『経験値12000倍』のチートを持つ俺が、200億年修行した結果……

祝百万部

9話 修学旅行で買った木刀



 9話 修学旅行で買った木刀


 ちなみに、言うまでもないが、『アダムがシューリに頼んだ結果の、この状態』は、アダムがシューリとの協定の一つを守った結果でしかない。




 ――シューリが、少しでもセンと一緒にいる時間をつくるための理由。




 これも、もはや言うまでもない、当たり前のことだが、
 プライドがイカれているシューリから率先して『一緒にいたい』は絶対に言えない。


 そこで、橋渡しとなるアダムの登場。
 『アダムの頼みだから仕方がない』


 このキラーワードさえあれば、シューリはなんでもできる。
 アダムの頼みだから、センを手伝う。
 アダムの頼みだから、センの側にいる。


 あー、センのお守とかめんどいわー。


 けど、しかたないよねー。
 アダムの頼みだからねー。


 便利な言い訳。




「最初、アダムがお前に奇襲を仕掛けたって聞いた時はどうなることかと思ったが、最終的には関係良好なトモダチにおさまって、ホっとした」




 それも、今回の件で『いや、冒険試験で助けとかいらんけど』とは言えなかった理由の一つ。
 せっかく仲良くなった二人。
 『もしかして、今回の件は俺を助けるのが目的じゃなくて、トモダチと一緒にいたいからかな? だとしたら、そこは空気を読まないといけないよなぁ』
 そう考えたのも、断らなかった理由の一つ。




 状況が苛烈を極めている際ならば『空気など皆殺し』にするセンだが、こういう絶妙な繊細さを要する場面では、キッチリと空気を読んでいく。


「トモダチじゃないでちゅよ。オイちゃんとアーちゃんは血で繋がった家族でちゅ。ねー、アーちゃん」


 言いながら、アダムの耳をかむシューリ。


「ぅ……やめろ、バカもん! 主上様の前だぞ!」


 センの前ではわずかもみっともない姿を見せたくないアダムは、
 シューリのふざけた行動に、マジでちょっとキレる。




 頭は抜群にイカれているが、センと同様に、空気が読めない訳ではないシューリは、サっとアダムから離れて、適切な間合いを保ちつつ、


「なに遠慮しているんでちゅか。お兄が見ているとか、気にしなくていいんでちゅよ? こんなもん、『修学旅行で買った木刀』と一緒なんでちゅから」


 シューリの厳しい発言に対し、センは渋い顔をして、


「ぁの、姉さん、俺、一応、神様のトップで、立場は、あなたの上司なんですけど……崇め奉れ、とは言いませんが、アダムの前でもありますし、その、『粗大ごみ』あつかいは、流石に、ちょっと許容しがたいと言いますか――」


「はぁ?! お兄がオイちゃんの上司?!」


「なに『はじめて聞いた』みたいな顔してんだ。もう、だいぶ前からそうだろうが」


「あ、ありえない……まさか、オイちゃんの地位が、お兄より下だったなんて……」


「膝から崩れ落ちるほどのことじゃねぇだろ。立て、立て! ……おい、その『究極超邪神を前にした時より絶望した顔』を今すぐやめんかい」


「オイちゃん、お兄よりも上の存在で在り続けられるのならば、自分が全世界で2番目に価値の低い存在でもいい――ぐらいに思っていたんでちゅけど」


「もはや、俺のことが嫌いとかいう次元じゃねぇな。どうした、お前。俺に親でも殺されてんのか?」


「お兄の罪はそんなもんじゃないでちゅ」


「俺、お前に何をしたの?!」


「謝って! 今すぐオイちゃんに謝って!」


「だから、なにを?!」


「ヒント、太宰」


「俺が産まれた事って、親殺しより酷いの?!」


「ちがいまちゅよ、ヒントは、そっちじゃなくて、メロスの方でちゅ」


「……はぁ? ……えっと、じゃあ、もしかして、俺が邪智暴虐だって言いたいのか? 自分でいうのもなんだが、俺は、そこそこマシな王様だったと自負して――」


「ちがいまちゅよ。王じゃなく、メロスの方でちゅ。親友を身代わりにするなんて最低でちゅ! そもそもの話、殴りこみにいくのなら、妹の結婚式が終わってから――」


「あの、シューリ姉さん、その話と俺と、何がどう繋がるのでしょう? 俺、誰かを身代わりにした事とかないんですけど」


「繋がっているとか、繋がっていないとか、そんな事は今、どうでもいいんでちゅよ。今はメロスの話をしているんでちゅ。オイちゃんは、純粋に、メロスの腐った性根が気にいらんと――」


「なら、メロスに言え! なんで俺に謝罪要求してんだ!」


 二人の会話を聞きながら、アダムが、心の中で、


(……シューリ、めんどくさっ……)


 と呟いた、ちょうどそのタイミングで、ソロウ侯の第三屋敷に辿り着いたセン一行。




 ゼンたちと同じように、門番と執事を経て、奥の部屋へと辿り着く。




「ようこそ、冒険者を目指す者達よ。君たちはチームかな?」









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