『経験値12000倍』のチートを持つ俺が、200億年修行した結果……

祝百万部

1話 魔王国の宰相ラムド・セノワール

 1話 魔王国の宰相ラムド・セノワール










「おい……おい、ゴート!」


 UV1に声をかけられても、返事をせずにボーっとしているゴート。


「ゴート! おい!!」


 かなりの大声で呼ばれることで、ようやく、


「……え」


 半分しか開いていない目が、UV1をとらえる。


「なにをボーっとしている」










「ぇ……アレ? ……なんだ? あれ? 今、俺、誰かと話していましたっけ?」










「はぁ? 何を言っている?」




「……今、誰かと話していたような……あれ? ん?」


 記憶が曖昧だった。
 心の中にフィルターがかかっているみたい。
 ボンヤリとした頭は、まるで、寝起きみたい。
 夢を見ていた気がした。
 けど、時間が経つにつれて、どんな夢を見ていたのか思い出せなくなっていく。
 内容は加速度的に霞んでいって、いつしか完全に忘れてしまう。


「……ゴート、お前……大丈夫か? 目がラリったようになっているぞ」


「え? ……ぁ……」


 そこで、ゴートは、頭をふって、両目を両手でゴシゴシとして、




「すいません、なんか……変にボーっとしてしまったみたいで……」




「……まったく、いつまで、あの迷宮の幻覚を引きずっている」


「ぁ、いえ、そういう訳じゃ――」


 そうではない。
 確かに、フッキ・ゴーレムについて悩んでいたが、
 『理解』が出来た今となっては、真っ暗闇という訳ではない。


 フッキ・ゴーレムは確かに厄介な存在だが、解決策はある。
 エレガを殺せばいい。










 ――  あれ? なんで、俺は解決策を知っているんだ?  ――










「もうすぐ魔王城につく。猊下からミッションを受けているという事を忘れるな」


「……ぇ、ああ、はい」


 『なぜ、自分は解決策を理解しているのか』という、どうにも、かみ合わない疑問が頭に浮かんでいたが、
 次第に、


(それは大事じゃない)


 と、素直にそう想うようになり、気付けば、そんな意味のない疑問は、頭の中から消去していた。
 そう、そんな事は大事じゃない。
 その疑問は、ゴートにとって必要ではない。


「私は、これより、お前の影に潜む。常に、お前は私に監視されている。そのことも決して忘れるな、いいな」


 UV1のその発言を受けて、ゴートは、自分の脳に活を入れる。


(そうだ。これから、俺は、UV1の目をかいくぐりつつ、行動を起こさなければいけない。ボーっとしている場合じゃない)


 パンっと、両手で自分の頬を叩き、


「すいません。分かっています」


 気合いを入れ直したゴートを見て、満足げに頷くUV1。


「……今後、具体的にどうするかは任せるが、とりあえず、まずは、その姿になった事をリーンやサリエリに伝えておいた方がいいとは思うぞ」


「ですね。そうします」


「素直なのは良い事だ…………最後に一応、聞いておこう。本当に、大丈夫か?」




「はい。目が覚めてきました。大丈夫です。必ずゼノリカの役にたってみせます」


「……非常によろしい」


 満足げに頷きつつ、ゴートの影に忍ぶUV1。


 自分の影に沈んでいったUV1を尻目に、ゴートは、


(さっきの俺は、なぜ、あんな変にボーっとしていたんだ? ……まさか、飛びながら、無意識のうちに寝ていたのか? ……ずいぶんと器用な事をするな、俺)


 軽く不審に思いながらも、


(……まあ、それはいいや)


 『大事じゃない』と、素直にそう思う。
 『そう思わなければいけない』と、なぜだか思う。
 そして、その事に対しては、そもそも疑問すら沸かない。


(とりあえず、俺のやることは、俺の存在がバレないよう、ゼノリカから任された仕事を『ラムド・セノワールとして』こなしつつ、フーマーの使徒と接触し、有能さをアピールすることで天国に潜入して、エレガに近づき、暗殺すること……)


 自分のミッションを再確認する。
 なぜ、『最優先かつ絶対的にこなさなければいけないミッション』が『それである』と自覚・理解しているか、そこに疑問は抱かない。


 まるで存在理由。
 産まれてきた意味。


 ――ただ、やらねばならない――
 本能よりも一段階奥にある原始の情動。


(ゼノリカの目をかいくぐり、エレガを殺し、フッキをとめる。俺が、全てを守る。これは俺にしか出来ないこと……)


 ゴートは心の中で、再度、己の任務を反芻する。




 と、ちょうど、そのタイミングで、魔王城に辿り着いた。






 ――ゴートが、魔王城の庭に降りて、ウイングケルベロスを還していると、
 そこで、


「誰だ、貴様」


 背後から声をかけられた。
 ゴートが、振り返ってみると、そこには、黒い羽を生やしたバードマンがいた。
 常時マニッシュな雰囲気に包まれているカッコイイ系美人の堕天使。
 ダーク(色合い的に)で、クール(人間関係がちょっと苦手)で、
 ちょいと天然(単純に、ちょっと頭が弱い)な、魔王国のナンバースリー。
 女性でありながら、女性受けがハンパない宝塚系女性将官(責任感が強烈に強く、それゆえ『ちゃんとしなきゃ感』が前面に出すぎているだけで、実際は、男性的な面が強いという訳ではない)。


 サリエリ・エリアールが、怪訝な顔でゴートを睨んでいた。


「見た事ない顔だな……どこの魔人だ?」





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