『経験値12000倍』のチートを持つ俺が、200億年修行した結果……

祝百万部

53話 神の剣



 53話 神の剣




 神の言葉に嘘はない。
 神が望む世界に辿りつけなければ、自分は確実に廃棄されるだろう。


 だが、もし、辿りつけたら、
 その時、神は――




「積み重ねます……」




 フッキは、片膝をつき、こうべをたれながら、未来を想う。
 いつか、神の剣となった自分を思い描く。


 『この上なく尊い神』の覇道を穢す『れ者』を屠る刃。


 神は完全だが、この世界は完全ではない。
 『かつての自分』のような、『神を理解できないバカ』が、他にいないとも限らない。


 もちろん、『これほどの神』を殺せるようなバカは存在しないだろうが、自分のような『かすり傷を負わせるくらいまでなら不可能ではないバカ』ならば、もしかしたら、どこかに何匹かいるかもしれない。


 もし、そんなバカがいたら、神の手を煩わせることなく蹴散らさなければいけない。
 神の玉体にキズをつけるなど、もってのほか。
 視界を汚すことすら許されない。


 命にかえても、神の全てを守る。
 それが、自分のような、『神の偉大さを知った者』の義務。




 すなわち、自分が生きている理由。




「全てを賭して……魂も、心も……すべてを神に捧げ……決して折れず、砕けない意志をもって……」


 命の底に『道標センエース』を刻みながら、決意の先で夢を見る。
 勝手に背負った義務が、権利の背中を見つめていた。


 フッキは、遠き未来を想い描く。


 たんなるガラクタではなく、
 『この世で最も美しい神』を飾る『一つ』になった未来。


 その未来は、なんと、
 ああ、なんと――




「あなた様を……より輝かす剣に……必ず」




 生きる理由は、ここにあった。
 くだらない自意識ではなく、確かな存在意義を手に入れる。


(俺は……神を輝かせるために、存在している……)


 魂魄を満たす、哲学の答えに辿り着く。
 その『解答』の美しさに比べれば、
 カラッポの最強など、ガラクタでしかなかった。












 ★




「お見事でございます、主上様」


 フッキを導いたその手腕に感嘆するアダム。


「そこのガラクタをねじ伏せた、神々しい御姿……あまりにも素晴らし過ぎて、流石としか言いようがございません」


 心の底からの賛辞を並べるアダム。


「ああ、本当に、言葉もありません。一手一手が、美しき輝きに満ちており――」


「アダム、もういい」


「はっ、申し訳――いえ、なんでもございません」


 めんどうなやりとりを強制的に終わらせたところで、
 シューリが、


「……いいんでちゅか? こんなもん、使い物になるとは思えまちぇんけど」


 心底軽蔑した目でフッキを見下しながらそう言ったのを聞いて、
 センは言う。


「もちろん、この先、使い物にならないと判断できたら、その時には、有無を言わさず、サクっとデリートする。別に、恩情で残してやったわけじゃない」


「言い訳くさいでちゅねぇ。まあ、好きにすればいいんでちゅけどねぇ。お兄が、どんなお荷物をかかえようが、ぶっちゃけどうでもいいんで。オイちゃんには一切関係がない話でちゅ。――けど、まあ」


 などと言いながら、シューリは、
 スゥっと歩を進め、フッキの目の前まで歩くと、
 予備動作なく、とうとつに、
 ――ガツンッッ、
 と、フッキの頭部を踏みつけて、


「一応、師匠として、今後、弟子に迷惑をかけそうなガラクタにはクギを刺させてもらいまちゅ」


 神の力を解放させつつ、爆発的に覇気を高めて、


「二度目はないでちゅよ。二度と、ウチの子にナメた口をきかないでくだちゃいね」


「はずいんで、過保護はやめてください、師匠」


「お兄がどれだけ見くびられようと、実質的にはどうでもいいんでちゅけど、『弟子がナメられるということは、間接的に師匠もナメられている』という事でちゅからねぇ。オイちゃんの沽券にかかわる事でもある以上、見逃すわけにはいきまちぇん。まったく、こんな厄介な弟子を持ってしまって、オイちゃんのお先はまっくらでちゅ。いろいろと面倒なんで破門にしたいんでちゅけど。絶縁状は、どこに提出したらいいんでちゅかね?」


「過保護かと思ったら、いつもどおりプライドが高すぎるだけだった件。……ったく」


 深めの溜息をはさんでから、


「お前がどう思い何をしようと、『お前が俺の師であるという事実』に変化が起こることはありえない。俺みたいな不肖の弟子をもって不憫なのは分かるが、我慢しろ」




 センのその発言を受けて、シューリは、こぼれそうになるニヤケ顔をかみ殺しながら、
 フッキの頭部から足をどかしつつ、ソっとセンから顔をそらした。







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