一兵士では終わらない異世界ライフ
VS魔道機械
俺は一人、敵陣へと乗り込んでいき敵を斬り伏せていく。左から右へ……どこからともなく湧いてくる敵兵を何の躊躇いもなく、剣でその首を撥ね、弓で心臓を射て、魔術で押し潰した。
そうして、暫くして索敵範囲内に巨大な何かを感知した。この気配は以前にも感じたことがある……と、俺が気配を探って構えているところに、ブーンというエンジン音を立てて何かが俺のもとに向かってきていた。
「……」
弓を構えていると、俺の視界の先に土埃を上げて平原を走る自動四輪の魔導機械が見えた。
自動四輪には何人かの敵兵が載っている。走行車両のようなものだろうか……まあ、何にせよ殺すには変わらないがな。
俺は矢を引いて、水属性でレンズを……風属性で矢に回転を加えて火属性で鏃に爆発的な威力を付加させ、最後に雷属性で全ての力を底上げする……俺の固有弓技。
「【バリス】!」
ズガーンと地面を抉って突き進む矢は一直線に自動四輪へ飛んでいく。轟音と衝撃波が一帯を支配し、嵐の根源が邪魔なもの全てを薙ぎ払っていく。自動四輪は眼前に迫る【バリス】の矢を避けることが出来ず、一閃が煌めいたかと思うと、次の瞬間には【バリス】が自動四輪を貫き、爆発していた。
「ふぅ」
俺は一息吐き、次にどうするかと辺りを見回すとクロロがこちらへ走ってきていた。
「もう!前に出すぎですよ」
「あぁ……悪いな」
俺が軽く手を挙げて言ってやると、「ぐ、グレイくん?」とクロロは首を傾げたが直ぐに頭を振って、言った。
「このまま前線を押し上げましょう」
クロロの言葉に頷き、俺たちが一番戦闘に立って前線をグングンと押し上げていく。
自動四輪を失い、士気の下がった敵の脆弱な前線は直ぐに崩れて、俺たちが押し始めていた。
「グレイくん!」
「任せろ」
俺とクロロは互いの背中を預けつつ、クロロは刀で敵を薙ぎ払い、俺が弓で敵を射抜く。
なんだろう……この感じ。
身体が熱く、魂が熱気帯びている。極限の状態の中で俺は戦っている……おかしいな……戦う前まではあんなに震えていたのにな。
そんなことを思いつつ、隣で戦うクロロに目を向ける。きっと……彼女のお陰なのだろう。
俺は視線を戻して、弓を引いた。
–––☆–––
前線を押していき、陣形の崩れた敵軍に追い打ちをかけるようにして侵攻する自軍……この調子でいけば、勝てる!
と、ここで前線まで上がってきたワードンマが険しい表情で言った。
「魔導機械はどこじゃ!」
そう……俺が破壊した自動四輪とは別にもう一体いると報告があった筈なのだ。それなのに、ここまで前線を押していて未だに現れない……。
「どこにいるのかしら……」
「たくっ……このまま出て来なきゃいいんだけどな」
アルメイサとナルクは口々に言って、向かいくる敵を倒していく。
「ん……?」
ふと、俺の耳に何か聞こえた気がして空を仰いだ。なんだ……?今、何か聞こえたような……俺が天に注目している時、それは突如として落ちてきた。
瞬間、俺の脳内にアラームが鳴り響き、視界に見えたミサイルを迎撃するために、反射的に弓を引いていた。
「上から来るぞ!」
俺が叫ぶと同時に前線で戦っていた何名かが気が付いて、上を見上げた。
およそ数十発というミサイルの雨に、多くの味方が青ざめた顔をした。
俺は矢を番えて【フェイクアロー】で出来る限り撃ち落としていく。
ミサイルと俺の放った矢が衝突し、空中で爆発する。その爆煙が宙で広がっていく。
「〈……討ち滅ぼせ〉【アイスレイピア】」
アルメイサ魔術を唱え、ワードンマは大槌を振ってミサイルを破壊していくが……数が多すぎる!
「このままじゃダメだ!一旦下がれ!」
俺の怒号が轟き、いち早く反応した兵士たちが下がり始めるが遅すぎた……何発が漏らしたミサイルが兵士たちを襲ったのだ。
味方の悲鳴、そして敵の悲鳴……敵味方関係なしかよ!!
