G ワールド オンライン ~ユニークすぎるユニークスキル~
第十四話 エンガイスト
ここは、ユーロシン大陸最南端の国、ファラオウス王国。
その首都であるカインでは、騒ぎが起こっていた。
それは何故か、都の人々の噂ではこうなっている。
「人が降ってきた」
「変な動物を見かけた」
「勇者召喚か?」
などなど、主に見慣れない光景についての噂ばかりである。
そしてその原因となった人物とは――
「いてて、どこだここは?」
カインの中央公園で倒れていた青年が起きあがり声を発した。
その人物こそが騒ぎの発端であり、突然この世界に飛ばされたユウトだった。
「ん? 俺ってログアウトしてそれから……」
ユウトは辺りを見渡しながら気を失う前のことを思い出す。
しかし、どうしてもログインした記憶が見つからなかった。
それもそのはずで、そんな事実はないのだから。
「っぐ、な、なんだこれ」
ユウトは突然の頭痛にうめき声を上げる。
すると激しい頭痛と共にやってきたのは、知らないはずの知識だった。
何故ここにいるのか、この国はどこなのかなど不思議な記憶が蘇るようにわき出てくる。
「はぁ、はぁ、なんだよそれ」
ユウトはやっと頭痛が治まったものの、頭に入っている知識を知って困惑した。
その知識とは、あの神と名乗る者からの受け取ったものらしい。
まず地球の生命全てがこの世界、エンガイストに強制送還されたこと。
加えて、エンガイストはGWO時代からは5年が経過していること。
そして、この星は地球よりも遙かに大きいこと。
なので、地球の全生命体が来ても土地が埋まることはない。
さらに、GWOの影響を少しばかり受けており、GWOと同じ身体能力にプラスされて地球にいた頃の能力ということらしい。
驚くべき事に、地球から来た者は二つの命があるそうで、一回死んでも一度は生き返ることが出来るということだ。
これは、神の慈悲、二度目の生ということで与えられたものということである。
ひとまず知識を整理したユウトはこれから何をするべきか考える。
「まずは、そうだな」
ユウトは腕時計に触れて見ることにする。
GWOの世界ということはアイテムやステータスもあると思ったからだ。
そして予想は的中した。
名前 ユウト
種族 地球人
才能 取捨選択 熟練度1『レアアイテムが出やすくなる』
熟練度2解放条件『――贄――――』
技能 鑑定眼
ユウトのステータスは問題なく表示され、わずかに変化も見られた。
だが、肝心なところが消されて見えなくなっていたが。
「大事な部分が消えてる……」
ユウトはガクッと肩を落とし、次なる目的を探す事にする。
するとそこへ、騎士の様な格好をした人達がユウトの元へやってきているように見えた。
否、見えたではなく、確実に取り囲んでいた。
「ええっと、何でしょう?」
ただならぬ雰囲気の人たちに戸惑いながら声を発するユウト。
そこへ騎士の格好をした人たちの内の一人が声を発する。
「お前か、この騒ぎを起こした張本人は」
「えっと、何の話しでしょうか? それにどちら様で?」
ユウトは臆せずその人へ声を発する。
実際はかなりびびっていたのだが。
「我々は王都カインを守護する憲兵だ、そうか我々を知らないと言うことはやはり貴様はよそから来たと言うことか」
「あ、はい、そうです」
いきなり、素性がばれてしまったユウトは自分の考え無しの発言を反省する。
「それで、お前は何者だ?」
「ユウトという者です、実際のところ自分でも何が起こったのか分からないんですが……」
いきなり異世界から来たと言っても信じてもらえないと判断したユウトはそう言ってごまかす。
憲兵は怪訝そうにユウトをジロリと見るが、今のユウトは武器も何も持っていない状態であり、特に危険人物には見えないはずである。
「そうか、もしかしてお前は5年前から急に姿を消した異星人ではないか?」
「ああ、そうです」
そう言う設定だったとユウトは思い出し、肯定する。
「なるほどな、それならば納得は出来るな、まあこの国に異星人が来たことは無かったが」
