『経験値12000倍』のチートを持つ俺が、200億年修行した結果……

祝百万部

56話 死に戻り?

 56話 死に戻り?




 ダンジョン内で会得した『凶悪な力』に変わりはなかった。
 今のゴートは神のように強い。
 というか、きっと神よりも強い。
 何もかもを超越した、異常な強さを有している――はずで、けれど、という事は、


(幻覚なんかじゃない。全ては確かにあった事……ならば、なぜ俺は、今、当り前のように生きている? 俺は、あの訳の分からないゴーレムに殺された……ハッキリと覚えている……俺は死んだ……なのに、なぜ……まさか、かの有名な『死に戻り』の能力でも発現したのか? 上位互換の、能力を維持したままの死に戻り? で、その能力が、俺だけじゃなくUV1にも同時に発現していて、一緒に死に戻った? いやいや、なんだ、それ……そんなアホな話……)


 ゴートが悩んでいる間、UV1は、


「……さて」


 状態異常を予防するアイテムや魔法を展開し、


「これで、事前に打てる『あらかたの幻覚対策』はほどこした訳だけれど……」


 そう言ってから、ゴートと目をあわせ、


「どうする? ここの探索をはじめる?」


 言われても、とうぜん、返事に困るゴート。
 まだ、なんのこっちゃ分かっていないのだ。
 あのゴーレムの事、
 自分に起こった事。
 何一つキチンとは分かっていない。
 こんな状態で前に進める訳がない。
 そこまで猪突猛進のバカ野郎ではないのだ。


 急激に強くなったことで、だいぶイキっていたが、
 その手の浮ついた感情は命と共に吹っ飛ばされた。




「ぇ……ぇと……ぁの……ぁぁ……ぇと……」


 ただただ困惑してフグフグ戸惑っていると、UV1が、


「ちなみに、私の率直な意見だけど、ここで修練をするのはやめておいた方がいい」


 至極冷静そうにそう言った。
 UV1もUV1で、実は、あの『ゴーレムに殺害されたという記憶』により、精神が揺らぐほどの恐怖を感じていたりもするのだが、目の前で、自分よりも酷く怯えているゴートがいるので少し冷静になれた(今となっては、複数のヘルズやイフリートやゴーレム等の諸々が全て幻覚だと確実に信じられる。だが、虚構だったからと言ってすぐに恐怖がゼロになる訳じゃない)。


 ※ ちなみに、成長チートを持っていない彼女は、王級モンスターを何体か倒したからと言ってレベルがホイホイ上がったりしない。
 もちろん、少なくない経験値を稼いではいるが、実は、そのほとんどが、絶死のアリア・ギアスを使ったペナルティ分としてコスモゾーンに回収されている。
 あの時のゴートでは、UV1の存在値が下がらないようにナノ・スピリットと交渉するまでが限界で、細かいペナルティの対処までは出来なかった。
 もちろん、ゴートのおかげで、本来払うはずだったデスペナルティ分よりもかなり安く抑えられているのだが。






 ――UV1が冷静でいられた理由は、『自分よりも震えているゴートが目の前にいる』という以外にも当然ある。
 それは、根本の認識。
 自分が実質的には上司(ここでは対等という事になっているものの)であるという意識や、己がゼノリカに属する超人であるという自覚。
 いつだって、UV1の誇りは、UV1という女を実像よりも遥かに強くさせる。


「このダンジョンは、どうやら妙に罠の精度が高い。罠だけ妙にハイレベルなダンジョンなんて珍しくはない。……まあ、ここほど尖っているダンジョンはそうそうないのだけれど。なんであれ、そういうダンジョンは修練に向いているとは言えない。『この世界にあるダンジョンはここだけ』という訳ではないのだから、あえてここを選択する理由はないはず。……今の私は、あなたに命令できないから、どうしろこうしろとは言えないけれど……正直、ここはやめておいた方がいい」


「……ぁ……ぁの……そ、それはそうで……というか、そんな話以前というか……えとえと……ぁの……」




 まったく現状の理解が出来切れておらず、髪をグシャグシャしているゴート。
 なんだか、かるく、お腹が痛い。
 ズンとした頭痛もしている。
 吐き気と呑酸も。


 ダメージ等はない。
 なぜか、体力もMPも全快している。
 つまり、この症状は、精神的なアレ。


 医者ではないので、ハッキリとした病名等は分からないが、今は、『有機的な決断を下せるような状態じゃない』という事だけははっきりと分かった。


 ヘシ折れた心。
 震える体。




 いろいろと砕け散ったゴートの明日はどっちだ?!









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