住み込み就職 お仕事時々お遊び

わいず

普通のコンビニ勤務の一時

平日の朝、出勤時間が終わって暇になった時間……。

ほんのりと香る昆布だし、専用の鍋の中にいるのは……食べる前から美味しい事がわかりきってるおでん達。

「良い匂いですねぇ」
「そうね」

寒くなるとコンビニの主力商品になる、おでん。それがとっても良い匂いがしてます。あぁ……ちょっぴりお腹減ってきましたねぇ。

「七瀬さんは、おでんでなにが好きですか?」
「私? そうね……卵、かしら」
「あぁ……。良いですよねぇ、卵」
「そうね」

……。うん、なぁんか他の人が聞いてたら「暇なの?」って言われそうな会話ですねぇ。

そんな会話をしながら、レジに立ってる私です。隣には七瀬さんがいます。

「……胡桃は、なにが好き?」
「え、私ですか? あぁぁぁ……そうですねぇ」

色々ありますが、強いて言うならぁ……って、あ。お客様レジに来ましたね。

「あの、おでん下さい」
「あ、はい。わかりましたっ」

ふむ、おでんが欲しいんですか。このお店ではお客様がおでんを欲しい場合は店員さんが取る事になってるんです。

「えと、ちくわと大根とぉ……」
「はい、ちくわと大根と……」
「後はこんにゃく、ロールキャベツ、卵下さい」
「はいっ、わかりました」

お客様が言ったのをトングでひょいひょいっと取ります。あと忘れずにつゆをいれました。

「ありがとうございました、お気を付けてお持ちください」

そのあと、お会計をしてお見送りします。
……ふむ、定番の物を選んでいきましたね。

「お疲れ様」
「あ、はい」
「……で?」
「ん?」
「胡桃が好きなおでんの具って、なんなのかしら?」

あ、そう言えばそんな話してましたね。

「トマトですね。煮ると甘くなるから好きなんです」
「そう。そこでも甘味は外せないのね」
「あっあはははは。甘いの好きですから」

お菓子も野菜もお肉も、甘いのは何でも大好きです! でも、おでんにトマトって珍しいですよね。

「ふふふ。相変わらずね」

クスクス笑う七瀬さんは髪をとかしたあと、何かに気付いたのか、ある場所を凝視しました。ん? なんでしょう……あそこに何かあるんですかね?

「…………」

と言うことで、その方向を見てみると……OLでしょうか? そう言う感じの人が、パンコーナーのとこにいました。七瀬さんはその人をみてます。

んぅ? なんでしょう……すっごく見てます。心なしか顔が紅くなってる気がしますね。

「七瀬さん?」
「……なにかしら?」
「あの人、なにか気になるんですか?」
「あぁ。気にしないで、ちょっと見ていただけだから」
「はぁ……。そうですか」

ふぅん、見てただけなんですか。変なの。

「ねぇ、胡桃」
「あ、はい」

なぁんて事を思ってたら、七瀬さんが私を見ました。なんか微笑んでます。

「今日のお昼、おでんにしない?」
「あ。良いですね、そうしましょう」

そう言われて食べたくなってきました、私は流されやすい人なんです。それに……長い間、おでんの匂い嗅がされてたら食べたくもなりますよっ。

という訳で、今日のお昼はおでんになりました。昼休憩に商店街に行って食べてきたのですっ!

とっても美味しかったですよぉ。とっても充実した午前になりました!

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