俺が内心で叫び上げたところで、ミサイルに追従するようにして巨大なそれが姿を現した。
「っ!?」
咄嗟に俺は身を投げて、その場から離脱したが……衝撃だけで俺の身体が吹き飛ばされた。
「ぐっ」
【ブースト】で身体をなんとか空中で体勢を立て直し、落ちてきたものに目を向けた。クロロもなんとか避けたようで、それを凝視していた。
黒い骨格は硬く光沢を放ち、人の姿のように見えるそれは……ガンダ◯や鉄◯のようだ。これが例の魔導機械か……と俺は内心で舌を巻いた。
空からダイナミックに現れた魔導機械の頭部には、疲れ切った顔の中年のおっさんがいた。
「あれは……」
聞かなくても……何と無くだけど……俺には誰なのか分かった。恐らく、ユンゲルだ……少しだけユリアに似ている部分がある。
ユンゲル……辛かったよな。お前が大好きな家族を……大切な人たちをこんな風に傷つけられて……今、解放してやるからな。
俺が地面を蹴り出すと、「グレイくん」とクロロの俺を呼ぶ声が聞こえた。
「はぁあああ!!」
弓をしまい、両手を空する。そして、俺は魔力保有領域を開いて詠唱を始めた。
「〈……滅びろ〉【イビル】!」
空の両手に、超合金の悪魔の腕が生成されていき、俺の手を武装した。巨大な悪魔の手を【ブースト】の力で持ち上げ、ずっと魔導機械に向かって走る俺は、勢いそのまま右手を握りしめて拳を作り、巨大な魔導機械のボディを殴り飛ばした。
ズドンッと強烈な一撃を放ち、衝撃が魔導機械の硬質なボディを辿って地面へと渡った。
それは大きな揺れとなって現れて、大地がぶれた。
「ぐっ……うぉおお!」
俺は全力で振り抜き、魔導機械を力任せにぶっ飛ばした。
体勢を崩して地面に伏した魔導機械の上に覆い被さるように乗っかり、悪魔の手で魔導機械を押さえつける。だが、さすがにこれで終わる相手ではないらしく、肩部から再び大量のミサイルを俺に向けて放ってきた。
「【イビル】解除!」
叫んで、腕にくっ付いていた【イビル】を外して離脱……俺が居なくなって目標を失ったミサイル群が全て魔導機械に降り注いでいった。
「やったか……」
ついつい、口を突いて出してしまったは言葉は、案の定フラグになってしまったらしく……魔導機械は身体に引っ付いていた【イビル】の亡骸を払うと、当然のように立ち上がってきた。
やっぱり……さっきの自動四輪やら密林で戦ったのとは異質な感じがしたんだよなあ……一筋縄じゃいかないか。
俺は目の前の魔導機械を見据え、ふと三人称の視点の視界の端に移るミニマップ……その中心にいる俺の背後に再び、突然何かが現れた。
「くっ」
直感的にまずいと判断し、前に跳躍して地面に手をついて反転して新たな敵を目視した。
「……誰だ」
俺がそう問いかけると、目の前に佇む妖艶な女性は薄い笑みを浮かべた。
「私……子供は男でも好きな筈なんだけれどねぇ……貴方からは三十過ぎの醜い男の気配を感じるわぁ」
と、ピンクの髪した美しき悪魔は言った。角生えてるし……耳長いし、尻尾あるからな。悪魔だろ。多分……俺が内心でそう決めつけると目の前の女性はそれを否定するかのように首を横に振った。
「うふふ……私は悪魔じゃなくて色魔よぉ」
心を読まれている……?
それに答えるようにして、女性は頷いた。
「うふふふふ……心の中で女性と呼ばれるのも鬱陶しいわねぇ。一応、名乗ってあげるわよ、不思議な坊や」
また……坊やか。
目の前に立つ女性は、腰に手を当て、その大きな胸を強調して言った。
「私の名前はゼフィアン……宜しくね、坊や?」
「ぜっ……」
思わず目を見開き驚いたが、すぐに冷静になる。ここは戦場……平常心だ。落ち着き、集中しろ。
目の前にゼフィアンがいるからなんだ?ただ、殺すことには変わりない。
そう俺が再認識すると、ゼフィアンは肩を竦めてやれやれと両手を挙げて首を横に振った。
「殺す……だなんて、物騒ねぇ?」
それを皮切りにして、俺は剣を背中から引き抜いてゼフィアンに斬りかかった。
「っ!グレイくん!ダメです!!」
俺がゼフィアンの目の前で剣を振るう直前に、そうクロロが叫んだのと同時に俺の脳内にアラームが鳴り響いた。
「ちっ……!」
咄嗟に飛び退いて横の方へ逃れると、不思議な力で先ほど俺がいたところが押し潰され、地面が陥没した。
なんだ……?
俺は鋭く目を向けるが、ゼフィアンはやはり薄く笑みを浮かべているだけだ。
俺が怪訝に思って見ていると、横からクロロが刀を抜刀してゼフィアンに斬りかかった。突然の奇襲だった筈だが、ゼフィアンは手に氷の剣を作ると、それを受けた。
ゼフィアンとクロロが鍔迫り合いになり、その状態でクロロが叫んだ。
「ダメです……グレイくん。この人には近づかないでください」
底冷えするような殺気を放つクロロの声を聞いた俺は黙って頷いた。ここはクロロに任せた方がいいのだろうと……俺の索敵範囲内で魔導機械が動き出した。
「くっ」
そういえば、ゼフィアンに気を取られすぎてた。俺は魔導機械が腕を振るって攻撃してきたのを躱そうと足を動かす……が、どういうわけか足が動かなった。
「なっ……」
どういうことだ……?