憲兵は頷きながら言葉を発する。
どうやら納得してくれたようでもう警戒態勢はとっていなかった。
「それならば、それ相応の対応をしよう、ユウトといったな、ひとまず付いてきてもらえるか?」
「はい」
ユウトは今は憲兵の言うとおりに後を付いていくことにした。
それにしても、異星人はそれほどまでに優遇される者なのかと首をかしげていたユウト。
それに気づいたのか、先程の憲兵が話しかけてきた。
「異星人一人にわざわざ客人扱いすることが不思議か?」
「ええ、まあ」
「そうか、まあ5年前か、あの時期はよく異星人がこの星に来ていたんだろう? その時は少なくとも異星人によって色々な知識が伝えられ、そしてモンスターの討伐もしてくれていた、しかし異星人はある時を境に全く姿を見せなくなってしまった。その理由は我々には知るよしもないが、それからか、モンスターが大量発生し、文化は停滞した。そこで誰もが思ったんだ、異星人さえいてくれればとね、何とも他人任せだと笑ってくれてもいい、しかしな異星人が消えたと同時に魔王が活動を活発化したんだ、機会をうかがっていたんだろうな」
憲兵は悔しそうに話し始めた。
魔王という名前にロマンを感じたのは秘密である。
「魔王はあろう事か、モンスターを従え軍隊を作った、そしてその軍が多くの国々を侵略していったのだ、幸いにも我らの国は魔王のいる場所とは離れていたため無傷だがな」
「そうだったんですか」
「教えてもらえないだろうか、何故あの時急に消えてしまったんだ?」
憲兵はしっかりとユウトの目を見据えて言った。
「その理由は自分たちの星が大変な事態に陥ったとしかいえません、それにその時の事件によって全ての異星人がこの星に落ちました」
ユウトは若干言い直したものの、ほぼ起こったあらましを説明した。
それを聞いた憲兵は驚きの表情を浮かべて、申し訳なさそうな顔をし頭を下げた。
「そうだったのか……すまない、君たちも自分たちの星があったのだな、もうすでに星を捨ててきたものだと勘違いしていた。それならば自分の星を優先するのは仕方がない」
その言葉を聞いて、いい人だなとユウトは感じる。
てっきり憲兵などは権力を振り回して偉そうにふんぞり返っているものだという先入観がユウトにはあったのだ。
その先入観もただの小説などによるイメージでしかないが。
「話しを聞く限りでは、ユウトは帰る場所がないのでは?」
憲兵はユウトの直面している問題を的確に指摘した。
「ええ、そうなんです」
ユウトは直ぐにそれを肯定する。
「そうか、それならちょうど良いな」
憲兵はそう言って目の前を見た。
その視線の先には、ユウトが先程から気になっていた立派な城がある。
「えっと……そこに入るんですか?」
もちろん、礼儀などわきまえていないユウトは戸惑いながら質問をする。
憲兵は笑顔で答えた。
「もちろんです、ユウトの身分を証明出来るものが無いとこれから困るでしょう?」
「まさか、王様と謁見というわけではないですよね?」
ユウトは恐る恐る聞き返す。
憲兵は未だ笑顔のままだ。
「もちろん、王様に会って頂きますよ、なあに大丈夫です、今までのままで良いんですよ」
「いやいや、ちょっと待って下さい」
「待ちません、行きますよ」
後退するユウトの腕をガシッと掴まえてズルズルと憲兵はユウトを城へと引きずっていった。
端から見ると、予防接種前の子どもと親のように見えたかもしれない。
「では、ここからはお一人で」
憲兵が大きな扉の前でそう言った。
ユウトは緊張で手先が冷たくなっている。
「え、付いてきてくれないんですか?」
「私も忙しい身なんですよ」
ニコニコと笑みを浮かべながらユウトの背を押して憲兵は去っていった。
もう逃げられないユウトは意を決して扉を押す。
なかなか重い扉のようだ、全然動かない。
「あの……」
そこにどこからか声が聞こえる。
辺りを見渡してみると、メイド服を着た少女が申し訳なさそうに立っていた。
「何かな?」
ユウトは扉を押しながらその少女に尋ねる。
すると少女は申し訳なさそうに言った。
