現世(うつしよ)と幻(うつつ)の世界で……
第69話、行き詰まり、悩む祐也は電話を掛けました。
しばらく悩んだ祐也は電話を掛ける。
「はい、もしもし?」
「あ、モルガーナさん。祐也です」
「あぁ、祐也‼大丈夫だったの?」
「えと、頭が時々痛むのですが、本宅に移ってから、先生や看護師さんや皆さんが、気を使ってくださって」
苦笑する。
「まぁ、良かったわ。こちらは、一応ウェインが帰れないからと、庭師の皆がウサギ狩りと、夫が戻ってきてキツネがりをしたのよ。それで、庭師の皆が、祐也の事を心配していたわ」
「本当ですか。元気になったらそちらに行きます」
「クリスマスの準備も始めているわ。それに羊も放したのよ」
「そうなんですね‼あ、そうでした。もしかしたら、ウェインに聞いていると思うのですが、俺の妹が、こちらでお世話になっています。ご連絡が遅くなってすみません」
祐也の一言に、モルガーナは微笑む。
「良いのよ。祐也は私の息子同然よ。私も娘がほしかったわ」
「……あ、それに、お伺いしたい事がありました‼実は……」
日記の内容を説明する。
すると、
「いいえ、妖精はハーブを嫌ったりはしないわ。逆に好きなのよ。妖精は、生き物からenergyを……生命力を分けてもらうものなの、大地や木々や花、ハーブや雑草からでも得ているの。だから、良く、街では植木の花をベランダに並べたり、花を買ってきて生けておくのは、元々は近くにいる妖精に、おすそ分けと言う意味なのよ。それに、時々、グラスにミルクを少しいれて、窓の開いた出窓においておくと減っているのよ?それは妖精たちにどうぞって言う意味なの」
「じゃぁ、カモミールはフェアリーは服にしないとかいてあったのは……?」
「カモミールは、マーガレットに良く似た花なの。でも、花びらが細くて長いから、小さいフェアリーでも、服にするより飾る方ね。それよりも、カモミールは、ミント系に次いで、良く増えるのよ。でもさっぱりしているし、カモミールティでうがいをするといいわ」
「さっぱりするからですか?」
「いいえ、歯肉炎の治療に用いられる成分があるの。歯磨き粉にも含まれているのよ。確か日本ではカモマイル、カミツレと書いているはずよ」
ちなみに実際、歯肉炎、歯周病の歯磨きの中に『カミツレ(カモミール)』は含まれていることが多い。
「じゃぁ、行き着けないですね……ここかと思ったのですが」
がっかりした祐也に、
「どうしたの?」
「いえ、Changelingについてで、もし、モルガーナさんたちのお父さんが、そのチェンジリングならどうだろうと思ったんです」
「……父がチェンジリング……戻ってきているから……」
「でも、奇行が増えたと聞きました。それで……この内容ではイングランドの様々な地域のチェンジリングについて記載がありますよね。それで、もしかしたらと……」
モルガーナは、考え込むと、
「そう言えば、父が行方不明になった時期が、父の18才のハロウィンの日だと聞いたわ。父は元々おおらかな人で……といえば聞こえはいいけれど、向こう見ずで、やんちゃ坊主で、探究心が強い人だったの。しかも、祖父は小さい頃から、ロンドンでは普段の格好だけど、領地に帰ると女の子の格好をさせられていたと聞いたわ。男だと解ったら、妖精に連れ去られるって。でも、父は一人息子だったから、特に心配する家族に、『そんな夢物語で、女性の格好は御免だ‼』って言っていて、その上、当日も、あちらの地域では、妖精が走り回ると言う時刻は皆が、静かに何も起きないようにと静かに過ごすの。でも、父は周囲の制止を振りきって出ていってしまった。一人で出すわけには行かないと、ロンドンで雇った遊びを教える男……と、祖父は罵っていた男と共に……で、男は戻ってきたわ。『若君が、妖精に連れ去られた‼』と……」
「その男のその後は?」
「いえ、聞いていないわ。すぐにいなくなったの。だけど……一度だけ、祖父はいっていたわ。『あの男が……妖精だった』……って」
「『妖精だった?』……そう、言われたんですね?それと、戻ってきたのは……」
「翌年の5月の1日ね。それから奇行が増えてきたのよ」
モルガーナの一言に、考え込んだ祐也は、
「ありがとうございます。あの、モルガーナ様のお祖父さんやおばあさんは?」
「ランズ・エンド近くの領地に住んでいるわ」
「そうでしたか。本当にありがとうございました。ひな先輩には、元気になったら戻ると伝えてください。よろしくお願いします」
「良いわよ。それよりも、無理は禁物よ?」
「はい……えっ‼」
いつのまにか目の前にたつのは、人形のように美しいけれど、どことなく不気味な存在……。
「やぁ。君は私のアンジュではないね……何でここにいるんだい?」
金色の髪は艶やかで、しかし瞳はこちらを見ているようで見ていない。
穐斗の父、アルテミスである。
端整であるが、美しいとは思えない。
逆に不気味である。
美しいのは……穐斗の微笑みである。
首をかしげ、照れたようにえへっと笑うのも、欲目ではなく可愛いが、目をキラキラさせてぱたぱた駆けてくるのも、可愛い。
『祐也‼器もらったよぉぉ‼シールありがとう~‼』
と、前は住んでいた家のすぐ近くのコンビニで交換して貰ったと言う、キャラクターの柄の器の箱の入った袋を持って走りかけて転ぶのを支えたりしたものである。
ついこの間なのに……どうして、変わってしまったんだろうと思わずにいられない。
意識を戻した祐也は、落ち着いた振りをしてニッコリと笑った。