「うふふ……」
戦慄したながらも、俺は相変わらず薄い笑みをたたえるゼフィアンに視線を向ける。今もなお、クロロと鍔迫り合いを続けているが……ふと、ゼフィアンが氷の剣を握っていない方の手が握り締められているのを見て、俺は嫌な寒気に襲われた。
あいつか!
原因が分かったところで、魔導機械の腕は直ぐそこまで迫ってきていた。
風を割って、もうスピードで振るわれた硬質な腕……その威力は計り知れないだろう。
「グレイくんっ!」
クロロは俺を助けようとするが、ゼフィアンの邪魔が入り、援護に入ることも出来ないようだ。
ここにいるのは俺だけ……もしかしたら、こんな危機的状況だったなら、漫画やアニメなんじゃ主人公が助けに入ってくれて、チートな力で全てを薙ぎ払ってくれるかもしれない。
だが、今ここには俺しかいない。
そうだ……漫画やアニメじゃない……。
これは紛れも無い現実だ!
俺は眼前に巨大な腕が迫っているというのに酷く冷静な思考で、この状況を打破する方法に全ての時間を費やす。
これほどの威力と質量を持った攻撃は、いくら【ブースト】状態の俺でも受けたらただじ済まないだろう。何とか、その威力を抑えて最小限度のダメージに止められれば……。
しかし、魔術を詠唱している時間はない。もう魔導機械の腕は直ぐそこまできているのだ。
この瞬間……刹那の時間で魔術を発動させろ!!
俺は無意識に右手を魔導機械の腕の方へ突き出して、魔力保有領域を解放し、魔力を流す。
流された魔力は、詠唱という過程を省かれたが、それでもいつものように地面を……岩盤ごとひっくり返して、俺の目の前に【ロックシールド】の壁が現れた。
無詠唱……ほとんど反射的に行ったが、俺がずっと望んでいたものが出来た。そしてそれは、今の俺にとって救いの手だった。
加速された意識と、極度の緊張状態の中で【ロックシールド】をさらに重ねてもう一度、無詠唱で発動し、二枚の障壁と【ブースト】の防御力の三段構えで魔導機械の攻撃に迎え撃つ。
魔導機械の攻撃が、【ロックシールド】を一枚二枚と破壊し、俺のもとへ到達する頃には勢いが幾分が相殺出来ていることを確認し、俺は腕を十字に構えて防御姿勢をとる。
ズドンッと重たいものが前面にぶつかり、衝撃でゼフィアンの拘束も解けて、俺の身体は宙を飛んだ。体感速度は実にマッハ……音が後ろから歩いてくる。
「ぐぅ……」
あまりのGに身体全体が悲鳴を上げ、【ブースト】の装甲が軋む。それでも、ここで止まるわけにはいかない!
俺は【ブースト】の肩部あたりに意識を集中させて、そこから飛行機のジェット噴射をイメージして火の元素を構築……大丈夫、今の俺なら出来る!
再び無詠唱で発動された新たな魔術が、ジェット機のエンジン音のようなものを轟かせながら、俺が飛んでいる方向とは逆方向に推進力を徐々に足していく。
爆発的に炎が噴出し、俺の身体はやがて前へ前へと進み始めて、今度は魔導機械の方角へマッハで飛んだ。
音が戻ってきたかと思ったら、再び遅れて歩いてくる。ふと、眼下にはオーラル皇国軍とイガーラ王国軍が入り乱れて戦っている。そんな光景を眺めていた俺は、自分が今……空を飛んでいるのだと何となく自覚したが、そんな感動も直ぐに薄れて、視界に移った魔導機械に向かって渾身の一撃を叩き込むべく、再び無詠唱で魔術を行使する。
「【イビル】!」
右腕から巨大な悪魔の腕が伸び、大きな手が握り締められて拳を作る。ジェット噴射で飛びながら、【イビル】の重さを考えてバランスをとり、マッハの速度で【イビル】の一撃を魔導機械の胸部に叩き込 んだ。
ズドンッ……なんて生易しい衝撃音よりも大きく、そして強い衝撃が激震し、魔導機械はその巨体を数百メートルほど後方へと吹き飛ばした。
俺は全ての衝撃をこの身に受けてしまったために、右腕を脱臼し、空から地面に落ちた。もしも、【ブースト】状態でなければ身体はバラバラになっていただろうが……。
肩を抑えながらユラリと立ち上がり、気配を頼りにクロロとゼフィアンを探すとゼフィアンが四つん這いになって膝をつくクロロに手のひらを向けて立っていた。
そんな!クロロが負けたのか!?