「その扉は引いて開けるのでございます」
「あ……そうなんですか」
初っぱなから恥を掻いたユウトなのだった。
その首都であるカインでは、騒ぎが起こっていた。
それは何故か、都の人々の噂ではこうなっている。
「人が降ってきた」
「変な動物を見かけた」
「勇者召喚か?」
などなど、主に見慣れない光景についての噂ばかりである。
そしてその原因となった人物とは――
「いてて、どこだここは?」
カインの中央公園で倒れていた青年が起きあがり声を発した。
その人物こそが騒ぎの発端であり、突然この世界に飛ばされたユウトだった。
「ん? 俺ってログアウトしてそれから……」
ユウトは辺りを見渡しながら気を失う前のことを思い出す。
しかし、どうしてもログインした記憶が見つからなかった。
それもそのはずで、そんな事実はないのだから。
「っぐ、な、なんだこれ」
ユウトは突然の頭痛にうめき声を上げる。
すると激しい頭痛と共にやってきたのは、知らないはずの知識だった。
何故ここにいるのか、この国はどこなのかなど不思議な記憶が蘇るようにわき出てくる。
「はぁ、はぁ、なんだよそれ」
ユウトはやっと頭痛が治まったものの、頭に入っている知識を知って困惑した。
その知識とは、あの神と名乗る者からの受け取ったものらしい。
まず地球の生命全てがこの世界、エンガイストに強制送還されたこと。
加えて、エンガイストはGWO時代からは5年が経過していること。
そして、この星は地球よりも遙かに大きいこと。
なので、地球の全生命体が来ても土地が埋まることはない。
さらに、GWOの影響を少しばかり受けており、GWOと同じ身体能力にプラスされて地球にいた頃の能力ということらしい。
驚くべき事に、地球から来た者は二つの命があるそうで、一回死んでも一度は生き返ることが出来るということだ。
これは、神の慈悲、二度目の生ということで与えられたものということである。
ひとまず知識を整理したユウトはこれから何をするべきか考える。
「まずは、そうだな」
ユウトは腕時計に触れて見ることにする。
GWOの世界ということはアイテムやステータスもあると思ったからだ。
そして予想は的中した。
名前 ユウト
種族 地球人
才能 取捨選択 熟練度1『レアアイテムが出やすくなる』
熟練度2解放条件『――贄――――』
技能 鑑定眼
ユウトのステータスは問題なく表示され、わずかに変化も見られた。
だが、肝心なところが消されて見えなくなっていたが。
「大事な部分が消えてる……」
ユウトはガクッと肩を落とし、次なる目的を探す事にする。
するとそこへ、騎士の様な格好をした人達がユウトの元へやってきているように見えた。
否、見えたではなく、確実に取り囲んでいた。
「ええっと、何でしょう?」
ただならぬ雰囲気の人たちに戸惑いながら声を発するユウト。
そこへ騎士の格好をした人たちの内の一人が声を発する。
「お前か、この騒ぎを起こした張本人は」
「えっと、何の話しでしょうか? それにどちら様で?」
ユウトは臆せずその人へ声を発する。
実際はかなりびびっていたのだが。
「我々は王都カインを守護する憲兵だ、そうか我々を知らないと言うことはやはり貴様はよそから来たと言うことか」
「あ、はい、そうです」
いきなり、素性がばれてしまったユウトは自分の考え無しの発言を反省する。
「それで、お前は何者だ?」
「ユウトという者です、実際のところ自分でも何が起こったのか分からないんですが……」
いきなり異世界から来たと言っても信じてもらえないと判断したユウトはそう言ってごまかす。
憲兵は怪訝そうにユウトをジロリと見るが、今のユウトは武器も何も持っていない状態であり、特に危険人物には見えないはずである。
「そうか、もしかしてお前は5年前から急に姿を消した異星人ではないか?」
「ああ、そうです」
そう言う設定だったとユウトは思い出し、肯定する。
「なるほどな、それならば納得は出来るな、まあこの国に異星人が来たことは無かったが」
憲兵は頷きながら言葉を発する。
