住み込み就職 お仕事時々お遊び

わいず

聖戦前日、男子静かに臨戦す 2

どうも、久し振りだな。
覚えてるだろうか? 眼鏡男子の山田だ。
今日も今日とて学校生活が始まっている。
今は授業中だ、さっきまで賑わっていたのに、今は凄く静かだ。

聞こえるのは先生の解説と黒板にチョークで文字を書く音だけ。
あっ、あとは鉛筆のカリカリカリって音もしている。
俺も今、黒板にかかれた物を書き写してる所だ。

さて、話しは変わるが……聞いて欲しい事がある。
今は2月だ、2月には俺達男子にとって忘れてはいけない日があるのをご存知だろうか?

そう、それは……バレンタインデーと言う。
我が校の男子生徒は影ながら聖戦と言っている。
まぁ、世の男子は誰しもが気にするんじゃ無いだろうか。

女子からチョコを貰う。
貰えたら嬉しい、そう凄くな……かく言う俺も男子。
そう言う気持ちは大いにあった……今まではな。

「……」

カリカリカリ……。
しかしどうした事であろうか、今はなんと……女子同士の友チョコなる物に注目してしまってる自分がいる!

くっ……今もこうして、シャーペンで文字を書いてはいるが、動揺して震えてしまっている! これじゃ、後で復習するときに読み辛いだろうが!

「あぁぁ……でぇぇ、この式がぁ、こうなってぇぇ。あぁぁ、こうなるわけだなぁ」

くっ……先生の言ってる事にも集中して聞けない! あぁぁ、胸が騒がしい! どうしてしまったんだ俺はぁ!

おっ落ち着け、落ち着くんだ俺! 今は授業中……集中しないと!

「あぁぁ。じゃぁ……この問題をぉぉ、解いて貰おうかなぁ」

その時、俺とクラスメイトに電撃走る! 問題を……解いて貰うだと……!! いっいかんっ、今の状態の俺が名だしされたりしたら……全く授業を聞いてなかった性で解答不可! そうなったら皆の笑い者になってしまう!

くっ……願わくば、先生が違う人を言ってくれる事を願うしかない。
そんな念を込め、手を合わせてると……先生が違う「んぁぁ……」と唸りながら品定めするかの様に皆を見渡す。

その間、クラスメイトはざわつく。
当てるな、こいつを当てろ! 俺は分からんぞ! なんて思考が飛び交う。
その刹那……先生が口を開いた。

「うん、決めた」

びくっ……。
身体が大きく震えた、だっ誰を当てる気だ?先生の目線は……良かった、俺に向けられてない!

「今日はぁ、えぇぇ……2月13日だからぁ……」

この時、出席番号2 、13そして1、3、12、14のクラスメイトが大きく反応する。
そのまま2か13の出席番号の生徒を指名するのか、はたまた、その前か後ろの人を指名するのか……さぁ、どっちだ!!

「出席番号13!!」
「ぐぁっ!!」

なんと、ストレートに出席番号13の生徒を指名した。
絶望に歪んだ顔をして項垂れるクラスメイト……運が悪かったな。
だがこれも運命、受け入れるんだ……。
って、ん? あの先生……笑っている? はっ! まさか……っ!!

「と、見せ掛けて山田! 君に決めたぁっ!!」
「…………え?」

フェイントだ!! 先生がたまにやる実に迷惑極まりないフェイント!! この外道めっ!!
……しかも、よりによって呼ばれたのが、俺……だと!

「えと、出席番号13番じゃ……ないんですか?」
「わっはっはっ。先生なりのお茶目だ。面白かっただろう?」
「ぜんっぜん面白くないです……」

文句を言うが、先生は笑いながら問題を解くようにいってくる。
くっ……ぐぬぬぬぬ、授業中考え事し過ぎた性で全く答えが分からない!

「どうした山田、はやく答えを書きに来なさい」
「はっはい……」

くっ……仕方無い。
やるしかない、やるしかないんだ。
そう思い、俺は立ち上がるそして一歩前に出ようとした……その時だ。

キィン……コォン……カァン……コォン……

チャイムが鳴った。
その刹那、俺は大いに喜んだ、そのチャイムが天からの神聖な鐘の音に聴こえた……。
おぉぉぉ……っ、まさしく天の福音だぁ、たっ助かった……。

「なんだ、もう終わりか。じゃ……この問題は各自解いとく様に」

そう言って先生は出ていった。
俺は、どっと疲れて席につく。
ふぅ……やれやれ、授業中集中してなかった性でとんでも無いめにあった。

どうやら、このモヤモヤ……早めに解消した方が良いらしいな……。

コメント

コメントを書く

「コメディー」の人気作品

書籍化作品