俺が助けようと、痛む肩を無理矢理動かして弓を引いたところで、何故かゼフィアンが困ったような笑みを浮かべていることに気がつき、怪訝に思って耳を澄ませると、ゼフィアンの呟きが聞こえた。
「……私、あまり女の子は傷つけたくないのよねぇ」
どこかの主人公のセリフかよ。クロロはというと、何やらブツブツと呟いていた。詠唱か!と思ったが、心が読めるゼフィアン相手に不意打ちの魔術が通用するわけが無い。それはクロロも分かっているはず……、
「あぁ……グレイくん。私が、私が守るって約束したのに……もう私はダメです。ダメ人間です」
クロローー!!
俺は歯噛みして、大声で叫びあげた。
「クロロ!!」
だが、クロロには届いていないらしく敵兵だとでも思っているのか、「レイ◯でもしますかー?」と半ばヤケクソ気味だ。
あの馬鹿がっ!
俺は矢を番え、ゼフィアンを狙い撃つが、やはり心を読めるゼフィアンには通用せずにヒラリと躱された。しかし、クロロとゼフィアンの間が空いたため、俺はそこに割って入ってゼフィアンと対峙した。
「クロロ!」
俺はゼフィアンと対峙しながらも、横目で呼ぶが反応がない。どんだけ落ち込んでんだよ……。
目の前で腕を組んで佇むゼフィアンは、溜息をふうっと吐くと仕方なさそうに手を前へ突き出した。
「女の子も子供も嫌いじゃないけれど……貴方達は生かしておくと私の障害になりそうだからぁ〜……ね?」
グッと、突き出された手を握り締めだからぁゼフィアンに合わせて、俺の周囲の空間がひしゃげ、歪んだ。
「やばい」
ヤバいヤバいヤバいっ!
クロロを抱えで俺は、もう一度ジェット噴射で緊急脱出計り、俺たちがいた空間が押し潰れる寸前で何とか逃げたせた。
ザッと滑るように地面を移動して、立ち止まり、腕の中で呆然とするクロロに言った。
「いい加減目を覚ませクロロ!俺は生きてるぞ!勝手に殺すな!!」
「あ、グレイくん」
「あ、じゃねぇよ!しゃんとしろ!」
「ひゃん」
と俺が思わず叫び上がると同時に腕に力を込めると、クロロが顔を真っ赤にして普段のクロロではまず聞けないような短い悲鳴が聞こえた。
「わ、わるい……」
途端に俺も気恥ずかしくなって、クロロを下ろしてやるとクロロも気恥ずかしくのか顔を赤く染めて背中を向けた。
「うふふ。初々しいわねぇ〜?若いって素晴らしいわぁ」
ゼフィアンはパチパチと拍手をしながら、皮肉交じりに言ってくる。クロロは頭を振って、真面目な顔に戻すと言い返した。
「若いというほど、私は若くありません。私なんて年増で十分です」
「あら?私の方がそれなら年増よぉ?」
どんな言い争いだよ……俺が傍らで呆れかえっていると、ゼフィアンの後方で魔導機械が動き出しているのが見えた。
本当にタフだな。
俺は脱臼した肩を、痛みに耐えながらも無理矢理治した。
「さぁて……どうしようかしらねぇ?」
ゼフィアンと魔導機械が並び、俺とクロロも対峙して横に並んだ。
周りでは、敵味方が攻防を繰り返し、ナルク、アルメイサ、ワードンマ、それにギシリス先生、ソーマ、アイク、ギルダブ先輩……みんなが戦っているのが分かる。
もしも、ここでこのデカイのとゼフィアンを通したらどれだけの被害が出るか分からない。
ここで止めてみせるさ。
「グレイくん」
クロロは隣に立つ俺に囁くように続けて言った。
「私がゼフィアンを食い止めますから、魔導機械をお願いします。この戦いは……あれを破壊すれば勝てますから」
そう言うクロロの視線は、魔導機械の頭部にいるユンゲルに向けられていた。
そう……だな。
「一人で大丈夫か?」
「もちろん。勝てもしませんけど、負けもしません。だから、食い止めるだけなら大丈夫ですよ」
簡単に言って退けてはいるが、ゼフィアンは本当に強い。どんな魔術かは知らないが、無詠唱で使ってるのだ。どこからくるかも分からない見えない力に果たしてクロロだけで対応できるのか?
