『経験値12000倍』のチートを持つ俺が、200億年修行した結果……

祝百万部

3話 魔王リーン・サクリファイス・ゾーン

 3話 魔王リーン・サクリファイス・ゾーン


 リーンが首をかしげたのを受けて、ラムドは、


「どいつもこいつも、薄情な」


 コミカルにムスっとした顔をしてみせる。
 もちろん、本気でムカついている訳ではない。
 ただの空気づくり。


「……ん? そこの者、何かいったか?」


 王らしい、ゆったりとした口調でそう問いかけてくる。
 見知らぬ者とはいえ、同族の魔人で、サリエリが連れてきたのは明白。
 もちろん、一国の王として、最低限の警戒心は抱いているが、そこまで不審者を見る目はしていない。


 そんなリーンに、


「私ですよ、陛下」


 ゴートは、少し軽めに、しかし、恭しさは残して、




「魔王国の宰相、陛下の右腕、世界一の召喚士、ラムド・セノワールでございます」




 一秒ほど頭をさげてから顔をあげて、リーンの目をジっと見る。
 ゴートの自己紹介を受けて、リーンは眉間にしわをよせて、


「……」


 黙ったまま、ゴートの顔をジっとみていた。


「なんですか、そのハンパないイケメンを見ているような顔は」


「そんな顔、しとらんわ!」


 緩くチョケたゴートに対し、リーンは、脊髄反射的に、軽く吠えてから、


「はぁ?! お前が?! ラムド?! なにをバカなことを! ラムドとは似ても似つか……ぃや……あ、でも、全然違うこともない、か……わずかに面影が……ぃや、しかし」


 見た目・雰囲気、何もかもが、明らかに違う。
 けれど、重なる部分が、なくもない。


「俺は間違いなくラムドですよ、陛下。いつだって、陛下を支えてきた、影の功労者。この世の誰よりも、この国を憂う者。愛国の徒」


 その発言を受けて、リーンは、また、反射的に、


「アホかぁ!  ラムドが国を憂いた事などない!」


 いつものラムドに対するように『がおぉ』と吠える。
 いつだって、リーンは、ラムドに対してイラだっている。
 圧倒的な優秀さを有していながら、その『素晴らしい能力』を、決して、国のためには尽力してくれないラムドにイラだっている。


 ――もちろん、ラムドは、国の役には立っている。
 というか、ぶっちゃけ、ラムドが、最もこの国に貢献している。


 それは事実なのだが、しかし、ラムドは、国事に対して1%ほどしか力を注いでいないというのも現実(それでいて、結果だけなら、誰よりも貢献しているという、とんでもない天才――それがラムド)。


 もし、ラムドが、本気で国のために動いてくれたら、とリーンはいつも思っている。
 ラムドが本気になれば、リーンが理想としている『完全な平和』を体現する事もできるのではないかと、リーンは常々思っている。


 つまり、結局のところ、リーンは、この世の誰よりも、ラムドを評価しているという事。
 実際、リーンほどラムドを信頼している者は他にいない。


 リーンは、どこかで、『ラムドならば不可能はない』と本気で思っている。
 この上なき最高評価。


 しかし、ゆえに、だからこそ、余計に、国のために本気になってくれないラムドにイラだつのだ。




「ラムドが、国の事を考えた事など一度もない! ラムドは、ただひたすら、召喚術を研究していただけだ!」


「まあ、それも事実ですなぁ」


「それしか事実ではない!」


「まあ、しかし、おかげで、こうして、最強クラスの召喚獣と契約する事ができましたよ。こい、スリーピース・カースソルジャー」




 ラムドの命令を受けて、禍々しいジオメトリから、『おなじみのあいつら』が這い上がってきた。
 呪われた鎧を纏った兵士。
 怪しくかがやく、死色に染まった魔剣。
 見間違いようのない威容。


 その禍々しいオーラを受けて、サリエリとリーンの二人は息をのんだ。




 まず、サリエリが、額に汗を浮かばせながら、


「……本当に凄まじい召喚獣。一体でも勇者と同等の力を持っているというのに、それを一度に三体も……」


 続いてリーンが、


「それほどの召喚獣を使役できる者が、他に何人もいる訳がない……面影もある……どうやら、本当に、ラムドのようだな」


「ようやく信じていただけたようで」


「しかし……何があった? その姿はいったい……」







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