私も大好きだ。サリド」

それを聞いてサリド、顔を赤らめて、言った。たった、一言を。

「ありがとう」

と、泣きながら彼は言った。

「……じゃあ、行くね」

フランシスカは名残惜しそうに、ヒュロルフタームへと戻っていった。

サリドはそれを見て、まだ泣いていた。

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