「はい、もしもし?」
「あ、モルガーナさん。祐也です」
「あぁ、祐也‼大丈夫だったの?」
「えと、頭が時々痛むのですが、本宅に移ってから、先生や看護師さんや皆さんが、気を使ってくださって」
苦笑する。
「まぁ、良かったわ。こちらは、一応ウェインが帰れないからと、庭師の皆がウサギ狩りと、夫が戻ってきてキツネがりをしたのよ。それで、庭師の皆が、祐也の事を心配していたわ」
「本当ですか。元気になったらそちらに行きます」
「クリスマスの準備も始めているわ。それに羊も放したのよ」
「そうなんですね‼あ、そうでした。もしかしたら、ウェインに聞いていると思うのですが、俺の妹が、こちらでお世話になっています。ご連絡が遅くなってすみません」
祐也の一言に、モルガーナは微笑む。
「良いのよ。祐也は私の息子同然よ。私も娘がほしかったわ」
「……あ、それに、お伺いしたい事がありました‼実は……」
日記の内容を説明する。
すると、
「いいえ、妖精はハーブを嫌ったりはしないわ。逆に好きなのよ。妖精は、生き物からenergyを……生命力を分けてもらうものなの、大地や木々や花、ハーブや雑草からでも得ているの。だから、良く、街では植木の花をベランダに並べたり、花を買ってきて生けておくのは、元々は近くにいる妖精に、おすそ分けと言う意味なのよ。それに、時々、グラスにミルクを少しいれて、窓の開いた出窓においておくと減っているのよ?それは妖精たちにどうぞって言う意味なの」
「じゃぁ、カモミールはフェアリーは服にしないとかいてあったのは……?」
「カモミールは、マーガレットに良く似た花なの。でも、花びらが細くて長いから、小さいフェアリーでも、服にするより飾る方ね。それよりも、カモミールは、ミント系に次いで、良く増えるのよ。でもさっぱりしているし、カモミールティでうがいをするといいわ」
「さっぱりするからですか?」
「いいえ、歯肉炎の治療に用いられる成分があるの。歯磨き粉にも含まれているのよ。確か日本ではカモマイル、カミツレと書いているはずよ」
ちなみに実際、歯肉炎、歯周病の歯磨きの中に『カミツレ(カモミール)』は含まれていることが多い。
「じゃぁ、行き着けないですね……ここかと思ったのですが」
がっかりした祐也に、
「どうしたの?」
「いえ、Changelingについてで、もし、モルガーナさんたちのお父さんが、そのチェンジリングならどうだろうと思ったんです」
「……父がチェンジリング……戻ってきているから……」
「でも、奇行が増えたと聞きました。それで……この内容ではイングランドの様々な地域のチェンジリングについて記載がありますよね。それで、もしかしたらと……」
モルガーナは、考え込むと、
「そう言えば、父が行方不明になった時期が、父の18才のハロウィンの日だと聞いたわ。父は元々おおらかな人で……といえば聞こえはいいけれど、向こう見ずで、やんちゃ坊主で、探究心が強い人だったの。しかも、祖父は小さい頃から、ロンドンでは普段の格好だけど、領地に帰ると女の子の格好をさせられていたと聞いたわ。男だと解ったら、妖精に連れ去られるって。でも、父は一人息子だったから、特に心配する家族に、『そんな夢物語で、女性の格好は御免だ‼』って言っていて、その上、当日も、あちらの地域では、妖精が走り回ると言う時刻は皆が、静かに何も起きないようにと静かに過ごすの。でも、父は周囲の制止を振りきって出ていってしまった。一人で出すわけには行かないと、ロンドンで雇った遊びを教える男……と、祖父は罵っていた男と共に……で、男は戻ってきたわ。『若君が、妖精に連れ去られた‼』と……」
「その男のその後は?」
「いえ、聞いていないわ。すぐにいなくなったの。だけど……一度だけ、祖父はいっていたわ。『あの男が……妖精だった』……って」
「『妖精だった?』……そう、言われたんですね?それと、戻ってきたのは……」
「翌年の5月の1日ね。それから奇行が増えてきたのよ」
モルガーナの一言に、考え込んだ祐也は、
「ありがとうございます。あの、モルガーナ様のお祖父さんやおばあさんは?」
「ランズ・エンド近くの領地に住んでいるわ」
「そうでしたか。本当にありがとうございました。ひな先輩には、元気になったら戻ると伝えてください。よろしくお願いします」
「良いわよ。それよりも、無理は禁物よ?」
「はい……えっ‼」
いつのまにか目の前にたつのは、人形のように美しいけれど、どことなく不気味な存在……。
「やぁ。君は私のアンジュではないね……何でここにいるんだい?」
金色の髪は艶やかで、しかし瞳はこちらを見ているようで見ていない。
穐斗の父、アルテミスである。
端整であるが、美しいとは思えない。
逆に不気味である。
美しいのは……穐斗の微笑みである。
首をかしげ、照れたようにえへっと笑うのも、欲目ではなく可愛いが、目をキラキラさせてぱたぱた駆けてくるのも、可愛い。
『祐也‼器もらったよぉぉ‼シールありがとう~‼』
と、前は住んでいた家のすぐ近くのコンビニで交換して貰ったと言う、キャラクターの柄の器の箱の入った袋を持って走りかけて転ぶのを支えたりしたものである。
ついこの間なのに……どうして、変わってしまったんだろうと思わずにいられない。
意識を戻した祐也は、落ち着いた振りをしてニッコリと笑った。
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