住み込み就職 お仕事時々お遊び

わいず

喧嘩売られたと思ってしまうのは昔の名残

「あ。今考えたのだが……一位の人は何でも命令できるって事にしないか?」

始まりは、長門さんのこの言葉……そこから、まさかあんな事になるなんて思いもしませんでした。



「えぇぇ。なんでもって……まじで?」
「なんでも……。ふふ、良い響きね」
「そんなの、簡単に言っちゃダメなんだぞっ」
「そうですよ! 軽率過ぎますっ」

皆、ソファーに座ったまま抗議しました!
もぉっ、なんでもって言ったら……ほっ本当に色々言っちゃいますからね?

「はっはっはっ、まぁ一種の王様ゲームと思えば良いじゃないか」

おっ、王様ゲームって……本物と色々と違うんですが、一緒で良いんですか?

「もぉ……てんちょってば、
ろくな事思い付かないんだからぁ」
「ふふっ。そう褒めるな照れるじゃないか」
「褒めてないしっ!」

あっあははは……。長門さんはこんな時でもぶれませんね。

「……と、恵は言ってるが皆はどうだ? なんかこう言うのって燃えないか?」
「まっまぁ……燃えますけどぉ」

なぁんか恐いんですよねぇ。一位になったら凄く変な事命令しそうな人が、なんでも命令できるって発案しましたし。

それに、きっと私達は一位になれませんよ? だってこの場には……。

「ねぇ、長門」
「なんだ七瀬」
「それだと、止の一人勝ちにならないかしら?」
「…………あ」

あっ、て気付いてなかったんですか? 止さん、現役プロゲーマーなんですよ! そんなのどうあがいても勝ち目ないじゃないですか!

「む。困った」

あ、困っちゃいましたね。

「もう、普通にしない?」
「そうですね。恵さんの言うとおり普通に楽しみましょう!」

その方が楽しめますよ!
なぁんて思ってると、すくっと止さんが立ち上がり……ビシッ!! となんか格好良いポーズを取りました。

「全員まとめて、掛かってこいやぁぁぁっ!!」

お。喧嘩の誘いですか? 買いますよ喧嘩……って、いけないいけない、昔の血が騒いじゃいました。
止さんはそう言う意味で言ったんじゃ無いんです、だから落ち着きなさい、私っ!

「長門ぉ」
「むっ、どうした?」
「おれに考えがあるんだっ、ちょっと耳貸して」
「良いぞ?」

それを聞くと、止さんは長門さんの耳に何かをごにょごにょ囁きました。

「ごにょごにょごにょごにょ……」
「ほぉ。なるほど、だけど良いのか?」
「良いぞぉっ。俺、ゲームは難しい方が好きなんだっ」

? なんだか良く分かりませんが……。なにやら良い案が思い浮かんだそうです。
と言うか、普通じゃダメなんですかね? 普通も面白いですよぉ。

「あぁ、えと……。止がな、他対一で相手してやるっていってるぞ」

え、他対一ですか……。

「それでな? 勝ったらどうのとか関係無くやりたいんだって」

ふむ、だったら普通にやるのと変わり無い気がしますが……。

「ねぇ、それ。普通にやるのと変わりなくない?」

ほら、恵さんが私と同じ事思ったのか言いましたよ。七瀬さんだって同意するように頷いてます。

「ちっちっちっ、違わないぜ! あんな? おれな? 胡桃の力を知りたいんだぜ!」
「ん……え? わっ私ですか!」

なっ、なんか、話が変わってきてません? 私の力って……知ってどうするんでしょう。水入りペットボトルなら簡単に潰せますよ? あ、そう言う力じゃないです? だったらどういう力なんでしょう……。

「そうだぜっ。胡桃のゲームの腕が知りたいんだっ。クレーンゲームはダメダメだったけど、他の実力を知りたいんだ」
「うっ……。それ、言わないで下さいよ」

それ、悪しき記憶です。思い出させないでください。

「ゲームを通じて人を知る。これがおれの座右の銘っ! だから対決だ! あっ、皆とも対決したんだ。やってないの胡桃だけなんだ」

ほぉほぉ。なるほど、皆とも同じような事をしたんですね、納得しました。中々素晴らしいと思いますよ。その考え。

……あ、でもそれなら一対一の方が良いと思うんですけど、それじゃダメなんですかね? なんて思った瞬間です。

「でも、おれ強いから勝っちゃうし。ハンデで他対一にしたんだっ。にひひひ……勝負受ける? 受けて欲しいなぁ」

止さんはこんな事いってきたのです。
どうせ勝つ? ハンデ? ふふふふふ……止さぁんっ、それちょっと舐めすぎじゃないですかねぇぇ。

舐めるのは飴玉だけにしといた方が良いですよ?
その事を存分に味会わせてやりますよ!!

「分かりました受けましょう!」
「そうこなくっちゃっ!」

メラメラと闘志を燃やす私、昔の不良時代の血が騒いじゃいました!
舐められたらダメ! 私の実力を解らせてやりましょう!!

あ、この時、私以外の皆は随分と冷めてました、そして……なぁんか引いた眼で私を見てました、なんででしょうかね?

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