住み込み就職 お仕事時々お遊び

わいず

バレンタインデーの恵さん

朝、登校時間。
歩いてがっこまで来て教室来たら落ち込んでる男子の比率が多いんだけど……。
なにこれ、朝から何があったわけ? 変なの。

と言うか、こんな空気の教室、超入り辛いわ……まっまぁ、入るけど。

「おはよぉ」
「おはぁ」

教室に入ったら直ぐに友達二人がやってきた。
なんか何時も以上に元気な気がする。

と言うか、なんか笑ってるし……。

「うん、おはよ。なんで笑ってんの?」

だから聞いてみた。
まぁ、大体察しはつくけど……。

「えぇ、それはぁ……ねぇ?」
「ふふふぅ。ねぇ?」

なんか二人で笑いあってるし……絶対録な事考えてない。

「あぁぁ……そんな嫌ぁな顔しないでよぉ」
「しちゃダメぇ」
「うっさい、したくなるわ」

あんた等の考えてる事は大概あたしを困らせんだかんね? 自重しろっての。

「もう、相変わらず乗り悪いなぁ」
「そんな恵ちゃんに質問でぇす」

うわ、空気読まずに質問とか言ってきた……。

「ズバリっ、バレンタインチョコはあげましたかっ!」
「あげましたかぁ?」

二人はニヤニヤしてる、だからうんざりしながら言ってあげた。

「あげてないし」

もうね、飛びっきり冷めきった声音で言ってやったわ。
って、あれ? なんか男子……さっきより落ち込んでない?
まぁいっか……。

「えぇぇ、うっそだぁぁ」
「恵ちゃんの嘘つきぃ」
「嘘じゃないし」

なんで嘘なんてつかなきゃダメなわけ? 意味わかんない。

「あ、じゃぁ……胡桃さんに貰ったとか?」
「……はっ、はぁぁぁ? なんで胡桃さんが出てくんのよ!」

ほんっと意味わかんないから! 相手女の子だし! あ、でも友チョコで貰った線も考えられるから聞いてきてる? いや、違う……この二人の目を見てると……そんな感じじゃなさそう。

「なんでって……ねぇ?」
「ねぇ?」

またそれ? なに? 二人の掛け合い抜群過ぎない? タイミングとか完璧過ぎでしょ! 事前に打ち合わせとかしたの?

「前に堂々と好きって言ったじゃぁん」

このこのって肘で小突いてくる、それに乗じて「このこのぉ」と言いながら小突いてきた。
え? 胡桃さんが好き? そんな事……言ってたっけ。

「ほぉら、私達が胡桃さんに会いたぁいって言った時連れてってくれたじゃん。あの時だよぉ」
「だよぉぉ」

考えるような顔をしてたら教えてくれた。
……あぁ、あの時ね、確かに言った。
言ったけど……。

「あれ、そう言う意味じゃないから。友達としての意味だから」
「えぇぇ、ほんとぉ?」
「ほんとだし」
「実は百合百合な関係……だったりぃ」
「いや、しないから。私ノーマルだし」

七瀬みたいに、女の子好きなんかじゃないんだから。
って、まぁたニヤニヤ笑ってるし……いい加減シバきたくなってきた。

「まぁ、そう言う事にしといたげる。んじゃ、昼休み……詳しく聞くからねぇ」
「からねぇ」

……詳しく聞いたって同じ答えしか出ないし。
って、あの2人……さんざん話して自分の席に戻ってちゃった。
ほんっとに自由な友人だわ、まるでてんちょ見たい。
まぁ……あの人みたいに暴走しないだけマシか。

「はぁ……ほんっと疲れるぅぅ」

ぐでぇぇっと机に突っ伏して、あたしは暫くこうしてる事にした。
ほんっと、バレンタインデーって、騒がしい日だわ。

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