G ワールド オンライン ~ユニークすぎるユニークスキル~
第十五話 謁見
ユウトは今、王の間に入ったところだ。
何か異様な空気が流れているのがユウトには感じられる。
何というかこの場にいる人の顔が皆強ばっている。
「そ、そなたが異星人のユウトとやらか」
一番高いところで椅子に座っていた人物が声を発した。
恐らく王様だろう。
そして何故か彼も顔が強ばっている。
てっきり、王様が厳しい方なのでこの場にいる者が緊張しているのかとユウトは思っていたが、どうやら違うようだ。
「はい、そうです」
「そ、そうか」
王様の口調が何故か途切れ途切れであった。
ユウトはそれが不思議だったが場も場なのでおとなしく膝をついた。
「そこまで畏まらなくてもよい、面を上げよ」
王様はユウトが頭を下げようとする直前にそう発言し、ユウトは立ち上がる。
その途端誰かが吹き出した。
「っく、はっはっはっは」
「お、おい止めぬか……」
王様がその声の主に諫めるよう発言する。
「や、止めろと言うとるのに、っはっはっはっは、引く扉を押すとは――」
すると、諫める立場のはずの王様も吹き出した。
そしてユウトを見て言ったのだ。
先程の失態を。
そして、ユウトは何故自分が笑われているのかを察する。
そこからしばらく笑い声が響き渡ったのだった。
「ふぅ、すまなかった、久々にあの扉を押すやつを見たもので」
王様がユウトに謝る。
実際ユウトはかなり赤面していた。
「い、いえ大丈夫です」
しかし、そこを掘り返すのもユウトにとっては悪いことしかおきないため渋々返答する。
「では、改めて歓迎しよう、ユウト君」
王様はユウトに近づき握手を求めた。
そんな簡単に降りてきて良いのか王様に対して不安を抱きながら、その握手に応じる。
「ふむ、君は小さいんだね」
王様はユウトの手を握ったまま言う。
「ええ、身長に比べると小さい方みたいですね」
ユウトは特に恥じることではないため淡々と答えた。
「ということは、大規模魔法よりは繊細な魔法の方が得意というわけだ」
王様はユウトを見て言った。
「え? 魔法に手の大きさが関係するんですか?」
ユウトは王様の言葉にそう返答した。
そして王様の方は驚いた表情だ。
そこに新しい声が入ってきた。
「陛下、恐らく異星人には魔法という概念は知らないのでは? 過去の異星人が魔法を使ったという記録は残っていませんし」
「ああ、そうであったような」
王様はその声を聞いて頭をボリボリと掻いていった。
「魔法ってあの何でも出来る魔法ですか?」
ユウトは男子の夢である魔法について尋ねて見る。
魔法が使えるようになれば、かなり身の安全が守られる。
そのためにも、魔法を使いたいのだ。
決して、格好いいからとかではない。
「何でも、というのは語弊があるね、死者を生き返らせる魔法はないし他人を操る魔法もない」
途中から会話に加わってきた人物がユウトに説明する。
一体誰なのかと思っていると、ユウトの顔色で分かったのかその人物は自己紹介を始めた。
「ああ、すまない、自己紹介がまだだったね、魔法技術局長のジャックだ、よろしくカズト君」
どうやらかなりの大物だったらしい。
まあこの場にいる程なのでほぼ全員大物なのだろうが。
「宜しくお願いします、あの、自分でも魔法を使えるようになるんですかね?」
ユウトの質問にジャックは笑顔で答える。
「もちろん、誰にでも魔法は所得可能さ、まあ陛下がおっしゃったように、君は大規模魔法よりは繊細さが必要な魔法の方が得意みたいだけど」
「それなんですけど、手の大きさだけで分かるんですか?」
ユウトが先程、王様に言われた気になることについて説明を求める。
ジャックは嫌な顔一つせず丁寧に教えてくれた。
「絶対というわけではないけど、ほぼ当てはまるね、中にはそんなのも関係無しに全ての魔法が使える人もいるし、鍛えようによっては逆になるかもしれない」
「そうなんですか」
夢が広がる話題にウキウキ気分で話しを聞くユウト。
そこにジャックがユウトの頭に触れる。
「えっと何ですか?」
「君の魔力量を調べようと思ってね」
