住み込み就職 お仕事時々お遊び

わいず

騒ぐ大暴走査線、橋とかは封鎖しなくて大丈夫そうです 3

白い暖かい服を着た私は辺りを見渡します。
右を見ればクレーンゲーム、左を見れば色々なゲームが置かれてます。

そして、人が沢山います。
おもにチャラチャラした感じの人が多いですね……。

「やけに騒がしい所ですね。初めてはいりましたよ……ゲームセンター」

はい、あれから長門さんの話を聞いて、私はゲームセンターにいます。
かなり大きいゲームセンターです。
だからなのか、至る所から電子音がなってます。

……うん、やっぱり納得出来ないですね……なんで私、勤務時間中にゲームセンターにいるんでしょう?

それは長門さんが「止捕獲作戦を決行する!」って言った後の事です。
こうなった経緯になったのをお話しましょう。



「ゲームセンターの張り込みをしなければならない!」

……はい。
のっけから意味不明ですね。
何がどうして、ゲームセンターを張り込まないといけないんでしょうか。

「あの……張り込みって大袈裟じゃないですか?」

なんて事を言ったら、長門さんは私の側にやってきてこう言いました。

「止はゲームを買いに行くと言ったな?」
「はっはい」

うっ、顔が近い……と言うか、顔が怖いです。
どれだけ真剣なんですかこの人は……。

「ならば、買いに行くとしたら外に行く。ゲームはこのビルにも売られているが、止は"ゲームセンターで遊びたい"と言う理由で必ず外に行く筈だ」

あるんですねオモチャ屋……ほんと、なんでも揃ってるんですね。

「つまりだ……止は朝早くから此処を出て、商店街を抜けた先にある大きなオモチャ屋に向かう。そして帰りは商店街の中にあるゲームセンターで遊んでから帰ると言う事になる」

ほっほぉ……なんか、ここまで聞いてると、長門さんって止さんの行動を知り尽くしてる感じがしますね。
まぁ、それが当たってるかは知りませんけどね。

「だから胡桃」
「はっはひ!?」

わわっ、いきなり大声で呼ばないで下さいよ、驚くじゃないですか……。

「商店街にあるゲームセンターに言ってくれ」
「えっえと……それ、本気で言ってます? 今、勤務中ですよ? 常識的に可笑しいんじゃ」

ないですか? って言おうとしたら……。

「そんな悠長な事言ってる場合かっ、止が厳つい男に誘拐されたらどうする! あぁぁっ、心配だぁぁ」

てな感じで話を遮られました。
なっ長門さん、涙ながしながら言ってますね。
……なんと言いますか、物凄く心配なのは分かりました。
ですけど、少し心配が過ぎるんじゃないですか? って感じちゃいます。

「と言う訳だ。行ってくれるな?」

……なんでしょう。
凄い真剣に見つめてきます、もう視線で言ってますよ。
「行け」と……これ、断ったら煩くなるんでしょうね。

「分かりました……行きますよ」
「そっそうか、ありがとう!」

がっ! と私の手を握ってくる長門さん。
ほっ、とした表情の長門さんは、私の手を離した後、今度は七瀬さんに話し掛けます。

「七瀬」
「分かってる、私はオモチャ屋の近場にあるファストフード店を当たってみるわ」
「ありがとう!」

わっ、七瀬さん……場所を言われてないのに良く分かりましたね。
こう言う事、前にもあったんでしょうか?

「私は、ビル周辺を探す。見付けたら私に連絡してくれ」

そう言った後、七瀬さんは部屋から出ていこうとします。
そして、扉の前に立った後、立ち止まって。

「最悪、見付からない場合は橋とかを封鎖して、止の行動範囲を狭める」

……うわっ、この人、さらっと凄い事言いましたよ? まっまさか本気で言ってるんじゃ……あ、振り向きましたね、こっちを見てきました。

……うっうん、目が本気でした。
冗談を言ってる感じに見えません。

人を探すのにそこまで考えるなんて軽く引きましたよ。
とか思ってると……。

「各自作戦開始っ!」

って言い放ちました。
その後、長門さんは出ていきました。

「胡桃」
「はっはい!」

その時です、七瀬さんに話し掛けられました。
七瀬さんは私にスマホを見せてきます。

「これ、止の写真……後で胡桃のスマホにも送っておくわ」
「はっはい……ありがとう……ございます」

私がお礼を言った後、微笑み七瀬さんも出ていきました。

……残された私は「本当にお店を閉めちゃいました」と呟き、部屋から出ていくのでした。


と、そんな事があって今に至ります。
はぁ……さっさと止さんを見付けて帰りたいです。
そう思いながら、止さんを探す為に歩き回る私なのでした。

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