住み込み就職 お仕事時々お遊び

わいず

がっこ生活、暗躍する親衛隊 2

がっこの時間はどんどん進んだ。
得意な数学の時間、苦手な英語、普通な現国に大嫌いな体育、それらが終わって今は昼休憩、現在学食でお昼を食べてる所ね。

学食はとっても広い、皆講堂に集まって口々に注文してる。
それを素早くさばく学食のおばちゃん達は凄いと思う。

そこから少し離れたスペースであたし達学生がわいわい騒いで食事を楽しんでるわけ。

そこでバイト先の話をしてる、話題は胡桃さんの事だ。
そしたら友達2人が驚いた、あっ言ってなかったけど、あたしがいつもお昼食べる時この2人で食べる。

「えぇ、恵ちゃんとこのバイトに新人来たんだ、そんな話聞いてないよぉ」
「まぁ、言ってないからね」
「なんで言わないのよぉ」

こんな風に友達同士で集まってご飯食べてる、因みに私が頼んだのは激辛カレー定食よ。
それをスプーンで掬うと2人がブーイングしてくる、そんな事してたら昼休憩終わるよ?

「別に言わなくても良いじゃん、あんた達あたしのバイト先こないじゃん」
「それとこれとは話が別!」

食べるのを止めて、前のめりになってあたしに言い寄ってくる。
なっなんかやたら目がキラキラしてんだけど、なんで?

「で? どうなのその子は、年上? 年下?」
「年上だけど……」
「きゃぁ、年上なの? 羨ましぃ」

ほら、やっぱり目キラキラさせてる。
って、あれ? なんか2人の話聞いてたら違和感あるんだけど、なんかこの2人胡桃さんが男って思ってない? まぁまだ「女だよ」って言ってない私が悪いんだけど……。

「ねぇ、どんな人? 格好良い?」
「えっ、どんな人か……えと、真面目な人ね、テキパキ働いていい人ね」
「えぇ、良いなぁ、で? 格好良いの?」

二度「格好良い」のか聞いてきたわね、余程重要な事みたい。
でも目をキラキラさせてる所悪きんだけど、胡桃さんは男なのよね、あわよくば紹介して貰おうとしてるでしょうけど、ここはちゃんと言わないとダメね。

「えぇ格好良いわ、赤髪ショートヘアでハスキーボイスなの、でもその人……」

男だよ、って言おうとした時だ、2人の目がより輝いた。

「まっマジで?」
「ハスキーなの? きゃぁ、きっと俺様系よ!」
「でっでも私、俺様系よりクールな人を想像したなぁ、ほらハスキーボイスでクールって素敵じゃない」
「えぇ? でも赤髪よ赤髪! 赤髪=俺様系よ」
「違うわ、クールな人よ」

うわ、どうしよ……なんか勝手に燃え上がってる、早く誤解を解かないとダメね。

「ねぇ2人共、勝手に燃え上がってるとこ悪いけど胡桃さんは……」
「恵っ」
「けぇちゃん!」

うっ、また話を遮られちゃった。
と言うか早く食べなさいって、あたしも食べたいんだから。

「喋り方は? 喋り方はどうなの?」
「え? 敬語かな……年上だけど、これが喋り易いって言ってたわ」
「うっ嘘、格好良くて赤髪でハスキーボイスで敬語? キャラがぶれまくってるわ」

ちょっ、それ本人に失礼だから! 胡桃さんは胡桃さんだから。

「でっでもさ、逆に良くない? 私はたぎっちゃうわ」

たぎるって、あの七瀬へんたいと似たような事言わないでよ、思い出しただけでも身震いするんだから。

「ねっ、ねっ、目は? 目はどうなの?」
「え? 別に普通の目だけど……」

もう席を立って私の横に来る2人、あんた達午後の授業空腹でどうなっても知らないよ?

「違うわよ、寝むた目ぇだとか、ジト目とかあるでしょ?」
「そうだよ、目付きは重要だよ、幾らイケメンでも目がタレ目だったらダメなんだから!」

なによそれ、可笑しくない? タレ目でも良いじゃない、まぁ胡桃さんはタレ目じゃないんだけど。

「ちょっぴり鋭いかしら、初見は怖い印象を持つけど、いい人よ?」
「すっ鋭い目……こっこれはあれね」
「そうだね……」

私を挟んで並ぶ2人はお互いに顔を見合わせる。
なんか良からぬ事考えてない? 頼むから可笑しな事言わないでよ?

「彼氏候補確定ねっ」
「という訳でけぇちゃん! 放課後紹介してね」
「えっ、ちょっ、2人共……って、どこ行くのよ!」

だから胡桃さんは男なんだって! って言おうとしたら2人は購買で買ったものを持ち並んで何処かへ行っちゃった、やけにニヤニヤ笑ってる。

「決まってるじゃない、作戦会議よ!」
「必ずその年上男を落としてやるんだから!」

あっ、これ不味い……絶対にややこしい事になる。
と言うか2人共同時に告白する気? 胡桃さんに二股かけさせる気?

「ちょっ、ちょっと待っ……」
「止めないで胡桃!」
「そうだよけぇちゃん! 本当に付き合う訳じゃない、その人との出会いを楽しむ為に付き合ってもらうの!」

ふっ2人して、あたしのバイト先のてんちょと同じ事言わないでよ!
なっなによこれ、2人がこんな出会いに飢えてる娘だなんて知らなかった。
普通にお洒落な会話とかする娘だったのに……くっ、あたし可笑しな友達持っちゃった見たい。
心の中で嘆いてると2人はもう食堂からいなくなってた、しまった、止め損ねた……。

「こっこうなったら放課後までに男だと伝えるしかない!」

そう決心した私は激辛麻婆を掻き込む、うぅ……折角の大好物なのに急いで食べたくない。
でもそうしないと、暴走した2人は何をするか分からない……はぁ厄介な事になっちゃったわね。

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