「よかったなユウトよ、ジャックの鑑定はかなり正確で国中でも予約待ちという噂じゃ」
王様がそう言い、ジャックは照れた表情をする。
そんな人の鑑定を受けられるなんて相当ついている。
そこでユウトは鑑定という言葉に引っかかった。
「ん? 鑑定……」
「お、ユウト君はかなり魔力量が高いね、それとも異星人はみんな高いのかな」
そこにジャックから声がかかる。
ジャックの言うように異星人のステータスはこの世界の住人たちよりは高い水準で統一されており、それに加え神によってプラスされている。
なので、異星人はみんな魔力量は高いかもしれないとユウトは思った。
そこに、ユウトの腕時計が鳴った。
「一応、ステータス確認もしておこう」
せっかくなのでユウトは腕時計に触れ画面を展開させる。
ネーム ユウト
種族 地球人
才能 取捨選択
技能 鑑定眼
※魔力量 かなり高い
すると、ステータスに変化が見られた。
どうやら存在を知っていないと表示されないらしい。
そして改めてみると、技能が鑑定から鑑定眼に変わっていることに気がついた。
「鑑定眼って、鑑定と何が違うんだ?」
ユウトはそうボソッと呟くと、ジャックが興味深そうにユウトを見て答えた。
「鑑定眼を知っているのか、鑑定眼というのは目で見て、その対象の情報を見ることが出来る能力だ、僕の鑑定手は手で触れないといけないから、それに比べると便利で羨ましいよ」
ジャックの説明にユウトは納得し、さらに鑑定眼がこの世界でも存在していることに安心する。
存在しない能力なら、晒すと危険が生じるためだ。
「あの自分は鑑定眼を持っているみたいです」
「なに!? それは誠か?」
ジャックに話したつもりだが、何故か王様が声を上げた。
ジャックはセリフを奪われたため苦笑いをしている。
「ええ、そうです」
「そうか、鑑定眼はかなりレアだと聞いている、さすがは異星人か」
「いえ、多分、異星人の中でも小数しか持っている人はいないと思います」
「ほう、それは君が他の異星人と比べて優秀だと言うことか?」
王様は目を細めてユウトを見る。
しかしそんなことは無いのでしっかり訂正する。
「いえ、自分は何故かこの星に降り立ったとき、装備品が受け取れなかったんですよ、その時のお詫びのようなもので受け取りました、その時は武器無しでモンスターを倒さないといけなくなりましたが」
しっかり事のあらましを説明する。
鑑定眼がそんな簡単に身に付くものだといってしまって大丈夫だろうか、と言った後になってユウトは不安につつまれたが、二人はそんなことには気づいていないようだった。
「モンスターを素手で!? それはすごいな」
「つらい思いをしたんだな……」
前者はジャックで、後者は王様で慰めるようにユウトの頭を撫でてきた。
それにしてもあの時は辛かったなとユウトが思い出に浸っていると、何故今までなんとも思っていなかったのかと、自分を責めたくなる事を思い出した。
コウヤ、サラ、ミサキ、レナのことだ。
「何で今まで……?」
ユウトは一気に暗い気持ちに包まれる。
大丈夫だろうか、すでに……などネガティブな方へと思考が進む。
そんな様子のユウトに二人が気づいたようで話を書けてくる。
「どうした? さっき話したことに関係が?」
「ええ……何で今まで思い出せなかったのか分かりませんが、自分には友達がいたんです、でも今はどこにいるのか分からない……」
「ふむ、確かに大切な友を忘れるような人には見えないな、気を失っている間に何かされたのではないか?」
王様がユウトの様子をうかがいながらそう言い、ジャックを見る。
すると、ジャックが再びユウトの頭に触れた。
「……よく分からないが、歪な魔法の様なものの痕跡が見られる、呪いといった方が正しいかもしれないが」
「呪いですか?」
呪いという響きに嫌な感じを抱くユウトだが、それなら説明がつく。
否、それのせいにしておかないと自分が嫌いになってしまうのだ。
そして、それを行った者も神に違いない。
「自分、やることが見つかったみたいです」
ユウトは、顔を上げてそう告げた。
まずは、みんなを守れるように強くなろう。
そう決めたユウトだった。