どうやら納得してくれたようでもう警戒態勢はとっていなかった。
「それならば、それ相応の対応をしよう、ユウトといったな、ひとまず付いてきてもらえるか?」
「はい」
ユウトは今は憲兵の言うとおりに後を付いていくことにした。
それにしても、異星人はそれほどまでに優遇される者なのかと首をかしげていたユウト。
それに気づいたのか、先程の憲兵が話しかけてきた。
「異星人一人にわざわざ客人扱いすることが不思議か?」
「ええ、まあ」
「そうか、まあ5年前か、あの時期はよく異星人がこの星に来ていたんだろう? その時は少なくとも異星人によって色々な知識が伝えられ、そしてモンスターの討伐もしてくれていた、しかし異星人はある時を境に全く姿を見せなくなってしまった。その理由は我々には知るよしもないが、それからか、モンスターが大量発生し、文化は停滞した。そこで誰もが思ったんだ、異星人さえいてくれればとね、何とも他人任せだと笑ってくれてもいい、しかしな異星人が消えたと同時に魔王が活動を活発化したんだ、機会をうかがっていたんだろうな」
憲兵は悔しそうに話し始めた。
魔王という名前にロマンを感じたのは秘密である。
「魔王はあろう事か、モンスターを従え軍隊を作った、そしてその軍が多くの国々を侵略していったのだ、幸いにも我らの国は魔王のいる場所とは離れていたため無傷だがな」
「そうだったんですか」
「教えてもらえないだろうか、何故あの時急に消えてしまったんだ?」
憲兵はしっかりとユウトの目を見据えて言った。
「その理由は自分たちの星が大変な事態に陥ったとしかいえません、それにその時の事件によって全ての異星人がこの星に落ちました」
ユウトは若干言い直したものの、ほぼ起こったあらましを説明した。
それを聞いた憲兵は驚きの表情を浮かべて、申し訳なさそうな顔をし頭を下げた。
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その言葉を聞いて、いい人だなとユウトは感じる。
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憲兵はユウトの直面している問題を的確に指摘した。
「ええ、そうなんです」
ユウトは直ぐにそれを肯定する。
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憲兵はそう言って目の前を見た。
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「えっと……そこに入るんですか?」
もちろん、礼儀などわきまえていないユウトは戸惑いながら質問をする。
憲兵は笑顔で答えた。
「もちろんです、ユウトの身分を証明出来るものが無いとこれから困るでしょう?」
「まさか、王様と謁見というわけではないですよね?」
ユウトは恐る恐る聞き返す。
憲兵は未だ笑顔のままだ。
「もちろん、王様に会って頂きますよ、なあに大丈夫です、今までのままで良いんですよ」
「いやいや、ちょっと待って下さい」
「待ちません、行きますよ」
後退するユウトの腕をガシッと掴まえてズルズルと憲兵はユウトを城へと引きずっていった。
端から見ると、予防接種前の子どもと親のように見えたかもしれない。
「では、ここからはお一人で」
憲兵が大きな扉の前でそう言った。
ユウトは緊張で手先が冷たくなっている。
「え、付いてきてくれないんですか?」
「私も忙しい身なんですよ」
ニコニコと笑みを浮かべながらユウトの背を押して憲兵は去っていった。
もう逃げられないユウトは意を決して扉を押す。
なかなか重い扉のようだ、全然動かない。
「あの……」
そこにどこからか声が聞こえる。
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「何かな?」
ユウトは扉を押しながらその少女に尋ねる。
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