住み込み就職 お仕事時々お遊び

わいず

眼鏡男子コンビニに現る 山田店内見学編

来てしまった、連れられる形で……恵様が働く職場に来てしまったぁぁ。

「えぇぇっ、ガムって。それ、数十円のだよ? そんなので良いの? 遠慮しなくて良いし、もっと高いの選びなよ」
「あ、いえ。俺……このガム超好きなんす。あはははは……」

なんか買ったげると言われて連れてこられた"こんびに"と言う名のコンビニ。
正直……ドキドキが止まらない、だからなのか普段好きでも嫌いでもない十円ガムを好きだと言って笑ってる。

ぐっ……くそぅ。
バカか俺は! 恵様を見て見ろっ、苦笑いしてるぞ!

「そっそうなの? えと、じゃぁ……ほんとにこれで良いの?」
「良いです!」

まっまぁ、恵様に高い物買わせるよりマシだし。ナイスな判断だろう、そっそう思っておこう。

「ふぅん……。ま、良いけど。じゃ、そこで待ってて買ってくるよ」
「あ、はい」

とてててぇ、とレジに向かう恵さん。
俺はなんとなく、棚を見て見る……落ち着いて見てみると、うん……色んな物が売ってるな。
まぁ、コンビニだから当たり前か、あっ……このスナック菓子新しい味でたんだ、今度買ってみよう。

「お待たせぇ」
「っ。はっはい!」

おっと、そうこうしてる内に恵様が来たようだ。
って、あれ? ガムだけなのに……何故か袋に入れてる。
そのまま持ってくれば良いのに。

「はいこれ、あたしの奢り」
「え」
「中に色々入ってるから食べてって」

そういって渡してくる。
おっおぉ……結構重たい、中を見てみると、肉まんとお茶が入ってた。

「えへへ、一応夕飯近いだろうしさ……。結構抑えめに奢ったの。あとちょっとケチったかな? えへへへ」
「……」

にこぉ、と笑う恵さんは「じゃ、あたしこれからバイトだから」と言って去ってしまう。

…………何今の台詞、超可愛いんだが。
あと、あの去るときの仕草……髪の毛がぴょこんって跳ねたぞ。
おっ俺の心にどストライクだわぁぁっ。

くぅぅぅぅっ、やっぱ恵様は可愛いなぁぁっ!!
……と、いけない。
ずっとここに立ってちゃ迷惑だ、さっさと退こう。
あと、買って貰ったこれは……イートインで食べるか、バイトの制服の恵様も見たいし。


という訳でイートインにやってきた。
席には俺以外に数人いる。
それを気にせず、肉まんを食べる、時折店の方を覗き混んで様子を見てみる。

ほぉ……。
結構人がいるなぁ、見たところ女性が多い、まぁ今日はバレンタインだしな。
チョコを買って好きな人に渡したりするんだろう。

あ、そう言えば……恵様はチョコを渡したのか? 学校では「渡してないし」と本人が言ったのを小耳に挟んだが、実際どうか分からない。

照れ隠しで言った嘘なのか、はたまた本当に渡していないのか……どっちなんだろうな。
ん、あ……恵様、赤髪の店員と話してる、笑いあってて仲良さそうだなぁ。

あ、そう言えば、あの赤髪の店員名前は確か胡桃……とか言ったな。
あの見た目、今更気付いたが歳上だな、さん付けしないといけないな。

で、恵様はその胡桃さんの事が好きだと堂々と言ってた。
そう考えると……。

「めっちゃ良い雰囲気に見える……あっつっ」

ぐっ……考え事して肉まん食べようとしたら思いっきり唇に当たった! うぅぅ、考え事しながら食べるもんじゃないな。

でっでも、なんか目が離せない……。
気になるんだ、一体恵様は……胡桃さんとどんなバレンタインの夜を過ごすのかを……。

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