心配する俺にクロロは苦笑して言った。
「大丈夫ですよ……少しだけ本気を出しますから」
クロロは言った瞬間、目を鋭くし、瞳を光らせた。一瞬でクロロの纏う雰囲気が変わったことに俺は思わず気圧され、肌に感じるチリチリとした威圧感にクロロの本気という言葉の意味を理解した。
なら……そっちは任せたぞ。
俺とクロロはそれぞれ戦うべき相手の前に立った。
そうして、暫くして索敵範囲内に巨大な何かを感知した。この気配は以前にも感じたことがある……と、俺が気配を探って構えているところに、ブーンというエンジン音を立てて何かが俺のもとに向かってきていた。
「……」
弓を構えていると、俺の視界の先に土埃を上げて平原を走る自動四輪の魔導機械が見えた。
自動四輪には何人かの敵兵が載っている。走行車両のようなものだろうか……まあ、何にせよ殺すには変わらないがな。
俺は矢を引いて、水属性でレンズを……風属性で矢に回転を加えて火属性で鏃に爆発的な威力を付加させ、最後に雷属性で全ての力を底上げする……俺の固有弓技。
「【バリス】!」
ズガーンと地面を抉って突き進む矢は一直線に自動四輪へ飛んでいく。轟音と衝撃波が一帯を支配し、嵐の根源が邪魔なもの全てを薙ぎ払っていく。自動四輪は眼前に迫る【バリス】の矢を避けることが出来ず、一閃が煌めいたかと思うと、次の瞬間には【バリス】が自動四輪を貫き、爆発していた。
「ふぅ」
俺は一息吐き、次にどうするかと辺りを見回すとクロロがこちらへ走ってきていた。
「もう!前に出すぎですよ」
「あぁ……悪いな」
俺が軽く手を挙げて言ってやると、「ぐ、グレイくん?」とクロロは首を傾げたが直ぐに頭を振って、言った。
「このまま前線を押し上げましょう」
クロロの言葉に頷き、俺たちが一番戦闘に立って前線をグングンと押し上げていく。
自動四輪を失い、士気の下がった敵の脆弱な前線は直ぐに崩れて、俺たちが押し始めていた。
「グレイくん!」
「任せろ」
俺とクロロは互いの背中を預けつつ、クロロは刀で敵を薙ぎ払い、俺が弓で敵を射抜く。
なんだろう……この感じ。
身体が熱く、魂が熱気帯びている。極限の状態の中で俺は戦っている……おかしいな……戦う前まではあんなに震えていたのにな。
そんなことを思いつつ、隣で戦うクロロに目を向ける。きっと……彼女のお陰なのだろう。
俺は視線を戻して、弓を引いた。
–––☆–––
前線を押していき、陣形の崩れた敵軍に追い打ちをかけるようにして侵攻する自軍……この調子でいけば、勝てる!
と、ここで前線まで上がってきたワードンマが険しい表情で言った。
「魔導機械はどこじゃ!」
そう……俺が破壊した自動四輪とは別にもう一体いると報告があった筈なのだ。それなのに、ここまで前線を押していて未だに現れない……。
「どこにいるのかしら……」
「たくっ……このまま出て来なきゃいいんだけどな」
アルメイサとナルクは口々に言って、向かいくる敵を倒していく。
「ん……?」
ふと、俺の耳に何か聞こえた気がして空を仰いだ。なんだ……?今、何か聞こえたような……俺が天に注目している時、それは突如として落ちてきた。
瞬間、俺の脳内にアラームが鳴り響き、視界に見えたミサイルを迎撃するために、反射的に弓を引いていた。
「上から来るぞ!」
俺が叫ぶと同時に前線で戦っていた何名かが気が付いて、上を見上げた。
およそ数十発というミサイルの雨に、多くの味方が青ざめた顔をした。
俺は矢を番えて【フェイクアロー】で出来る限り撃ち落としていく。
ミサイルと俺の放った矢が衝突し、空中で爆発する。その爆煙が宙で広がっていく。
「〈……討ち滅ぼせ〉【アイスレイピア】」
アルメイサ魔術を唱え、ワードンマは大槌を振ってミサイルを破壊していくが……数が多すぎる!
「このままじゃダメだ!一旦下がれ!」
俺の怒号が轟き、いち早く反応した兵士たちが下がり始めるが遅すぎた……何発が漏らしたミサイルが兵士たちを襲ったのだ。
味方の悲鳴、そして敵の悲鳴……敵味方関係なしかよ!!
