『経験値12000倍』のチートを持つ俺が、200億年修行した結果……

祝百万部

35話 バロールは根性なし。



 35話 バロールは根性なし。




「――獄乱斬っっ!!」


 凶悪に高そうな鎧を身にまとっている『猿顔の偉丈夫』は、そう叫びながら、巨大なバスターソードで、『襲いかかってきたドラゴン』を一刀のもとに切り伏せた。


 真っ二つになってズズゥンと倒れ込む、かなり高位のドラゴン。
 猿顔の偉丈夫は、汗だくで、顔面蒼白。
 自分が殺したそのドラゴンを見下ろしながら、その猿顔は、


「ぜぇ……はぁ……うぅ……くっ……」


 奥歯をかみしめながら、


「ギブアップだ……もう闘えない……」


 ゼノリカの天上、九華十傑の第六席ブナッティ・バロールが、そう宣言すると、
 バーンッッ!
 という大きな音がして、後方にある扉が開いた。


 よろよろしながら、バロールは、この『10秒ルーム』を後にする。


 外に出て、すぐに、扉の横に設置されているタッチパネルのモニターを操作する。


「……529時間か……」


 自分の『結果』を確認して、ボソっとそうつぶやくバロール。


「まあ、トップ成績ではないだろうが、悪くはないだろ……」


 とそこで、後ろから、


「いや、なに言ってんの? かなり悪いから。ていうか、最悪」
「はっはー。そうだねぇ。今のところ、最低記録だよ」


 『大柄のバロールよりも背が高いゴリラ顔(美人だけどね)の女』と、『細マッチョの夏目漱石と表現するのが最適な、全体的にいい感じのオッサン』が、そう声をかけてきた。


 『10秒ルーム(ゼンが迷宮でやっていた、十秒ごとに出てくるモンスターと闘うアレができる訓練施設)』の扉前にある瞑想フロアで『身体&精神の回復』に勤しんでいた二人の九華。


 ゼノリカの天上、九華十傑の第八席ロックロック・テリーヌと、
 ゼノリカの天上、九華十傑の第三席サトロワス。




「さ、最低記録だと? ……『529時間』で最低記録なのか? ウソだろ? この10秒ルームの難易度は、一般人なら、5分と持たないレベル……楽連の連中であったとしても、おそらく、10時間と耐えられないはず……」


 『5分』という短時間であっても、『30体』は倒さなければならず、
 『10時間』ともなれば、倒すモンスターの数は『3600』にもなる地獄の訓練。


 休むことなく『10秒以内にギリギリ倒せるモンスター』を倒し続ける地獄は想像を絶する。
 超人ぞろいの楽連の武士であったとしても、5時間~10時間が精々。
 その50倍以上の記録を達成したバロールが最下位とは、これいかに。


 ――バロールの疑念に、サトロワスが答える。


「いまのところ、『十席以外』の九華しか使っていないからねぇ。ちなみに、これまでの最低記録は、カティの532時間。あと、もうちょっとだけがんばれば、最低記録を更新せずにすんだんだけどねぇ」


「ば、ばかな……カティにまで負けただと?」


 ワナワナと震えながら、


「プライドだけは一丁前だが、スペックはお粗末な事でおなじみ、脆弱カティさんより下……だと……?」






「誰が脆弱だぁ!」






 パァン!
 と、バロールの後頭部をシバきながらそう叫んだのは、ゴシック&ボーイッシュなスタイルが特徴的な黒髪短髪少女。
 ゼノリカの天上、九華十傑の第九席レミングウェイ・カティ。


「回避タンク型の私に装甲など必要ない! それに、火力ではゼノリカ一だ!」


 カティは、他の九華と比べると、若干、存在値が低く、とりわけ、耐久面がペラッペラ。
 『その分、火力とスピードは高い』という『回避タンク&カウンター型』であり、戦闘において、そこまで『他の者より劣っている』というワケではないのだが、とにかく防御面がお粗末で、かつ、『己の火力に対する自信が過剰すぎる』ため、他の九華からは、その辺を、頻繁にイジられている。


「いや、確かに、お前の攻撃力は低くないが、絶対に、ゼノリカ一ではないだろ……」









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