『経験値12000倍』のチートを持つ俺が、200億年修行した結果……

祝百万部

20話 ゼノリカに近づくモナルッポ。



 20話 ゼノリカに近づくモナルッポ。


 ミシャがホアノスをボコボコにしていた頃、ミルス王国の第三王子モナルッポは、子飼いの忍である『キッツ』と共にセファイルに訪れていた。
 余計な観光などせず、まっすぐに、レイモンドの本社を目指す二人。


 首都の南方、王城から一望できる、横に広い建物がレイモンドの事務所。
 広さはまずまずだが、全体的に質素で、今、世界中の最上層部から注目を集めている会社とは到底思えない。


「……外観は普通だな」
「しかし、警備は厳重です。よほどの者でなければ、近づく事もできません」


 二人とも、高位のフェイクオーラで変装しているため、上位者のオーラは消えている。
 周囲をいきかう人々は、キッツとモナルッポにいっさい注意をはらうことなく、彼らの横をすぎ去っていく。


「俺達クラスでなければ近づく事もできない……か。楽しみだねぇ。いったい、中に何があるか……」
「こちらがルートになっております。ご確認を」


 渡された紙を一目チラ見すると、


「把握した」


 すぐさま、火の魔法で紙を焼却する。


 モナルッポは、レイモンドの本社に意識を向けつつ、それがバレないよう、視線をコントロールしながら、近くの柵に腰をかけ、


「前の報告書にあった内容の確認だが……ここ最近、急に、裏社会の動きが、のきなみ鈍くなったと書かれていたな。その程度をききたい」


 ボソっと、表情を変えずに、そう問いかけると、キッツは、とうとうと、


「――『何かしら』の介入があったのは間違いない、と断定できるレベルです。ただ、どの方面からの介入かわかりません。最初は、フーマーが何かはしゃいだのかと思いましたが……)


「今では、レイモンドが何かやった線の方が濃厚か?」


「はい」


「ふむ……」


 そこで、モナルッポは、顎に手をあてて、


「俺の結論でいうと、セファイルの経済はすでに何者かによって抑えられている。レイモンドは氷山の一角にすぎない。というより、なんらかの『本体』をボカすために、『注意をそらすため』の『氷山の一角』を担っているというべきか」


 モナルッポは、そこから数秒黙りこみ、


「どうやら、想定よりも遥かに大きな組織らしい。できれば、共存したいところだな……」


 『世界の王』を目指すモナルッポにとって、レイモンドは非常に魅力的なアイテム。
 だが、レイモンドと共存すると、フーマーを敵にまわす事になる。


(どちらにベットすべきか……このギャンブルは、おそらく、俺の人生における最大の分水嶺)


 悩んでいると、キッツが、


「モナ様。一つ、お耳にいれたい事が」


「どうした?」


「まだ確証に至ってはいないフワついた情報なので恐縮ですが……しかし、どうしても詳細を詰めることができず――」


「構わない。言え」


「はっ。実は、レイモンドの調査を進めた結果、近づけば近づくほどに、とある言葉がチラホラと浮き彫りになってくるのです」


「とある言葉? ……ほう……」


「いったい、何を示す言葉なのかはまだ分かりませんが、レイモンドに潜ると、ごくまれに……ゼノリカ……という言葉に触れる事があるのです。レイモンドにとって、非常に、重要な言葉らしいのですが、どこにも『答え』に通じる情報はないという、妙なことに……」


「ゼノリカ……ねぇ。黒幕の名前か? それとも、崇拝している神の名前か……あるいは、魔カードの製作にかかわる秘密の概念……言葉だけでは流石に何も分からないな」


 ボソっとそう言ってから、


「とりあえず、まずは潜ってみるか……逃走用のアイテムの準備は?」


「ぬかりなく。次元ロックをすりぬける加工にも不備はありません」


「よし。それでは、探索開始だ。交渉の材料となる『何か』でも見つけられれば儲けものだが、はてさて……」







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