『経験値12000倍』のチートを持つ俺が、200億年修行した結果……

祝百万部

19話 ついに、ラムド(ゴート)、動く。

 19話 ついに、ラムド(ゴート)、動く。




 南大陸には、他国からすれば垂涎ものの資源が山のようにあった。
 第一アルファで言うところの、レアメタルや石油に近い、国を発展させるため・継続させるための資源の宝庫。




 他国は、昔から、魔王国を属国に――植民地にしたがっていた。
 だが、リーンが邪魔で出来なかった。
 と同時に、リーンという存在が便利であったのも事実。
 リーンという『カリスマ(絶対安全装置)』によって統制された魔王国は、資源採取の労働力として極めて有益かつ便利な代物だった。


 金や魔石や貴重な薬草等は、採取するだけでも金と人と時間がかかる。
 魔王国はそれを安価で代行してくれる便利な業者。
 リーンはその監督責任者。


 どちら(業者として働かせておくか、それとも、全てを奪うか)をとるか、国家内で議論は何度もかわされた。


 そんな中、勇者が『勝手』に動き、全ての国家は趨勢すうせいを見守った。


 制御できる部分と、制御できない部分。
 すべてはバランス。


 勇者が勝つだろうと誰もが思った。
 ただ、『どのくらい勝つか』は予測ができなかった。
 完璧に魔王国を叩きのめすのはやめてもらいたい。
 誰もがそう思っていたが、勇者はコントロール不能どころか、予測すら不可能。
 とどのつまりは運否天賦。
 さて、どうなるだろう、ドキドキ。




 で、結果は勇者の敗北。
 最悪中の最悪。
『ウソだろ? マジか。その発想はなかったわ』
 各国、茫然。
 けれど、
 しかし、
 でも、


 ――まあいい。


 それなら、それで、
 また『違う奪い方』を考えるさ……










 ……もはや、世界(各国の首脳陣)は、魔人や進化種に脅威を感じてはいなかった。
 ――『やつらは、容姿が少し違うだけの人間。いや、人間よりも御しやすい低次の思想を持った弱い人間だ』――とそう判断した。
 能力は高いが、思想は総じて幼く、生まれてくる数も少ない。
 非常にバランスがいい資源。
 奴隷にするにはうってつけ。




 各国家が魔王国に下した評価は、金の卵をうむガチョウ。
 ガチョウにカリスマはいらない。
 やつらを奴隷にしたい。
 そのためには、リーンの死が必要である。
 だが、奴が死んだら、そのあとの魔王国の支配は誰が?
 南大陸でモンスターの監督なんてやりたくないぞ。
 魔人は人間と変わらないかもしれないが、モンスターはモンスターだ。


 リーンはバカだがカリスマは本物だ。
 そして、リーンは、バカだが、アホではない。
 周囲の国家が、魔王国に何を望んでいるかは理解している。


 魔王国は、大帝国から世界を守るために血を流した。
 あの戦争で最も被害を受けたのは魔王国だ。
 しかし、結果的にその恩恵を受けたのは魔王国『以外』であり、魔王国はなんの益も受けてはいない。


 周りの国家は、うまくリーンを御する事が出来たと認識しているが、そうではなく、リーンは平和のために自ら引いたのだ。


 そして、周囲の国家は、魔王国に要求を続けた。
 南大陸の資源をよこせ。
 簡単に言えばそれだ。
 表向きの理由は、『戦争の時に手を貸してやった』から。
 世界平和のために闘った魔王国。
 誰よりも傷ついた魔王国。
 その魔王国に、世界中の国がたかったのだ。
 よってたかって、魔王国がかかげる『平和』を食い物にしようとした。


 それでも、『平和になるのなら』とリーンはバカであろうとした。
 いつか、分かってくれるんじゃないかという期待があったのも事実。


『いつか、きっと気付いてくれるはず。思いやりこそが最大の利益を生むことに……本物の平和にしか未来はないことに……みんな、気付いてくれるはず』


 つまりは、しかして、やはり、リーンはバカだった。
 もっといえば、リーン以外の全員がバカだった。
 二度と戦争はおこしたくないというリーンの想いは、他国家にとっては食い物でしかない。
 外交テーブル上の戦争で、魔王国は負け続けた。




 だから、今回の交渉でも、戦争を回避するために、魔王国は譲歩をよぎなくされると、誰もが確信していた。
 叶うはずのない無謀な理想を抱えたリーン(分不相応な未来を想うバカな女)が、『現実』を前にして膝をつくしかない、と、誰もが認識していた。
 当たり前の不条理と現実が、崇高なだけの理想を食い散らかして終わる。
 誰もがそう思っていた、その時、




 ラムドが動いた。










「トーン共和国と、セア聖国と、ミルス王国と、セファイル王国」










 ゴート・ラムド・セノワールは、たんたんとした口調で、各国の首脳陣に向けて、




「これから、俺は、お前らの国を殺す。これは、正式な宣戦布告だ」







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