住み込み就職 お仕事時々お遊び

わいず

眼鏡男子コンビニに現る、波乱前兆編

夕日に背を向けてあたしは帰ってる、今日もがっこは疲れたわぁ。
あたし、部活やってないからササッと帰るんだよね。
帰ったらバイトしなきゃだし早く帰らないといけない。

だから帰り際、友達二人に……。

「胡桃さんによろしくねぇ」
「よろしくねぇ」

とか言われたけど、スルーして帰ってやった。
これ、明日になったら詳しく聞かれるよね……あぁ、めんどくさ。
そうなったら、またスルーしてやろうかな?

「まっ、そこは適度に付き合ってあげよっか」

一応友達だしね、話し半分くらいに聞いてあげよ。
でも、あまりにしつこかったら……ビンタしそうかも。

まっ、そうなんないように気を付けよ。
若干危ない事を考えながら、すてすて歩いてたら、なんか後ろから走ってくる様な足音が聞こえた。
なんだろ、ちょっと気になる……。

だから振り向いて見た、そしたら……うん、眼鏡掛けた男子があたしに向かって走って来てる。

ん? なんだろ、この人見たことある。
んー……どこでだろ、なぁんか知った顔なのよね。
えぇぇと、なんだっかな? 忘れちゃった。
なんて思ったら、あたしの前に立ち止まった。

「でぃ……でぃ……ばぁ……ばぁ……」

うわ、すっごい荒い息してる。
あ、良く見るとこの男子……あたしのがっこの男子生徒と同じ制服だ。
と言うことは……同じがっこの生徒だわ。

「えっえと、なっなんか……用?」

取り敢えず、そう聞いてみると……ぜぃぜぃ呼吸しながら眼鏡男子は鞄から何かを取り出す。

え、なに? なんか見せてくれんの? なんて思ったら……。
小さなプレゼント箱が出てきた。

「え」

その瞬間、あたしの思考が固まる。
……あっ、え、うっ、へぁ? もっもしかして、それ……くっくれるの?

「ごれ……でぃ、でぃ、バレンタインの……」
「っ!?」

え、ばっばばっバレンタイン!? え、えぇ、えぇぇぇっ!! ちょっ、やばぁぁぁいっ、かっ顔熱くなってきた! え、なに!? あたし、貰うの? この人に? ちょっチョコを?

うっうそ、男子から貰ったの……はっ初めて……うっうぅぅぅ、なっなにこれ、超はずかしぃ。

「あ、ちょっ……ちょっと、まっ……待って」
「あ……うっうん、ぃぃよ」

ひぃ……ひぃ……呼吸する眼鏡男子は、一旦深呼吸する。
どっどうしよ、あたし……こんな体験したの初めて。
まっまさか、男子からチョコ貰うなんて。
こっこれってアレじゃん! 逆チョコじゃん!

「ふぅ……。えっえと、恵さ……じゃなくて、日向さん」 
「はっはい!?」

わわわっ、なっ名前呼ばれた!
なんか知んないけど、緊張し過ぎて姿勢ただしちゃった……。
へっ変な娘だと、思って……ないかな?

「こっこれ、あの……えと……」

うっ、すっごいモジモジしてんじゃん。
そりゃそうだよね……だっ大事な所だもん、きっ緊張するよ。

でっでも! あたしっ、そう言うのはちゃんと聞くって決めてるから! あたしも緊張してるっ、だからガンバ! えと……眼鏡男子君っ!

「これ! 朝、俺の……げっ下駄箱入ってまっました……」
「そっそうなんだ…………え?」

ん? 下駄箱? あっあれ? なんか流れが変わってなくない?

「いっ、一緒に入ってる手紙見たら……日向さんのチョコだって分かって……そっその、かっ変わりに届けに来ました! 受け取って下さい!」
「え、あっ……うっうん。えと……あの……あっ、ありがと」

えっ、えぇぇぇ……なにそれ。
なっなんか、凄く恥ずかしい勘違いしちゃった。
そっそか、眼鏡男子君はこの為に急いで来たんだ。

とっ取り敢えず、差し出してきてる、このプレゼント箱と手紙、受け取ろ。

「えと、お疲れ……しんどかったでしょ?」
「あ、いえ。だいじょうぶです。はっははっははははは……」

すっごい苦笑い。
相当しんどかったんだ……そりゃ急いで追い掛けて来たもんね、そりゃそうだよ……。

「え、えと……では、俺はこれで」
「あ、待って」

だったら、なんかこのまま帰すのは悪いかも。

「え、なっななっ、なんでしょう」
「ぷっ……あはは。超キョドってんじゃん。もう緊張しなくて良いでしょ?」
「え、あ……あはは。そっそう……だね」

なぁんか知らないけど照れてる。
まぁ、それは置いといて……。

「ちょっとあたしのバイト先寄っていってよ。なにか買ったげる」
「え!? いや、それは」
「良いからっ!」

首をブンブン振る眼鏡男子君の手首を掴んで、あたしは強引に連れてく。

買ったげるって言ったけど……。
コンビニの商品になるんだよね、まっまぁ良いよね? そんなに高い物買わないし。

と言う事で、あたしは眼鏡男子君をバイト先に招待する事にした。

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