住み込み就職 お仕事時々お遊び

わいず

こんな人でもやれるんですっ!

止さんが自由過ぎる行動をして暫く時間が経ちました。
その時私は、ただ無心で仕事をしています。

止さんですか? 今はきちんと働いてますよ。
なんか「よしっ、やるぞ!」と気合いをいれて仕事し始めました。
それを見た長門さんは「……私も仕事するか」と呟いて仕事し始めました。

……なんですか? 止さんと長門さんは、初めから真面目に仕事できないんですか?

とか思いましたけど無視です無視、関わったら仕事が遅くなります。
今は時間が経って日も落ちてしました、なのでお客様が沢山入ってくる時間……関わってる場合ではありません。

でもまぁ、正直言うならば……真面目に働けって思いますけどね。
しかし我慢ですよ我慢、私が注意した所で聞きませんからね……。

なのでここは、しっかりと仕事をするのが正しいのです、それに後少しで恵さんも帰ってきます。
それまで我慢です!

「はっはっはっ、そう固くなるな、私が恋愛テクの全てを教えてやろう!」
「……あっ、結構です」
「遠慮するな、全てを知れば楽になれるぞ」

……はい、これも無視します。
私がレジ打ちしてる前で何時もの様に長門さんがお客様に絡んでますが無視です無視。

すみませんがお客様、自分で解決してくださいね。

と、思ってた時です。

「たっだいまぁ……って、あれ? とまちゃんがいるじゃん! え、何この状況……」 

恵さんが帰ってきました。 
で、止さんを見て驚いてます、あはは……そりゃ突然こんな状況見れば驚きますよね。

なんて染々思っていると、止さんが、ぱぁっと明るい顔をしてレジに足を乗っけて「とうっ!」と言う掛け声と共に跳び下り恵さんに駆け寄って行きます。

「恵ちゃぁん、ひっさしぶりだなぁ」
「きゃっ、ちょっちょっといきなり抱きつくなっ」

……。
ここで愛くるしい仕草を見せてくる止さん、その仕草に皆さんは釘付けです。
くっ……可愛い、あざとい、愛くるしいっ!

くっ、満面の笑みで抱き付くなんて……そんなアニメや漫画じゃあるまいし、そんな事をさらっとやってのける止さん……ある意味怖いです。

そして、抱き付かれた方の恵さん……顔を真っ赤にしてて可愛いです。

はっ! いけません……仕事しないと、あっあと恵さんに「お帰りなさい」言わないと。

「きししし、相変わらず恵ちゃんは良い物を持ってるねぇ」
「え? ちょっ! 何身体寄せ付けて来てんのよ!」
「うはぁ……抱き心地良いなぁ」
「やっ止めなさいよ、ばかぁっ!」

……………あ、なんか凄い事が始まって言なくなりました。
止さんが犬の様に恵さんにじゃれてます。
恵さんに、ぎゅぅぅっと抱き付いちゃってます。

なっなんと言うか……私には、止さんの頭に犬耳、お尻に尻尾が見えてますよ。
そう、錯覚してますよ!

もうあれです、完全に尻尾を振ってます。
それを見て、恵さんは恥ずかしがりながらも付き合ってるって感じです……。

そんなの見たら自然と手が止まって見いっちゃいますよ。

「萌え」
「萌えだ」
「マジ萌える」

ほら、私だけじゃなくお客様だってそうです。
もう、その場に突っ立って「萌え萌え」言ってます。
男女関係なくです!

「ふむ……これが無意識に行われる可愛い仕草か。やるな、止」

そして長門さんはそれを見て感心してます。
腕を組んで、首を縦に振ってます。

……えと、何に感心してるんです? あっ、きっとあれですね。
少女漫画的なあれですね、分かります。

「……キマシ」
「え? 七瀬さん、何か言いましたか?」
「いえ、何も」

隣のレジでそう呟く七瀬さん、彼女もあの光景を見ています。
……あれ? 何故か鼻を押さえてますね、何故でしょう?
と、そんな疑問を浮かべてると。

「いっいい加減誰か止めなさいよぉぉぉぉぉっ!!」

恵さんが叫びました。
…………あ、忘れてました。
そう言えば止めなきゃですね、という訳で止めに入ります。

「止さん、もう離れましょう」
「えぇ……何でだよぉ」

私は直ぐに2人に近付いて、止さんを抱っこして引き剥がします。
そして床に降ろしたら、そんな事を言われました。

「人前で抱きつかれるのは……はっ恥ずかしいからじゃないですか?」
「なんだぁ、そう言う事かぁ」
「そう言う事かじゃないわ、このアホ!」

べしっ!!

「いったぁぁ、何すんだよ! 打つのはいけないんだぞ!」
「うっさい!」

あっあはは……。
止さん、叩かれちゃいましたね。

「ふふ、見事な萌え萌えな光景だったな」 
「わっ! 長門さん!? 急に横に来ないで下さいよ!」

びっ、びっくりしたぁ。
苦笑いしてたら急に現れましたよ、この人……。

「そんなに驚く事はないだろ?」
「いや、驚きますよ……」
「むぅ……そうか」

そうです、誰だって、急に人が現れたら驚きます。

「まぁ、そんな事は置いといてだ……」
「あ、置いとくんですね……」
「ふむ、置いとくのだ。……どうだ、今ここにいるのご一緒に働くメンバーなんだが……上手くやれそうか?」

……。
とっ唐突にそう言う事言うんですね。
もっもう少し場の空気を呼んでくださいよ、明らかに言うタイミングじゃ無かったでしょう。

と、思いましたが……私はその質問に答えます。

「そっそうですね……店員が個性豊か過ぎてある意味不安です」
「む、そうか……個性は大切だから不安になる必要は無いんだぞ?」

そう言って微笑む長門さん、まぁ……個性は大切ですよ? でも……強すぎる個性はどうかと思いますよ?

「……はぁ」
「む、どうした? ため息なんか吐いて」
「いえ、何でもありません」
「そうか、じゃぁ、そろそろ仕事始めるぞ! おーい、止、恵、そろそろ手を動かせぇ」  

そう言って長門さんは去っていきます。
あれが店長、あれで店長……このお店を支える人。

有り得ないと思うんですけど……これでも社長ですからね。
手腕はあるんでしょう、けれど常識はありません……。
こっこんな人でも社長になれるんですね。

まぁ、取り合えず……。

「私も仕事しましょっか……」

そう呟き働く私、今日も今日とて何時も通り賑やかに時間は過ぎていくのであった。

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