現世(うつしよ)と幻(うつつ)の世界で……
第63話、日向さんからの報告です。
「えーと、読みにくいけど、妖精達……こっちはフェアリーだな。elfじゃない……この愛らしい……」
横になりつつ日記を読んでいた祐也にこっそり近づいた紅は、
『ゆうにいちゃん‼隙あり‼お腹にドーン‼』
『ウワァァ‼何しとんで‼紅‼』
『チーキー‼だよー‼あきちゃんだけやったらいかんやろ?媛にも、それにスゥ姉ちゃんや、あきちゃんのお母さんにも‼』
『って、お前、俺のあのコインじゃ……』
言いかけた祐也に、ヴィヴィアンが、
「祐也。良いのよ。このへたれは、紅の言うことなら何でも聞く、忠犬よ」
「ヴィヴィ‼ひどいじゃないか‼」
「忠犬?ウェイン、忠犬なの?」
紅の一言に、ウェインは、
がーん‼
『忠犬って、酷くない?僕が犬?』
『えー?ゆうにいちゃん。似てるよねぇ?わんこ』
『ノーコメント』
最近、穐斗の義父になる醍醐に忠犬扱いされている自覚ありの祐也である。
「でね?祐也。紅が、穐斗そっくりって、これ選んだんだけど」
「うわぁ‼大きい、しかも、ウサギチーキー‼」
『可愛いでしょ?似合うでしょ?あのあきちゃんが、これだっこだよ‼』
紅の言葉に頷きかけた祐也のスマホが鳴った。
『あ、ひな先輩?』
『大丈夫か?』
『あ、はい』
『あ、ひなにいちゃーん‼』
その声に、
『はぁ?祐也?紅か媛か?』
『紅だよ~‼』
『……わかった。えっと、報告……いや違う、えっと……』
『どうしました?』
口ごもる日向に問いかけると、
『えと……す、スゥから電話があった……』
『な、何かあったんです……あぁぁ、頭いた‼』
『急に起き上がるからだよ』
ウェインはぐったりした祐也からスマホをとる。
『祐也が目を回したから、変わったよ、構わない?』
『あ、あぁ……じ、実は、スゥ……妻が、子供を妊娠したと、言われて……こ、今年の夏前には、生まれると……』
「エェェ‼baby?オォ!beautiful‼exciting‼」
「どうしたの?ウェイン?」
ヴィヴィアンの問いかけに、
「あぁ!僕の友人の日向の奥さんに赤ちゃんだって‼」
「まぁ‼」
幼馴染みからスマホを取り上げ、
「ハイ!私はヴィヴィアン・マーキュリーよ。ウェインの幼馴染みなの。おめでとう‼お父さんね‼」
スマホの向こうで驚いていたものの、
「あ、ありがとう‼ヴィヴィアン‼私は、日向・一条。自分が父親って言うのも本当に嬉しいのと、不安と、でも幸せだと思えるんだ……実は、妻が、あなたのファンなんだ。電話をくれたって伝えて良いかな?」
「構わないわ‼それよりも、電話を掛けたくなるわね」
「ヴィヴィ‼スゥお姉ちゃんだよ!」
紅が自分のスマホを差し出す。
『なに?紅ちゃん?』
「初めまして‼私はヴィヴィアン・マーキュリーです。あなたの旦那さんの友人なの」
「え、エェェ‼ヴィヴィアン・マーキュリーさん?あの、清楚なelfの役をされていた?」
「え?昔の端役なのだけど、知っているの?」
「えぇ‼あの時の、妖精の話を見ていて、あのelfが自分の世界はちっぽけじゃない、もっと広いはずって、飛び出していったのが、とても印象にあって‼だ、大ファンで……う、嬉しい……」
涙声でそれでいて笑う。
「夢だったの。あなたに、あの妖精を演じたあなたの見ている世界を見てみたくて……私は、演技はできないから、小説家になったのよ‼ありがとう‼あなたが私の原点です‼そして、私のbabyをきっと見て貰いたいわ」
「小説家?」
「えぇ。『日向糺』って言う、まだ駆け出しの……だけれど……」
「待って‼ウェインが読んでたサイン入りの小説‼私はほとんど読めないけれど、内容を聞いたわ‼すごいと思った‼あなただったの‼」
「そうなの……まだ、日本でしか発表していないのだけれど、多分、あきちゃんに頼まれた本だわ」
ヴィヴィアンは、世界の狭さというよりも、偶然のすごさに驚く。
「こ、今度、お会いしてもいいかしら?体が落ち着いてから……」
「えぇ‼是非‼」
日本とイングランドで後年、道は違うが有名になる二人の女性の出会いである。