俺が内心で叫び上げたところで、ミサイルに追従するようにして巨大なそれが姿を現した。
「っ!?」
咄嗟に俺は身を投げて、その場から離脱したが……衝撃だけで俺の身体が吹き飛ばされた。
「ぐっ」
【ブースト】で身体をなんとか空中で体勢を立て直し、落ちてきたものに目を向けた。クロロもなんとか避けたようで、それを凝視していた。
黒い骨格は硬く光沢を放ち、人の姿のように見えるそれは……ガンダ◯や鉄◯のようだ。これが例の魔導機械か……と俺は内心で舌を巻いた。
空からダイナミックに現れた魔導機械の頭部には、疲れ切った顔の中年のおっさんがいた。
「あれは……」
聞かなくても……何と無くだけど……俺には誰なのか分かった。恐らく、ユンゲルだ……少しだけユリアに似ている部分がある。
ユンゲル……辛かったよな。お前が大好きな家族を……大切な人たちをこんな風に傷つけられて……今、解放してやるからな。
俺が地面を蹴り出すと、「グレイくん」とクロロの俺を呼ぶ声が聞こえた。
「はぁあああ!!」
弓をしまい、両手を空する。そして、俺は魔力保有領域を開いて詠唱を始めた。
「〈……滅びろ〉【イビル】!」
空の両手に、超合金の悪魔の腕が生成されていき、俺の手を武装した。巨大な悪魔の手を【ブースト】の力で持ち上げ、ずっと魔導機械に向かって走る俺は、勢いそのまま右手を握りしめて拳を作り、巨大な魔導機械のボディを殴り飛ばした。
ズドンッと強烈な一撃を放ち、衝撃が魔導機械の硬質なボディを辿って地面へと渡った。
それは大きな揺れとなって現れて、大地がぶれた。
「ぐっ……うぉおお!」
俺は全力で振り抜き、魔導機械を力任せにぶっ飛ばした。
体勢を崩して地面に伏した魔導機械の上に覆い被さるように乗っかり、悪魔の手で魔導機械を押さえつける。だが、さすがにこれで終わる相手ではないらしく、肩部から再び大量のミサイルを俺に向けて放ってきた。
「【イビル】解除!」
叫んで、腕にくっ付いていた【イビル】を外して離脱……俺が居なくなって目標を失ったミサイル群が全て魔導機械に降り注いでいった。
「やったか……」
ついつい、口を突いて出してしまったは言葉は、案の定フラグになってしまったらしく……魔導機械は身体に引っ付いていた【イビル】の亡骸を払うと、当然のように立ち上がってきた。
やっぱり……さっきの自動四輪やら密林で戦ったのとは異質な感じがしたんだよなあ……一筋縄じゃいかないか。
俺は目の前の魔導機械を見据え、ふと三人称の視点の視界の端に移るミニマップ……その中心にいる俺の背後に再び、突然何かが現れた。
「くっ」
直感的にまずいと判断し、前に跳躍して地面に手をついて反転して新たな敵を目視した。
「……誰だ」
俺がそう問いかけると、目の前に佇む妖艶な女性は薄い笑みを浮かべた。
「私……子供は男でも好きな筈なんだけれどねぇ……貴方からは三十過ぎの醜い男の気配を感じるわぁ」
と、ピンクの髪した美しき悪魔は言った。角生えてるし……耳長いし、尻尾あるからな。悪魔だろ。多分……俺が内心でそう決めつけると目の前の女性はそれを否定するかのように首を横に振った。
「うふふ……私は悪魔じゃなくて色魔よぉ」
心を読まれている……?
それに答えるようにして、女性は頷いた。
「うふふふふ……心の中で女性と呼ばれるのも鬱陶しいわねぇ。一応、名乗ってあげるわよ、不思議な坊や」
また……坊やか。
目の前に立つ女性は、腰に手を当て、その大きな胸を強調して言った。
「私の名前はゼフィアン……宜しくね、坊や?」
「ぜっ……」
思わず目を見開き驚いたが、すぐに冷静になる。ここは戦場……平常心だ。落ち着き、集中しろ。
目の前にゼフィアンがいるからなんだ?ただ、殺すことには変わりない。
そう俺が再認識すると、ゼフィアンは肩を竦めてやれやれと両手を挙げて首を横に振った。
「殺す……だなんて、物騒ねぇ?」
それを皮切りにして、俺は剣を背中から引き抜いてゼフィアンに斬りかかった。
「っ!グレイくん!ダメです!!」
俺がゼフィアンの目の前で剣を振るう直前に、そうクロロが叫んだのと同時に俺の脳内にアラームが鳴り響いた。
「ちっ……!」
咄嗟に飛び退いて横の方へ逃れると、不思議な力で先ほど俺がいたところが押し潰され、地面が陥没した。
なんだ……?
俺は鋭く目を向けるが、ゼフィアンはやはり薄く笑みを浮かべているだけだ。
俺が怪訝に思って見ていると、横からクロロが刀を抜刀してゼフィアンに斬りかかった。突然の奇襲だった筈だが、ゼフィアンは手に氷の剣を作ると、それを受けた。
ゼフィアンとクロロが鍔迫り合いになり、その状態でクロロが叫んだ。
「ダメです……グレイくん。この人には近づかないでください」
底冷えするような殺気を放つクロロの声を聞いた俺は黙って頷いた。ここはクロロに任せた方がいいのだろうと……俺の索敵範囲内で魔導機械が動き出した。
「くっ」
そういえば、ゼフィアンに気を取られすぎてた。俺は魔導機械が腕を振るって攻撃してきたのを躱そうと足を動かす……が、どういうわけか足が動かなった。
「なっ……」
どういうことだ……?
