『経験値12000倍』のチートを持つ俺が、200億年修行した結果……

祝百万部

51話 判定。



 51話 判定。


 ゼンは、とにかく全力で、フッキを削ろうと必死に戦うが、


「かなり甘く判定すれば……剣の質は『そこそこ』と言えなくもない。まだまだ荒いが、鈍くはない……と、言えなくもない」


 遥かな高みから見下ろされる事しか出来ない。
 現状、それ以上の結果になることはありえない。


「正直、もろもろ遅すぎて話にならないが……太刀筋や思考の瞬発力に、センスを感じないわけではない……『センスがある』と断言する事は絶対に出来ないが……まあ、うん……」


 何百歩も譲った上での判定。
 フッキは、必死になって、ゼンの『加点部分』を探したが、
 どれだけ甘く見積もっても、ここまでが限度。


「剣の方は、まだ、評価できる部分がある。だが、魔法の方は、擁護しようがない。もう、酷すぎる。色々言いたいことはあるが、とにかく、全てが雑だ」


「うるせぇ。俺、魔法は、なんか、苦手なんだよ。剣の方は、ちょっとだけ分かってきた部分もなくはないけど、魔法は……ぶっちゃけ、なんか、よくわからん!」


 そこで、フッキは、また、己の『主』を思い出す。


 主の魔法は、深淵の果てにあった。
 その美しさは見事の一言につきた。


 洗練された、主の魔法制御は、磨き抜かれた叡智の結晶。
 主以外では誰も辿りつけない、と一目で確信出来る極致。




(やはり、ありえない。これが、主に届くとは思えない……)




 『胆力』は悪くない。
 その瞳の輝きには、目を見張るものがある。
 それは認める。
 だが、結局のところ、それだけだ。






『フッキ。お前の全力をもってゼンを試せ。そして、使えないと思ったら、その手でゼンを殺せ。お前を納得させることすら出来ないゴミなど必要ない』






 今のフッキにとって、主の命は絶対。
 そして、


(主に相応しくない。こいつは主のノイズになる)


 主を愛するがゆえに、目が厳しくなる。
 その厳しすぎる審美眼は、『まだ若いから』などという甘えを許さない。


 ――汚物は消毒だ。




「ここから、少しギアをあげるぞ。ちょっとでも音を上げた時点で終わりにさせてもらう」




 冷酷な発言の直後、フッキは加速した。
 グンと、動きに鋭さが増す。
 その上で、『優しい受け』を捨て、『柔らかな攻め』に転じる。
 まだテストは終わっていない――が、テストと呼ぶにはあまりにも苛烈な攻防。


(――踏み込まれるっっ!)


 フッキは、強力なグリムアーツや魔法などは使わなかったが、
 その『柔らかな一手一手』は、ゼンの全てを細かく削っていく。


(処理が――追いつかっ――見えなっ――)


 いつのまにか、距離を詰められていて、
 死角からの切り込みが、スーっと、ほとんど無音のままに届く。




 音をも殺す高次の戦闘で、ゼンの心は分断されていく。
 体内をめぐる水が、全てヘドロになっていくような異物感。
 ジットリと苦しい『重さ』だけが、みぞおちの奥で、無慈悲に増殖していく。




 圧倒的なスペックの差。
 その上、戦闘力の差も大きい(今のゼンでは、彼我の戦闘力の差がイマイチ理解できていない。まだ、ゼンは、『相手の強さが正確に分かる』ほどの強さには達していない)。


 ※ フッキの戦闘力は、現世基準だと、かなり高い。
 それは、洗練されたCPU的な強さ(ス○ブラSPのレベル9CPU的な)であり、もちろん、アダムや三至(ゾメガ・平・ミシャ)のようなガチ勢と比べれば『ものたりない強さ・容易に対処できる程度』なのだが、まだまだライトユーザーでしかないゼンからすれば、強すぎてハゲ上がるレベル。




(……つ、強すぎる……ジャブを当てるスキすら……今の俺には……見えないっ……)




 とてつもなく巨大な壁を感じた。
 素人に毛が生えた程度の戦闘力では、絶対に超えられない壁。


 なのに、ここから、


「もう一段階、ギアをあげる。ついてこられなければ、そのまま殺す」


 さらに、高い精度の武がゼンを襲う。
 ゼンの地獄は、まだ始まってすらいなかった。







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