センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

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56話 UFオーラの使い方。



 56話 UFオーラの使い方。




 ゼンが、エグゾギアの改造において、まず着手したのが、
 UFオーラ(最高位のフェイクオーラ)の強化だった。
 ゼノリカ相手に、エグゾギアを使った際にも『できるだけ、情報を与えないように』と考え施した処置。
 エグゾギアの異常性さえ隠蔽いんぺいできれば、そのスキ(認識の齟齬)をついて、ゼノリカを倒すことが出来るだろうと甘く考えていたため、スペックの向上などは無視して、とにかく、他の何よりもまず、UFオーラを鍛えたのだった。




(……いや、もちろん、フェイクオーラで攻撃を偽装するのは、常套手段なんだが……)


 もっと高みに行けば、『攻撃の偽装』には意味がなくなるのだが、
 ゼンやフッキ程度の次元では、バリバリ有効な手段(前提によって悪手にもなるが)。


(しかし、サイコジョーカー展開中という極限状態で、高次戦闘経験希薄な素人が、一丁前に『対策の対策』を施すなど……っ)


 ――いや、それ以前に、
 と、フッキの思考が、現状の事実に届く。


(解除されていなければ……逃げ切れなかった……流石に、死にはしなかっただろうが……)


 構造上、フッキのボディから汗は出ないが、もし、汗を出すことが出来たとしたら、全身が冷や汗に包まれていたことだろう。


 そんなフッキに、


「ぜぇ、はぁ、ぜぇ、はぁあ!! ……はぁ、はぁ……おい……フッキ」


 サイコジョーカーを解除して、数秒ほどのたうちまわっていたゼンが言う。


「お前、サイコジョーカーを使ったことあるか?」


 どう返事をするべきか、一瞬悩んだが、


「……ぁあ」


 フッキは普通に答えた。


「そうか。どうだった? お前のサイコジョーカーに対する感想をぜひ聞かせてくれよ」


「…………死ぬほどキツかったな。できれば二度と使いたくはない」


 その素直な答えを聞いて、ゼンは頷いた。


「だよなぁ。これ、しんどすぎ……何度やっても慣れる気がしねぇ……」


 予選が始まるまでの間に、ゼンは一度、ためしで、サイコジョーカーを使った事がある。
 その時は、『初めてサイコジョーカーを使った時のフッキ』と同じく、あまりのキツさに耐えきれず、すぐに解除してしまった。


「パワーアップ率はかなりのものだけど、使っている間は、キツすぎて、冷静ではいられなくなるし、当然のように判断力とか落ちるし、解除した直後は、『疲労』とか、『混迷』とか、デバフがつきまくって、まともに動くこともできなくなる……デメリットが多すぎなんだよ、これ……」


 ブツブツと、自身最大の切札についての愚痴をこぼすゼンを見下ろしながら、
 フッキは、


(……そう。サイコジョーカーを使用している間は、精神的に、まともではいられない。『拳を振り回す程度』が精いっぱい――いや、『戦意を保って拳を握りしめられるだけ』でも相当なもの……)


 かつての神との闘いで、フッキは、サイコジョーカーの反動に耐え、神に全力で殴りかかった。
 偉大なる神に殴りかかるという、その行為そのものは、『この上なくイカれた愚行』であり、死ぬ気で反省しなければいけない最大の汚点だが、『サイコジョーカーの使用中も、戦意を保って殴りかかることができた』という事実は、神から『500点』を賜ったこともあり、フッキの中で一つの大きな誇りになっていた。


 ――ゆえに、




「……」




 フッキは瞠目する。
 全ての事実が、フッキの中で繋がって、目の前にいるゼンという個の輪郭をハッキリとさせた。


(凄まじい潜在能力……流石は、幼き日の神……)


 ゼンという原石、その輝きに、フッキは、興奮すら覚えた。


(強くなる。このガキは、間違いなく……)


 確信が、フッキに、自身の未来を想像させた。
 このガキと共に歩む道、その果て――


(このガキは、これから、『主が辿った道』をゆく。……『その道』についていけば、いつか、オレも……)







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