何か異様な空気が流れているのがユウトには感じられる。
何というかこの場にいる人の顔が皆強ばっている。
「そ、そなたが異星人のユウトとやらか」
一番高いところで椅子に座っていた人物が声を発した。
恐らく王様だろう。
そして何故か彼も顔が強ばっている。
てっきり、王様が厳しい方なのでこの場にいる者が緊張しているのかとユウトは思っていたが、どうやら違うようだ。
「はい、そうです」
「そ、そうか」
王様の口調が何故か途切れ途切れであった。
ユウトはそれが不思議だったが場も場なのでおとなしく膝をついた。
「そこまで畏まらなくてもよい、面を上げよ」
王様はユウトが頭を下げようとする直前にそう発言し、ユウトは立ち上がる。
その途端誰かが吹き出した。
「っく、はっはっはっは」
「お、おい止めぬか……」
王様がその声の主に諫めるよう発言する。
「や、止めろと言うとるのに、っはっはっはっは、引く扉を押すとは――」
すると、諫める立場のはずの王様も吹き出した。
そしてユウトを見て言ったのだ。
先程の失態を。
そして、ユウトは何故自分が笑われているのかを察する。
そこからしばらく笑い声が響き渡ったのだった。
「ふぅ、すまなかった、久々にあの扉を押すやつを見たもので」
王様がユウトに謝る。
実際ユウトはかなり赤面していた。
「い、いえ大丈夫です」
しかし、そこを掘り返すのもユウトにとっては悪いことしかおきないため渋々返答する。
「では、改めて歓迎しよう、ユウト君」
王様はユウトに近づき握手を求めた。
そんな簡単に降りてきて良いのか王様に対して不安を抱きながら、その握手に応じる。
「ふむ、君は小さいんだね」
王様はユウトの手を握ったまま言う。
「ええ、身長に比べると小さい方みたいですね」
ユウトは特に恥じることではないため淡々と答えた。
「ということは、大規模魔法よりは繊細な魔法の方が得意というわけだ」
王様はユウトを見て言った。
「え? 魔法に手の大きさが関係するんですか?」
ユウトは王様の言葉にそう返答した。
そして王様の方は驚いた表情だ。
そこに新しい声が入ってきた。
「陛下、恐らく異星人には魔法という概念は知らないのでは? 過去の異星人が魔法を使ったという記録は残っていませんし」
「ああ、そうであったような」
王様はその声を聞いて頭をボリボリと掻いていった。
「魔法ってあの何でも出来る魔法ですか?」
ユウトは男子の夢である魔法について尋ねて見る。
魔法が使えるようになれば、かなり身の安全が守られる。
そのためにも、魔法を使いたいのだ。
決して、格好いいからとかではない。
「何でも、というのは語弊があるね、死者を生き返らせる魔法はないし他人を操る魔法もない」
途中から会話に加わってきた人物がユウトに説明する。
一体誰なのかと思っていると、ユウトの顔色で分かったのかその人物は自己紹介を始めた。
「ああ、すまない、自己紹介がまだだったね、魔法技術局長のジャックだ、よろしくカズト君」
どうやらかなりの大物だったらしい。
まあこの場にいる程なのでほぼ全員大物なのだろうが。
「宜しくお願いします、あの、自分でも魔法を使えるようになるんですかね?」
ユウトの質問にジャックは笑顔で答える。
「もちろん、誰にでも魔法は所得可能さ、まあ陛下がおっしゃったように、君は大規模魔法よりは繊細さが必要な魔法の方が得意みたいだけど」
「それなんですけど、手の大きさだけで分かるんですか?」
ユウトが先程、王様に言われた気になることについて説明を求める。
ジャックは嫌な顔一つせず丁寧に教えてくれた。
「絶対というわけではないけど、ほぼ当てはまるね、中にはそんなのも関係無しに全ての魔法が使える人もいるし、鍛えようによっては逆になるかもしれない」
「そうなんですか」
夢が広がる話題にウキウキ気分で話しを聞くユウト。
そこにジャックがユウトの頭に触れる。
「えっと何ですか?」
「君の魔力量を調べようと思ってね」
「よかったなユウトよ、ジャックの鑑定はかなり正確で国中でも予約待ちという噂じゃ」
王様がそう言い、ジャックは照れた表情をする。