横になりつつ日記を読んでいた祐也にこっそり近づいた紅は、
『ゆうにいちゃん‼隙あり‼お腹にドーン‼』
『ウワァァ‼何しとんで‼紅‼』
『チーキー‼だよー‼あきちゃんだけやったらいかんやろ?媛にも、それにスゥ姉ちゃんや、あきちゃんのお母さんにも‼』
『って、お前、俺のあのコインじゃ……』
言いかけた祐也に、ヴィヴィアンが、
「祐也。良いのよ。このへたれは、紅の言うことなら何でも聞く、忠犬よ」
「ヴィヴィ‼ひどいじゃないか‼」
「忠犬?ウェイン、忠犬なの?」
紅の一言に、ウェインは、
がーん‼
『忠犬って、酷くない?僕が犬?』
『えー?ゆうにいちゃん。似てるよねぇ?わんこ』
『ノーコメント』
最近、穐斗の義父になる醍醐に忠犬扱いされている自覚ありの祐也である。
「でね?祐也。紅が、穐斗そっくりって、これ選んだんだけど」
「うわぁ‼大きい、しかも、ウサギチーキー‼」
『可愛いでしょ?似合うでしょ?あのあきちゃんが、これだっこだよ‼』
紅の言葉に頷きかけた祐也のスマホが鳴った。
『あ、ひな先輩?』
『大丈夫か?』
『あ、はい』
『あ、ひなにいちゃーん‼』
その声に、
『はぁ?祐也?紅か媛か?』
『紅だよ~‼』
『……わかった。えっと、報告……いや違う、えっと……』
『どうしました?』
口ごもる日向に問いかけると、
『えと……す、スゥから電話があった……』
『な、何かあったんです……あぁぁ、頭いた‼』
『急に起き上がるからだよ』
ウェインはぐったりした祐也からスマホをとる。
『祐也が目を回したから、変わったよ、構わない?』
『あ、あぁ……じ、実は、スゥ……妻が、子供を妊娠したと、言われて……こ、今年の夏前には、生まれると……』
「エェェ‼baby?オォ!beautiful‼exciting‼」
「どうしたの?ウェイン?」
ヴィヴィアンの問いかけに、
「あぁ!僕の友人の日向の奥さんに赤ちゃんだって‼」
「まぁ‼」
幼馴染みからスマホを取り上げ、
「ハイ!私はヴィヴィアン・マーキュリーよ。ウェインの幼馴染みなの。おめでとう‼お父さんね‼」
スマホの向こうで驚いていたものの、
「あ、ありがとう‼ヴィヴィアン‼私は、日向・一条。自分が父親って言うのも本当に嬉しいのと、不安と、でも幸せだと思えるんだ……実は、妻が、あなたのファンなんだ。電話をくれたって伝えて良いかな?」
「構わないわ‼それよりも、電話を掛けたくなるわね」
「ヴィヴィ‼スゥお姉ちゃんだよ!」
紅が自分のスマホを差し出す。
『なに?紅ちゃん?』
「初めまして‼私はヴィヴィアン・マーキュリーです。あなたの旦那さんの友人なの」
「え、エェェ‼ヴィヴィアン・マーキュリーさん?あの、清楚なelfの役をされていた?」
「え?昔の端役なのだけど、知っているの?」
「えぇ‼あの時の、妖精の話を見ていて、あのelfが自分の世界はちっぽけじゃない、もっと広いはずって、飛び出していったのが、とても印象にあって‼だ、大ファンで……う、嬉しい……」
涙声でそれでいて笑う。
「夢だったの。あなたに、あの妖精を演じたあなたの見ている世界を見てみたくて……私は、演技はできないから、小説家になったのよ‼ありがとう‼あなたが私の原点です‼そして、私のbabyをきっと見て貰いたいわ」
「小説家?」
「えぇ。『日向糺』って言う、まだ駆け出しの……だけれど……」
「待って‼ウェインが読んでたサイン入りの小説‼私はほとんど読めないけれど、内容を聞いたわ‼すごいと思った‼あなただったの‼」
「そうなの……まだ、日本でしか発表していないのだけれど、多分、あきちゃんに頼まれた本だわ」
ヴィヴィアンは、世界の狭さというよりも、偶然のすごさに驚く。
「こ、今度、お会いしてもいいかしら?体が落ち着いてから……」
「えぇ‼是非‼」
日本とイングランドで後年、道は違うが有名になる二人の女性の出会いである。
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