『経験値12000倍』のチートを持つ俺が、200億年修行した結果……

祝百万部

60話 そして、最初の一歩を。

 60話 そして、最初の一歩を。




(UV1の話を聞く限り、一番上にいる三柱の神々の力は、バロールより遥かに強いらしいが、それでも、おそらくは倍くらい……今の俺ならバロールくらい、瞬殺できるという事を考えれば……正直、たいした力じゃない。レベル1000か、高くても2000くらいだろう……ゼノリカの援護には……期待ができない……)


 ゴートは強くなり過ぎた。
 あまりにも強くなり過ぎて、『誰にも頼れない』という状況に陥ってしまった。


 表では確実にぶっちぎりの最強。
 ありえない領域の極端な強さ。
 しかし、世界の奥底には、『その程度ならば鼻で笑える次元違いの化け物』がいる。


(俺は、すでに、ゼノリカ全てよりも強くなった。世界を裏で牛耳っている『強大な力を持つ組織の全て』よりも……)


 その事に喜びはなかった。
 どころか、心底から悲しくなった。
 あえて言うならば、『親を失った子供』の気持ち。
 頼るべき支柱がない。
 100%、自分だけで自分を支えなければいけない。
 自分一人ではどうにもならない問題が起きたとしても、
 すべて、自分一人でどうにかしなければいけない。


(真っ暗な部屋にいるみたいだ……)


 泣きそうな顔で冷や汗を流す。


 ゴートは異常なほど強くなった。
 完全なチーター。
 常識外のインフレした力、


 だが、あのゴーレムの前ではカス。


(もし、あれが地上で暴れたら……俺が、独りで……闘うしかない……)


 実際、ゼノリカの全てが出動しても、あのゴーレムの前では、まとめて踏み潰されるアリの群れでしかない。
 強さの次元が違いすぎる。


 アレの相手になる可能性があるとしたら、ゴートしかいない。
 またアレの相手をするなど心底イヤだが、実際、自分しかいないというのが現実。




(もちろん、あのゴーレムは、あそこから動けないという可能性もある。俺の、この不安は、ただの妄想で終わる可能性もゼロじゃない。実際、世界は終わっていないんだから。……だが、そんなもん、現状では『だったらいいな』という希望的観測にすぎない。……あいつは実在する。世界を一瞬で破壊できるほどのバケモノが間違いなく存在するんだ。そして、あれが暴れたら、対処する方法がない。それが世界の現実……)




 深い絶望の中で、




(それに、『あいつ一体だけじゃない』って可能性もある……ヘルズやイフリートみたいに、あとから次々にゾロゾロ出てくるタイプって可能性もゼロじゃない。その可能性は低いかもしれないが……いや、現状だと、その可能性が低いのか高いのかすら分からない……)




 果てなき恐怖の中で、
 しかし思う。




(守りたい……失いたくない……もう二度と、あんな地獄はイヤだ……)




 本音。
 地獄を知っているがゆえに、地獄を拒絶する気持ちは強くなる。




(この世界は、前のクソ世界と違い、ゼノリカという『高次の道標』を有している稀有な世界……前の世界にいる時は、『絶対に叶わない妄想でしかない』と諦めていた『本物の理想郷』になれるかもしれない世界なんだ。……あんな『ただ力がインフレしただけのクソゴーレム』なんかに壊させたくない……)


 強く、強く思う。


(確かに、今の俺ではどうにも出来ない……だが、そこで終わらせたくない……どうにかしたい。守りたい……もう二度と、あんな……)


 だから、ゴートは、


(情報だ。情報がいる。世界が広いってことはよく分かった。あとは詳細。どの程度広いのか。そして、その広さに対抗するための力を得るための情報)


 グツグツとわきだす。
 ドクンと熱くなる。


(守れないかもしれない。俺じゃあ無理かもしれない。だって、俺はヒーローじゃないから)


 恐怖心は消えていない。
 しかし、いつまでも『恐い、恐い』とは言っていられない事情がある。
 頼りになる『誰か』や『何か』があるなら、ゴートもフトンをかぶって現実から目をそらし続けていたかもしれないが、アレと闘ってどうにかなりそうな存在は、今のところ自分しかいない。


 この実情が、ゴートをつき動かす。
 ゴートの中のセンエースがさわぎだす。


(それでも……)


 ――そうやって、


(叫び続ける勇気を――)


 ――ゴートも、本物の経験を積んでいく。
 糞以下のプライドを振りかざすだけでも、
 アホみたいに痛々しくイキる訳でもない。


 確かな『最初の一歩』を踏み出す。





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