住み込み就職 お仕事時々お遊び

わいず

止さんと恵(けい)さん 1

「まずは止の事から話すわ」
「はい」

度々聞いた止と言う名、確かゲーマーだと言うこと以外聞いていません。

「小片 止、小さくて活発な19歳、黒髪ツインテ、胸は少し膨らんでる感じ、前にも前にも言ったけど彼女はゲーマー」
「へぇそうなんですか」

小柄な女性ですか、胸が小さそうなのは共感が持てそうですね、大きさ的には七瀬さんよりも小さい感じでしょうか? 七瀬さんは服越しで良く分かりませんがそこそこある様に見えるんですよね……妬ましいです。

「あと、行動がバカっぽい」
「ばっバカっぽい……」

そっそんなはっきり言わなくても、その止さんって人がいないからって酷くないですか?

「まぁ言うなれば人懐こっい子犬見たいな娘よ」
「へぇそうなんですか」

子犬、純真な娘なんですかね、聞いてて分かりました、仲良くなれそうな人です!

「でもその娘、今お店にはいないわ」
「え、そうなんですか? ってお店でも言ってた気がしますね」
「えぇ12月29日にアメリカへ飛んだわ」
「へぇアメリカにですか……って、さらっと凄い事言いましたね」

アメリカなんて1度も行った事ないですよ。

「そう凄いの、止はそこで開かれるゲームイベントに参加してる、もう終わったけど」
「へぇ止さん、行動力あるんですね」

感心しますねぇ、それほどゲームが好きなんでしょう、そうでなければアメリカまで行けませんよ。
しかもイベントに参加ですか、なんかそう言うのって羨ましいです、私も何かのイベントに参加したいです。


「止はプロゲーマー、ゲームするのが仕事、でも仕事じゃなくても彼女は行ったわ、止はゲームが好きだから」

ですよね、好きだからこその行動ですよね。

「今は日本に帰ってきてる」
「そうなんですか?」

だとしたら何で姿を見せないんでしょう? 時差ボケ解消の為ですかね。

「日本に帰国したら直ぐに大阪で開かれるゲームイベントに参加したの」
「えぇ!? 帰国直ぐにですか!」

違いました、またイベントに行ってる見たいです、行動力+体力もあったようです、普通は疲れて無理ですよ?

「そのイベントも終わってる、開催したのが1月2日だから」
「えぇ? じゃぁなんで姿を見せないんですか? 時差ボケ解消ですか?」

そう聞いたら七瀬さんは目を瞑り首を横に振るう、そして目を見開き人差し指を立ててこう言いました。

「止は今、新作ゲームソフト売り出しイベントに参加してるわ」
「…………え」

おっおぉぉ、行動力と体力の他にお金の力もある様ですね、絶句しちゃいましたよ。

「止はプロでゲームの大会の賞金でご飯を食べてるわ、それに彼女はゲーマーが世界レベルで上手い、お金なら沢山ある」
「すっ凄い……ですね」

だからこその、あのハードスケジュールですか……にしてもゲーム愛が凄すぎますね。

「うん、凄いわよ、止はゲーマーの中では有名人、それ位名が知れてるの」
「そんな人がなんでコンビニの仕事をしてるんですか?」

聞けばかなり稼いでるイメージです、なのにちゃんと働いてます、ちょっと気になったので聞いてみましょう。

「交通費を稼ぐ為よ、プロゲーマーで他の仕事をしてる人は少なくは無い、そう聞いたわ」

なるほど初耳です。

「話しを変えるわ」
「あっ、はい」

七瀬さんは髪を揺らして話してきました。

「で、止なのだけど」
「はっはい」
「新作ゲームを買った止は2週間部屋に籠るから胡桃と顔合わせするのは先になるわ」
「その人、本当にコンビニで働いてるんですか?」

思った事を言っちゃいました、だってそう思っちゃうのも無理も無いじゃないですか、 そしたら七瀬さんはキッパリ言い切りました。

「えぇ働いてるわ、長門がそれを許してるもの」
「そっそうですか」

私が店長なら許さなかったでしょうね、でも長門さんら許しちゃうんですね、心が広いです。

「会いたかったら部屋に行くと良いわ、多分明日には戻って来てる………筈」
「そうですか、でも随分曖昧な返事ですね」

会えるのなら"筈"なんて言わないですよね?

「泊まり込みでゲームセンター巡りをしてるかも知れないもの、会える可能性は半々」
「…………」

年末年始ゲーム大会のイベントに参加した上にゲーム購入イベントにも参加、それに飽きたらず泊まりがけでゲームセンター巡りをする。
で帰って来たら買ったゲームをするんですよね? 良くそんなにゲームが出来ますね、プロゲーマーってこれが普通なんでしょうか?

「あっダメだわ、大切な事があった」
「え、なっなんですか?」

がっ! と私の両肩を持ち真っ直ぐ見つめる七瀬さん、隙あらばタッチしてくる人ですね。

「止が帰って来たとしても直ぐに部屋にこもって買ったゲームをするの」
「まぁそうでしょうね、聞く限りだと直ぐやっちゃう人ですよね?」
「えぇやるわ……で、その間止の部屋に入ったら」
「はっ入ったら?」
「凄く怒るの」

凄く怒るんですか、そうですか。

「で、ゲームがやり終わった後、ゲームの出来によって追加でこもる期間が長引く」
「えと……その人引きこもってませんか? ちゃんと働いてます?」
「割りと」

わっ割りと……ですか、適当すぎでしょう、もっと頑張りましょうよと、ここで言ってもダメですよね? だってこの場に止さんと言う人はいませんから。

「と言う訳で暫くは敢えないわね」
「その様ですね」
「来月なら会えるかも知れない、流石に長門が部屋から引っ張り出す」
「でっですよね?」

なんか安心しました、長門さんは色々とゆるい人ですら放っておくと思いましたがそんな事はありませんでした。
お店の社長兼店長ですものね?  そりゃ長期間仕事をサボったらそうしますよ。

「会いたかった?」
「えっいえ、大丈夫ですよ? ちゃんと待てます」
「そう、私は早く会いたいわ、だって可愛いもの」

? 七瀬さんが「可愛いもの」って言った瞬間瞳がとろーんとした気がします、それと身体がゾクリと悪寒の様な物を感じました、多分それは気のせいでしょうね。

「でも明日はけいが来るわ」
「へ? けっ恵さんって誰ですか?」

初耳の名前が出てきました、もしかしてもう1人の働いてる人でしょうか?

「日向 けい、現役高校生よ、ここで住み込みバイトをしてるの、次はその娘の話をしてあげるわ」
「あっはい、お願いします」

七瀬さん、色っぽく笑ってますね、その娘の事を話すのが嬉しいんでしょうか?

止さんはプロゲーマー、恵さんと言う人は高校生、さぁ一体どんな人なんでしょう?

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