住み込み就職 お仕事時々お遊び

わいず

お客様は色んな人がいる 4

天塚さんのいない時間はとても忙しい。
でも何とか頑張っていきます、そしてそれから時間が経ち4時くらいでしょうか、男子学生のお客様がやってきました。

「私は思う、学舎まなびやには悪魔が住み着いていると、だからこそ私の様な生徒エージェントがいる、君に理解出来るか?」

真っ黒な髪の毛をオールバックにし、格好いい指輪をはめた男の子、うっうわぁ、なんか変な人が来ましたぁ。

「ふっ、すまない、常人には理解不能な事だった、忘れてくれ」
「はっはぁ」

買い物かごを持たずに私に話し掛けてくるその人はレジの横にあるファストフードの棚を見ます。

「マスター、コンチキと言う物をくれ、一番いいのを頼む」
「わっ分かりました」

きらんっ、白い歯を見せ語る学生のお客様、なんと言うか……その、非常に病んでいらっしゃる方ですね。

「時にマスター」
「はっはい」
「私の後ろにいる静寂に佇みながら仕事をしている者……奴は何者だ?」

へっ、あぁ確かにいますね七瀬さんが、今商品を整理しています。
時折、このお客様を見てますね。

「へ? あぁ七瀬さんです」
「名は聞いていない、私は何者かと聞いたのだ、ん? 私の名か? 生徒エージェントになったと同時に捨てたよ」

どうしよ、本当にどうしましょう。
この方のノリが良くわかりませんっ、痛いですっ、この人痛いですよ。
何ですか名を捨てたって……厨二病みたいな事言わないでくださいよっ。

「さぁ彼女は何者だ?」
「こっこの店の従業員です、あっお待たせしましたコンチキです」
「そうか、従業員か……ありがとう」

話してる間にケースにあったコンチキを取り出し袋に入れお客様に渡します。
すると、黒皮の財布を取り出し、中からお金を出します。

「彼女は強者だ、立ち姿で分かる、とてつもない何かを秘めている」
「そっそうですか……あっ、丁度頂きます、レシートは要りますか?」
「不要だ、情報と言う物は己で知るべきだからね」

ふっふっふ……。
妖しく笑いながら、コンチキを手に取る、あっ……レジ袋いるかどうか聞くの忘れてました。
でも、そのまま持ってたから良いでしょう、次から気を付けましょう。

「この店のコンチキと言う物は良い、ここでの食事と我が家の一時だけが学校せんじょうでの出来事たたかいの日々を忘れさせてくれる」
「あっありがとうございました」

格好いい捨て台詞をいった後、彼はイートインスペースに行きました。
なんなんでしょう、この天塚さんと同格の対応の面倒くささは。
はぁ……、思わずため息をついてると七瀬さんがやってきました。

「レジ交代の時間」
「あっ、はい」
「ポテチが尽きそう、補充お願い」
「分かりました」

と言う訳でレジ交代です、頼まれたポテチの補充をしましょう。


「ただいまぁ」

あれからまた時間がたった頃、恵さんが帰ってきました。
学生服からお店の制服姿になってます、あっ相変わらず胸が……その、けしからんですね。

「お疲れ胡桃さん、今からあたしも手伝うね」
「あっありがとうございます」

助かりました。
正直、2人での仕事……ちょっぴりキツくなってきた所なんです。
この時間帯、お客様が良く来るのか対応に困ってたんですよね。

「胡桃さん疲れた顔してるけど、どうかした?」

私の顔を覗き込んでくる恵さん、とても心配そうな顔をしてます。
あっ顔に出ちゃってましたか、いけないいけない……顔をぺしぺし叩いて笑顔を作ります。

「……ちょっと可笑しなお客様が来ましてね」
「へぇ大変だったのね」
「えぇとても、なんか変な事を言う学生さんでしてね、黒髪のオールバックの方でして……天塚さん並みに対応に困りましたよ」

やれやれ、と言いたげに手を広げて言います。
今どきいるんですね、あぁ言う人……まぁ昔は私もヤンチャやって変な口調で喋ってたから人の事は言えませんね。

って、あら? 恵さんの様子が可笑しいです、なんか知りませんが苦笑してますね……疑問に思いながら、じぃと見てると自分の髪を弄りながら言いにくそうにこう言ってきました。

「えと、多分その人……私のクラスの生徒会長だわ」
「…………え」

せっ生徒会長!? あっあの人がですか?
あまりに意外だったので手に持っていた商品を下に落としてしまいました。
慌てて拾って恵さんを見ると「普通に頭良いし運動神経良いんだけど……ちょっとね」と言って仕事をしていきます。

えと、あの……なっなんか恵さんの学校が心配になってきました。

そんな想いを抱き苦笑する私は「やっぱり人は色んな人がいますねぇ……」と心の中で思います。

十人十色とは良く言ったものですね……でも、個性の強い人の対応は疲れますよ……。
そう実感しながらお店での一時は進んでいくのでした。

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