魔術的生徒会

夙多史

四章 悪魔の視力(10)

 ステージの上からの眺めは実に痛快なものだった。
 そう、さっきまでは。
「何、なんです……なぁーんなんですかアレはぁ!?」
 巳堂は声を荒げるほかなかった。切り札だった神代紗耶が得体の知れない力に敗れ、炎の壁もあの通り焦げ痕だけ残して綺麗になくなっているのだ。もう自分を守るものがない。
 他の操っていた生徒たちも倒れてしまって動かない。あれが死んでいるのかどうかはここからではわからないが、恐らく死んでいない。
 死んでいるのなら、殺した者に呪いがかかってさらなる殺戮を始めるはずである。何もないということは、全員生きているということだ。
「アレが、あの魔眼の力だというのですかっ!?」
 怒りや憎しみの感情を膨らますための言葉が、眠っていた魔眼の本質を目覚めさせてしまった。自業自得とはこのことである。
 生徒会魔術師たちと、羽柴魁人がこちらへと向かっくる。今一度、神代紗耶に仕込んだ『親』に意思を送ってみるが、結局は無駄だった。
「本当に、蠱と私のリンクが切れたよぉーですねぇ。やはり、術は失敗…………くく、はははははっははぁ! 許しません! 許しませんよぅ!!」
 人間の蠱を作るという自分の夢を、奴らはぶち壊しにした。魔術師を蠱術に使おうという欲求を出したことが間違いだった。いや、あの場で羽柴魁人を殺すか操り人形にしておくべきだったのだ。そうすれば生徒会魔術師たちには何もできなかったはずだ。
 時期を置けば再び人間で蠱術をすることはできる。だが、そのためにはまずここから逃げ出さなくてはいけない。しかし、ステージ側に外へ続いているような出入り口がないのは痛い。
(このまま逃げる? 私が? くく、それもあぁーりでしょうが、私の受けた屈辱を生徒会の連中に返さなくてはいけません。具体的に一文字で言えば、『死』で)
 しかし、もうストックしていた蠱はほとんど使い果たしている現状。残りは、白衣のポケットに忍ばせている小瓶の中に一体のみ。
(できれば、これは出したくない失敗作だったのですが……この際しょうがありませんねぇ)
 唇がニィヤリと歪む。
(どぉーせもうこの学園にはいぃーられないんですからぁ、最後は派手にいきましょうかねぇ)
 眼鏡の奥の瞳に狂気めいた色を宿し、巳堂はポケットの『失敗作』を握り締める。

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