センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

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20話 剣の道。


 20話 剣の道。

「……『味方に損害を出すヤツ』の事は誰も信用しない。……つまり、そんなヤツを将軍の地位には置いておけないってことだ」

 言いながら、ゴートは、ワイルを睨みつけ、

「命令系統の乱れは軍全体の損失につながる大事。まだ理解できないようなら、お前を殺し、理解できるヤツを後釜につかせる。……おいこら、いつまで痛がっていやがる。軍人が腕をなくしたくらいでピーピーいうな。上官が問いかけてんだ。さっさと返事をしろ」

 威圧的なゴートの言葉を受けて、
 ワイルは、ギリっと奥歯をかみしめてから、

「見えなかった……」

 ボソっとそう言う。
 小さな声。
 だが、ゴートの耳には届いた。
 だから、


「あん?」


 ゴートは、さらに威圧的になって詰め寄った。
 不愉快ぶりを隠そうともしないゴートに、
 ワイルは言う。

「お前の太刀筋……まったく見えなかった……」

「だからなんだ?」

「ラムド、お前は……召喚術が得意なだけで、剣は使えないんじゃなかったのか……」

 まだタメ口は続いているが、ここでのソレは、ここまでのソレとは『意味合い・色調(ニュアンス)が違う』と解釈したゴートは、

「うぜぇ口調が直ってねぇが……まあ、少しだけ、我慢して話を聞いてやる。で、だから、なんだ?」

「俺は俺より強い奴にしか従わねぇ。陛下は俺よりも遥かに強かった。だから、俺は、『魔王軍の将』の任を受けた……」

「知っている。俺はお前の上司だからな。――で?」



「……剣で一騎討ちだ。ラムド」



 言いながら、ワイルは、残っている腕で剣を抜いた。
 キラリと光る銀。
 もう後には引けない覚悟の色。

「……なんで、お前が俺に命令してんだ……」

 ゴートは、その表情へ、さらに濃密な怒りを投入し、

「しかも『条件付きで闘え』とかふざけた事を。このバカが。従う必要ないね……と言いたいところだが、この一回に限り、他の連中が見ている『ここ』でなら……やってやるよ」


「望むとこだ!」


 鼻息荒く叫んだワイル。
 そこで、リーンが、

「ラムド、待っ――」

 ワイルの身を心配して止めようとした――が、
 しかし、当のワイルが、

「陛下! 口を出さないでもらいたい! これは俺とラムドの問題だ!!」

 プライドを叫んだ。
 軍人の誇りは重たい。
 彼の王であるリーンは、ワイルの誇りを無碍にはできない。
 この問題に関する『これ以上の踏み込み』は、ワイルに対する明確な侮辱。
 つまりは、許されないこと!
 やってはならぬ禁忌!

 黙ったリーンから視線をはずしたワイルは、
 そこで、あらためて、ゴートを睨みつける。

 ワイルは理解している。
 これから誰を相手にするのか。

 ワイルがこれから闘う相手は、世界最強の勇者を殺した牙。
 つまりは、まぎれもない世界最強。
 魔王軍の宰相にして、世界の支配構造再編を目論む、狂気のマッド召喚士。

「お前の召喚獣が強い事はしっている。だが、俺は、それを、『力』とは認めない」
「アホな意見だ。しかし、一応、なぜだと問いかけてやる」

「俺の道は、剣の道だからだ」
「意味不明……だが、なぜか理解できた。ようするに、『ユーチュブで稼ぐことを労働とは認めない』みたいなもんだろ。しょうもないこだわりだ」

「? ゆーちゅ……何を言っているかわからないんだが」
「理解させようと思っていないからな。当然だ」
「……?」

「お前のこだわり、無意味とは言わないさ。大事なものだ。捨てろとは言わない。受け入れろとも言わない。――お前は、ただ、俺を知ればいい。剣の道しか認めないというのなら、俺の剣を見せてやる」
「いい覚悟だ。もし、お前の実力が、その自信の通りなら、お前は俺の王にふさわしい」

「王はリーンだ。俺じゃない」

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