「うふふ……」
戦慄したながらも、俺は相変わらず薄い笑みをたたえるゼフィアンに視線を向ける。今もなお、クロロと鍔迫り合いを続けているが……ふと、ゼフィアンが氷の剣を握っていない方の手が握り締められているのを見て、俺は嫌な寒気に襲われた。
あいつか!
原因が分かったところで、魔導機械の腕は直ぐそこまで迫ってきていた。
風を割って、もうスピードで振るわれた硬質な腕……その威力は計り知れないだろう。
「グレイくんっ!」
クロロは俺を助けようとするが、ゼフィアンの邪魔が入り、援護に入ることも出来ないようだ。
ここにいるのは俺だけ……もしかしたら、こんな危機的状況だったなら、漫画やアニメなんじゃ主人公が助けに入ってくれて、チートな力で全てを薙ぎ払ってくれるかもしれない。
だが、今ここには俺しかいない。
そうだ……漫画やアニメじゃない……。
これは紛れも無い現実だ!
俺は眼前に巨大な腕が迫っているというのに酷く冷静な思考で、この状況を打破する方法に全ての時間を費やす。
これほどの威力と質量を持った攻撃は、いくら【ブースト】状態の俺でも受けたらただじ済まないだろう。何とか、その威力を抑えて最小限度のダメージに止められれば……。
しかし、魔術を詠唱している時間はない。もう魔導機械の腕は直ぐそこまできているのだ。
この瞬間……刹那の時間で魔術を発動させろ!!
俺は無意識に右手を魔導機械の腕の方へ突き出して、魔力保有領域を解放し、魔力を流す。
流された魔力は、詠唱という過程を省かれたが、それでもいつものように地面を……岩盤ごとひっくり返して、俺の目の前に【ロックシールド】の壁が現れた。
無詠唱……ほとんど反射的に行ったが、俺がずっと望んでいたものが出来た。そしてそれは、今の俺にとって救いの手だった。
加速された意識と、極度の緊張状態の中で【ロックシールド】をさらに重ねてもう一度、無詠唱で発動し、二枚の障壁と【ブースト】の防御力の三段構えで魔導機械の攻撃に迎え撃つ。
魔導機械の攻撃が、【ロックシールド】を一枚二枚と破壊し、俺のもとへ到達する頃には勢いが幾分が相殺出来ていることを確認し、俺は腕を十字に構えて防御姿勢をとる。
ズドンッと重たいものが前面にぶつかり、衝撃でゼフィアンの拘束も解けて、俺の身体は宙を飛んだ。体感速度は実にマッハ……音が後ろから歩いてくる。
「ぐぅ……」
あまりのGに身体全体が悲鳴を上げ、【ブースト】の装甲が軋む。それでも、ここで止まるわけにはいかない!
俺は【ブースト】の肩部あたりに意識を集中させて、そこから飛行機のジェット噴射をイメージして火の元素を構築……大丈夫、今の俺なら出来る!
再び無詠唱で発動された新たな魔術が、ジェット機のエンジン音のようなものを轟かせながら、俺が飛んでいる方向とは逆方向に推進力を徐々に足していく。
爆発的に炎が噴出し、俺の身体はやがて前へ前へと進み始めて、今度は魔導機械の方角へマッハで飛んだ。
音が戻ってきたかと思ったら、再び遅れて歩いてくる。ふと、眼下にはオーラル皇国軍とイガーラ王国軍が入り乱れて戦っている。そんな光景を眺めていた俺は、自分が今……空を飛んでいるのだと何となく自覚したが、そんな感動も直ぐに薄れて、視界に移った魔導機械に向かって渾身の一撃を叩き込むべく、再び無詠唱で魔術を行使する。
「【イビル】!」
右腕から巨大な悪魔の腕が伸び、大きな手が握り締められて拳を作る。ジェット噴射で飛びながら、【イビル】の重さを考えてバランスをとり、マッハの速度で【イビル】の一撃を魔導機械の胸部に叩き込 んだ。
ズドンッ……なんて生易しい衝撃音よりも大きく、そして強い衝撃が激震し、魔導機械はその巨体を数百メートルほど後方へと吹き飛ばした。
俺は全ての衝撃をこの身に受けてしまったために、右腕を脱臼し、空から地面に落ちた。もしも、【ブースト】状態でなければ身体はバラバラになっていただろうが……。
肩を抑えながらユラリと立ち上がり、気配を頼りにクロロとゼフィアンを探すとゼフィアンが四つん這いになって膝をつくクロロに手のひらを向けて立っていた。
そんな!クロロが負けたのか!?
