『経験値12000倍』のチートを持つ俺が、200億年修行した結果……

祝百万部

20話 勇者の人間関係



 20話 勇者の人間関係




 シグレは、勇者の敵たりえない。
 一言で言えば、勇者的に、シグレは、あらゆる点で『対象外』なのだ。


 スリーピース・カースソルジャーを召喚できるシグレは、
 確かに『勇者よりも上位の力を持っている』と判断する事も出来なくはない――が、


 シグレのソレは、『寿命を削るというアリア・ギアスを積んでいる』がゆえの限定的な力なので、実がないというか、あまりにも輪郭が薄い。
 ハッキリと言ってしまえば、勇者の視点で言えば、シグレなど、フーマーの東方出身者ゆえの特異性の集合体でしかない。
 つまりは結局のところ枠外であって、根本となる『実質的にどちらが強いか』のステージには立てない。


 殺す理由がなく、競い合うステージにいないのだから、相手にする必要はない。


 というか、冒険者試験が終わった後も『関わりを繋げておきたい』というレベル。
 別に、ベタベタの仲間意識を持ちたいという事ではない。


 大学校時代に唯一『まともな会話ができた黒龍騎士パール・クレオール』のように、フーマーとのパイプの一つにしておきたいと思っただけ。


(精霊国フーマーとの『繋がり』自体はパールがいるから他はいらん……が、東方との繋がりはないから、出来れば欲しいと思っていた……)


 『困った時の人脈』などは必要としていないが、『相互にプラスを産みあう関係』はあえて拒否する必要がない。
 『フーマー以外の国』のカス共とは、その性格上、どうしても関係を結べないが、『パール・クレオール(サバサバした性格で、距離感が絶妙)』や、この『シグレ(割と気合いの入った変態)』のような、『フーマーに属する優れた人材』とならば、狂人選手権世界一位の勇者も、『人間関係』を形成できる可能性はある。




 ただ、


(こいつは……どうなんだ?)


 ゼンに関しては、まだその判断を下すべきかどうか思案中。
 ゼンの『人間性』は嫌いじゃないが、それだけじゃまったくもって不十分。


 ヘルズ覇鬼との闘いで、かたくななほどけんに徹していたのは、きっと、なにか理由があるのだろう。
 だが、その理由が分からない今、ゼンをシグレと同様に見る事はできない。


 というわけで、


「ゼン、今後のために……あの鬼の言葉が、もし、仮に事実だった場合に備えて……お前の切札について聞いておきたい。別に、前と同じように隠してもいいが、状況が状況だから、その場合は、お前の事を――」


 声をかけられたゼンは、ハルスの言葉を最後まで聞かず、


「ニーのスライムスーツに近い能力を持っている」


 くい気味で、ペラペラと、


「俺が誰かのスーツになるって訳じゃなく、特殊なシステムを用いて、強大な力を持つ戦闘スーツを纏って闘えるって意味な。俺のビルドはかなり尖っていて、ハルスを殺すこともできるが、数秒しかもたない。嘘偽りなく、闘える時間は数秒が限界。かつ、一度使ってしまうと、その数秒が経過したと同時に気絶してしまう」


(数秒で気絶……極端な『時限強化』特化ビルド……)


「そういう、無茶なアリア・ギアスを積んでいるがゆえの力。だから、さっきの戦いでは動けなかった」


「前は隠したのに、今は随分と簡単に吐いたな」


「このクソ面倒な状況下で、お前らが闘っている間、俺はまったく動かなかった。チームでありながら、俺だけが動かなかったその理由――求められたら、答えるのがスジだろう」


「……ちなみに、その力は、さっきの鬼を単騎でも殺せるほどか? ありえないとは思うが、もし、また、あれと同等クラスの敵がでてきて、その時、俺やシグレが戦力にならなくとも、問題なく撃退できるほどの力か?」


「ああ、間違いなく」


「温存するだけの価値がある力だと?」


「ああ」


「……わかった。盲目的に信じるわけじゃないが、一応、それを前提として、これからは行動するとしよう」


「たすかるよ」


 結論が出たところで、ゼンたちは、ヘルズ覇鬼を倒した事で最奥の壁に表示されたジオメトリに視線に近づいた。


 ハルスは、


(あの鬼の言った事が、もし真実なら、この先にもまたモンスターが出てくるわけだが……さぁて……)


 最悪本当だったとしても、『まあ、この戦力ならば、どうにかなるだろう』――そう思いながら、ジオメトリに触れた。













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