そんな人の鑑定を受けられるなんて相当ついている。
そこでユウトは鑑定という言葉に引っかかった。
「ん? 鑑定……」
「お、ユウト君はかなり魔力量が高いね、それとも異星人はみんな高いのかな」
そこにジャックから声がかかる。
ジャックの言うように異星人のステータスはこの世界の住人たちよりは高い水準で統一されており、それに加え神によってプラスされている。
なので、異星人はみんな魔力量は高いかもしれないとユウトは思った。
そこに、ユウトの腕時計が鳴った。
「一応、ステータス確認もしておこう」
せっかくなのでユウトは腕時計に触れ画面を展開させる。
ネーム ユウト
種族 地球人
才能 取捨選択
技能 鑑定眼
※魔力量 かなり高い
すると、ステータスに変化が見られた。
どうやら存在を知っていないと表示されないらしい。
そして改めてみると、技能が鑑定から鑑定眼に変わっていることに気がついた。
「鑑定眼って、鑑定と何が違うんだ?」
ユウトはそうボソッと呟くと、ジャックが興味深そうにユウトを見て答えた。
「鑑定眼を知っているのか、鑑定眼というのは目で見て、その対象の情報を見ることが出来る能力だ、僕の鑑定手は手で触れないといけないから、それに比べると便利で羨ましいよ」
ジャックの説明にユウトは納得し、さらに鑑定眼がこの世界でも存在していることに安心する。
存在しない能力なら、晒すと危険が生じるためだ。
「あの自分は鑑定眼を持っているみたいです」
「なに!? それは誠か?」
ジャックに話したつもりだが、何故か王様が声を上げた。
ジャックはセリフを奪われたため苦笑いをしている。
「ええ、そうです」
「そうか、鑑定眼はかなりレアだと聞いている、さすがは異星人か」
「いえ、多分、異星人の中でも小数しか持っている人はいないと思います」
「ほう、それは君が他の異星人と比べて優秀だと言うことか?」
王様は目を細めてユウトを見る。
しかしそんなことは無いのでしっかり訂正する。
「いえ、自分は何故かこの星に降り立ったとき、装備品が受け取れなかったんですよ、その時のお詫びのようなもので受け取りました、その時は武器無しでモンスターを倒さないといけなくなりましたが」
しっかり事のあらましを説明する。
鑑定眼がそんな簡単に身に付くものだといってしまって大丈夫だろうか、と言った後になってユウトは不安につつまれたが、二人はそんなことには気づいていないようだった。
「モンスターを素手で!? それはすごいな」
「つらい思いをしたんだな……」
前者はジャックで、後者は王様で慰めるようにユウトの頭を撫でてきた。
それにしてもあの時は辛かったなとユウトが思い出に浸っていると、何故今までなんとも思っていなかったのかと、自分を責めたくなる事を思い出した。
コウヤ、サラ、ミサキ、レナのことだ。
「何で今まで……?」
ユウトは一気に暗い気持ちに包まれる。
大丈夫だろうか、すでに……などネガティブな方へと思考が進む。
そんな様子のユウトに二人が気づいたようで話を書けてくる。
「どうした? さっき話したことに関係が?」
「ええ……何で今まで思い出せなかったのか分かりませんが、自分には友達がいたんです、でも今はどこにいるのか分からない……」
「ふむ、確かに大切な友を忘れるような人には見えないな、気を失っている間に何かされたのではないか?」
王様がユウトの様子をうかがいながらそう言い、ジャックを見る。
すると、ジャックが再びユウトの頭に触れた。
「……よく分からないが、歪な魔法の様なものの痕跡が見られる、呪いといった方が正しいかもしれないが」
「呪いですか?」
呪いという響きに嫌な感じを抱くユウトだが、それなら説明がつく。
否、それのせいにしておかないと自分が嫌いになってしまうのだ。
そして、それを行った者も神に違いない。
「自分、やることが見つかったみたいです」
ユウトは、顔を上げてそう告げた。
まずは、みんなを守れるように強くなろう。
そう決めたユウトだった。
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