俺が助けようと、痛む肩を無理矢理動かして弓を引いたところで、何故かゼフィアンが困ったような笑みを浮かべていることに気がつき、怪訝に思って耳を澄ませると、ゼフィアンの呟きが聞こえた。
「……私、あまり女の子は傷つけたくないのよねぇ」
どこかの主人公のセリフかよ。クロロはというと、何やらブツブツと呟いていた。詠唱か!と思ったが、心が読めるゼフィアン相手に不意打ちの魔術が通用するわけが無い。それはクロロも分かっているはず……、
「あぁ……グレイくん。私が、私が守るって約束したのに……もう私はダメです。ダメ人間です」
クロローー!!
俺は歯噛みして、大声で叫びあげた。
「クロロ!!」
だが、クロロには届いていないらしく敵兵だとでも思っているのか、「レイ◯でもしますかー?」と半ばヤケクソ気味だ。
あの馬鹿がっ!
俺は矢を番え、ゼフィアンを狙い撃つが、やはり心を読めるゼフィアンには通用せずにヒラリと躱された。しかし、クロロとゼフィアンの間が空いたため、俺はそこに割って入ってゼフィアンと対峙した。
「クロロ!」
俺はゼフィアンと対峙しながらも、横目で呼ぶが反応がない。どんだけ落ち込んでんだよ……。
目の前で腕を組んで佇むゼフィアンは、溜息をふうっと吐くと仕方なさそうに手を前へ突き出した。
「女の子も子供も嫌いじゃないけれど……貴方達は生かしておくと私の障害になりそうだからぁ〜……ね?」
グッと、突き出された手を握り締めだからぁゼフィアンに合わせて、俺の周囲の空間がひしゃげ、歪んだ。
「やばい」
ヤバいヤバいヤバいっ!
クロロを抱えで俺は、もう一度ジェット噴射で緊急脱出計り、俺たちがいた空間が押し潰れる寸前で何とか逃げたせた。
ザッと滑るように地面を移動して、立ち止まり、腕の中で呆然とするクロロに言った。
「いい加減目を覚ませクロロ!俺は生きてるぞ!勝手に殺すな!!」
「あ、グレイくん」
「あ、じゃねぇよ!しゃんとしろ!」
「ひゃん」
と俺が思わず叫び上がると同時に腕に力を込めると、クロロが顔を真っ赤にして普段のクロロではまず聞けないような短い悲鳴が聞こえた。
「わ、わるい……」
途端に俺も気恥ずかしくなって、クロロを下ろしてやるとクロロも気恥ずかしくのか顔を赤く染めて背中を向けた。
「うふふ。初々しいわねぇ〜?若いって素晴らしいわぁ」
ゼフィアンはパチパチと拍手をしながら、皮肉交じりに言ってくる。クロロは頭を振って、真面目な顔に戻すと言い返した。
「若いというほど、私は若くありません。私なんて年増で十分です」
「あら?私の方がそれなら年増よぉ?」
どんな言い争いだよ……俺が傍らで呆れかえっていると、ゼフィアンの後方で魔導機械が動き出しているのが見えた。
本当にタフだな。
俺は脱臼した肩を、痛みに耐えながらも無理矢理治した。
「さぁて……どうしようかしらねぇ?」
ゼフィアンと魔導機械が並び、俺とクロロも対峙して横に並んだ。
周りでは、敵味方が攻防を繰り返し、ナルク、アルメイサ、ワードンマ、それにギシリス先生、ソーマ、アイク、ギルダブ先輩……みんなが戦っているのが分かる。
もしも、ここでこのデカイのとゼフィアンを通したらどれだけの被害が出るか分からない。
ここで止めてみせるさ。
「グレイくん」
クロロは隣に立つ俺に囁くように続けて言った。
「私がゼフィアンを食い止めますから、魔導機械をお願いします。この戦いは……あれを破壊すれば勝てますから」
そう言うクロロの視線は、魔導機械の頭部にいるユンゲルに向けられていた。
そう……だな。
「一人で大丈夫か?」
「もちろん。勝てもしませんけど、負けもしません。だから、食い止めるだけなら大丈夫ですよ」
簡単に言って退けてはいるが、ゼフィアンは本当に強い。どんな魔術かは知らないが、無詠唱で使ってるのだ。どこからくるかも分からない見えない力に果たしてクロロだけで対応できるのか?
心配する俺にクロロは苦笑して言った。
「大丈夫ですよ……少しだけ本気を出しますから」
クロロは言った瞬間、目を鋭くし、瞳を光らせた。一瞬でクロロの纏う雰囲気が変わったことに俺は思わず気圧され、肌に感じるチリチリとした威圧感にクロロの本気という言葉の意味を理解した。
なら……そっちは任せたぞ。
俺とクロロはそれぞれ戦うべき相手の前に立った。
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