住み込み就職 お仕事時々お遊び

わいず

七瀬さんのチョコよりも甘い思惑

バレンタイン前日の日、その日の仕事が終わり、私は自室で窓の外を見つめる。 
現在の時刻は夜の10時、先程お風呂に入って出たばかり、今は裸にバスタオルを巻いたままの姿で明日の事を考えてるの。
え? なんでそんな格好なのか? 私、なにも着けずに寝るからお風呂から出たら毎日こんな感じなのよ、気にしないでね。

そんな私、霜月七瀬は明日と言う日を待ち望んでいる。
もしかしたら、胡桃よりも待ち望んでいるかもしれない……。

だって、明日はバレンタインでしょう? それ即ち、女の子同士でチョコを渡し合う友チョコなるイベントが発生する、そして……それを切っ掛けに二人の距離は縮まりお互い好きになってカップルになり結婚……なんて事になるかも知れない一大イベント。

だから私は決心した。
明日、皆とイチャラブする……と。
その為にプレゼントを用意したわ、まぁこれは毎年してるから私にとっては恒例行事なのだけどね。

でも、今年は胡桃がいる。
毎年、バレンタインが近づく度に試食と言う名の苦行があるから甘い物は厳禁。だけど胡桃は甘い物が好きだから普通に私も良い。

だから、それとなく聞いてみたのだけど……。

「まさか水飴なんてね……材料じゃないの」

まぁ、最初に言った砂糖よりはマシ? かしら。
私、お菓子の名前でって言ったのに……。

「嘆いても仕方いないわ。胡桃が欲しいって言ったんだもの。それをプレゼントしましょう」

文句を言っても仕方無いわ。
……さて、胡桃の事はいいとして、実は問題は他にあるわ。
長門、止、恵、この娘達に限っては普通にチョコを渡してはいけない。
理由はさっきも言ったわね? 事前に甘い物を沢山食べてるからよ。
そんな3人にソレを私たち日には、なんとも微妙な顔をされて「あっありがとう」と言った感じの微妙な感謝の言葉を言われるの。

私、それだけは避けたいわ。
だから私、考えたの……シンプルに甘い物以外で行くってね。
長門には紅茶、止にはお煎餅……それを選んだ理由なのだけど、好きなのよ……その2人がね。
だからそれをあげるの。

「さて、恵には……毎年恒例のあれね」

彼女は辛い物が好きだから、それをあげるつもりよ。うん……完璧。
でも、私が言ってた問題があるわ……それは渡した後、普通に渡して、はい終わりじゃつまらないわ。

だから何かをしないといけない。
その何かは毎年変えていかないとダメ、じゃないと面白くないもの。
去年はハグしたわ、ハグした瞬間押さえきれなくって胸を揉んでしまったけれど……うん、気を付けないといけない。

でもあの時の3人の反応、可愛かったわ。
まぁ恵には思いっきり打たれたのだけだね……。

「どうしようかしら」

考えものね。
正直言うとハグしたい、女の子には好き同士になるまでは極力手を出さない、と言うのが私の百合道……でっでもバレンタインですもの。

ハグして愛し合いたいのは事実。
自ら禁を破る事になるけど……ハグしちゃう? だって、今年は胡桃がいる。
抱き心地を確かめたいわ! じゃなくて……ハグして愛を深めたいの、決して女の子に触れたいからするんじゃないの。

あくまで目的は後者、勘違いしないで。

「ふふふふ……胡桃、結構力強いから他の女の子と抱き心地違うのかしらぁ」

……。
こほんっ、まぁとにかく……明日はそんな感じで行こう、プレゼントを渡す時間は仕事が終わった夜。
二人きりになった瞬間を狙う……そう言う風に行きましょう。

「作戦は完璧、後は渡すときの台詞……それは後で考えましょう。私には出来る」

自分に言い聞かせた後、もう眠る事にした。
ゆっくりとベットまで歩いて行って、ベットに置いてあるリモコンで照明のスイッチをOFFにする。

フッ……と灯りが消え、私も眼を瞑りゆっくりと呼吸をし始める。
明日は忙しくなるわ、そして……大変な日になるでしょう、でも頑張るわ……全員攻略ハーレムエンドを目指しているもの! 大いに気合いを入れましょう、明日はいつも以上に頑張らないといけないわ、ふぁいと……私!

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