住み込み就職 お仕事時々お遊び

わいず

大切な事はタイミングを見極めて話しましょう

食事が終わって私達は最上階へ行きました。
そこの階のコミュニケーションルーム、と言う所に私達はいます。
その部屋はまるで大広間の様に広い所で大画面テレビや高級そうなソファに色んなボードゲームが収納された棚が沢山あります、他にも色々あるんですが今は割愛させて頂きます、何故なら。

「うっうぅ、胡桃が苛めたぁぁ」
「よしよし、泣かないで」

ソファに座り七瀬さんの膝に泣き付く長門さんがいるからです。
その横にいる私は苦笑いしてその様子を見てます、ちょっとやりすぎちゃいました。

あの後少しお話したんです、と言っても簡単な事ですよ? ただ私は「あんまり人の事笑いやがるとドタマカチ割りますよ?」とかるーく言っただけです、ほんと軽くですよ? お母さんが子供に「こらっ!」って言う程度にですよ?
なのに……それ言った瞬間急に泣いて逃げちゃったんです、私より年上なのにそれはもう無様に……おっと、失礼な事を思ってしまいました。

「うっうぅ胡桃は酷いんだ、羅刹も恐れる表情で頭をカチ割ると言ったんだ!」
「そっそんな顔してませんよ!」

らっ羅刹ってそんな物騒な、確かに私は目付きは悪いですよ? でも流石にそこまでじゃありません。

「胡桃」
「なっなんですか?」

とか思っていたら七瀬さんに睨まれました、なんか恐いですね。

「長門はお豆腐メンタルだからあんまりキツく言っちゃダメ」

うわぁお、私を叱りながら遠回しに長門さんをけなしましたね。

「んなっ! だっ誰が豆腐メンタルだ! 私は鋼のメンタルだぞ!」

ぎゅっ! って七瀬さんの服を掴む長門さんは涙ぐみながら言いました、えと、これは七瀬さんの言う通り長門さんのメンタルは豆腐の様に脆いのかもしれませんね、だって例え私の表情が恐かったにしても泣くほどではないと思うんですよ。

「じゃ、泣いちゃだめ」
「うっ、そう……だな」

ぽんっぽんっーー
優しく長門さんの頭に触れる七瀬さん、その表情はとても優しいものです、七瀬さんってこの職場では面倒見の良いお姉さんみたいですね、でもなぜ口からよだれを垂らしているんでしょう? まぁ気にしないでおきましょう。

「胡桃も長門に謝って」

え? あっ謝る? 一瞬なんで? って思いましたが直ぐにこう考えました、どんな理由であれ恐がらせてしまったんです、謝らないといけませんね。
なので私は立ち上がりました、そして深々と頭を下げます。

「ごめんなさい長門さん、少し睨み過ぎちゃいました」
「え、あっあぁ、私もからかい過ぎた、すまん」

長門さんも立ち上がって私と同じ様に頭を下げました、その時です。
長門さんが、ぱんっーーと手を叩きました。

「はい、これでこの話しは終わり……他の事しよ」

顔を上げると笑顔の七瀬さんがこっちを見てました。
眼鏡ごしのその目はとても穏やかで、その表情を見たら私も長門さんも同じ様に笑顔になり……自然と私達も笑顔になっちゃいました。

「そうだな、他の事するか……何が良いだろうか?」

長門さんはそう言って私を見てきます、え? もしかして私にふってます? と言うか切り返え早くないですか? まっまぁ……良いんですけど。

「そっそんな、私に言われても何も思い付きませんよ」

と、私が言うと長門さんが「それもそうか……」と言って今度は七瀬さんの方を向きます。

「七瀬はどうだろう? 何かしたい事はないか?」
「ここなら遊ぶ物が沢山あるけど迷う、こんな時、とまるが居れば良い案が出たのに」

申し訳なさそうに俯く七瀬さん、その話の中に謎な言葉がありました。

「あの、止さんって誰ですか?」

と言う訳で聞いてみます、そして立ちっぱなしもあれなので七瀬さんの横に座ります。
ん? どうしたんでしょう、七瀬の横に座ったは良いんですけど、長門さん顔を真っ赤にして口元押さえてますね……何かあったんでしょうか?

「そう言えば胡桃にはまだ言ってなかったな」

とか、考えていたら私の横に長門さんが座ってきました。
ぱちんっーーとウインクしながら話し出しました。

「止って言うのは小片こがたとまるの事だ、止は19歳にしてプロゲーマーなんだぞ? 今訳あってここにはいないが、とても元気で活発な女性だ、きっと仲良くなれるだろう」

へぇそんな人も働いてるんですか。
って言うか止さんはプロゲーマーなんですね、しかも19歳でですか……驚きです。
えと、プロゲーマーってあれですよね? ゲームでお金を稼ぐ人達ですよね? それを19歳の若さでするなんて凄いですね。
ん? 七瀬さんが私の服を、くいくい引っ張ってますね、なんでしょうか?

「止の他にあと1人いる、現役高校生の人、その娘はバイトだけど」
「へぇ、高校生ですか」

高校生の人もいるんですね、でしたら今は自宅にいるんでしょうね。
お正月ですもの、家族と一緒に過ごすんでしょう、私と違って。

「あぁ、そうだ胡桃、明日からさっそく仕事だから頑張ろうな」

ぱんっーー
と手を叩いて長門さんがそんな事を言いました、少し驚いちゃったじゃないですか……もぅ。

「わっ分かりました!」

そう返事する私は心の中でこう思います。
明日から早速仕事ですか……それは頑張らないといけませんね。
うん、可笑しいですね、明らかにこの流れで言ったら可笑しい事を長門さんは言いましたね。

「って! 幾らなんでも急すぎですよぉぉ!」

私は激しく突っ込んだ、その声は部屋中にこだましました。

「おぉ、のり突っ込みとは……やるなぁ」
「胡桃凄い……」
「かっ感心しないでください!」

この後、私は激しく抗議しました。
「もう少しタイミングを考えて!」とか「今言う事じゃないですよね?」とか……でも無駄でした。
長門さんの「ごめんな、今言いたかったんだ」と言う言葉で無理矢理言いくるめられちゃいました。

はい、と言う訳で明日から初仕事だそうです、ほんっと急な話ですよね……まっまぁここには働きに来たんです、文句は言いません、言いませんけど……いきなり過ぎて心の準備が出来ていません……。
でっでも、頑張らないといけないですよね? なっなら頑張りましょう! やるぞ私っ、えいっえいっおー!

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