センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

33話 ラスボス・プロジェクト(センエース補完計画)、第二フェーズ最終段階。

 33話 ラスボス・プロジェクト(センエース補完計画)、第二フェーズ最終段階。




 滅私。
 UV1を通して見たゼノリカという全世界の希望。
 それが、今のゴートを突き動かしている全て。


 ――人類の倫理的完成。
 ……ゴートが望むそれは、ある種、偏っているとも言える観念。
 本気な分、性質たちが悪くなることもある、少々、危険な劇薬成分も孕んだ思想。
 毒になるか薬になるか、使用方法次第。


(偶像ではない、本物の神帝陛下となって、全ての神々を導き……究極の世界を創造する。全ての者が、ただ、幸福に、個々の『善なる理想』を追い求めるユートピアの建築)


 蝉原によって歪んだ地獄の対極。
 命の解、その完成を求める意志。


 なんの力もないのに、ソレを成そうとすれば、どれだけの強い意志を持ってはじめたとしても、かつて第一アルファを混乱させた歴史的大失態のニノテツを踏むだけ。
 なんの下準備も覚悟もなくソレを成そうとすれば、ただただ歪んで腐るだけ。




 だが、今のゴートには、力も覚悟も下地もある。
 ならば――




(これから俺は、ゼノリカの意思に従いながら、自分が成すべきだと思うことをこなしていく。これは、間違いなくゼノリカの――ひいては、世界のためになる)


 盲目的とも言える速度で確信するゴート。
 『モラトリアムの折り返し地点』で第一アルファから離れる事ができた究極超神センエースと違い、第一アルファで大人になり、じゃっかん凝り固まった思想を持つようになったゴート(センエース)は、続けて、こんなことを思う。


(だが、俺がやろうとしている事は、まぎれもなく改革・革命。腐っているかどうかは関係なく、組織の上層部というものは、その手の変化を嫌う。それが良いか悪いかの判断はいったん保留にして、変化に対する恐怖から、とりあえずで俺の邪魔してくるのは明白。その面倒を阻止したい)


 さきほどの闘いで、ゴートは『UV1の想い』を間違いなく理解した。
 ニュータイプでなくとも、他者の気持ちが理解できる瞬間はある。


(UV1は、神帝陛下が『実在した』と信じている訳ではない。だが、信じたがっている。だからこそ、『いたのかもしれない』なんて発言が飛び出す。……大事なのはそこだ。神帝陛下なんて、どこまでいっても、ただの偶像)


 神帝陛下センエースに関して、UV1の話を聞いた時、
 ゴートは素直に『ありえない』と思った。
 そんなアホがいる訳ないだろうと思った。




 『んなヒーローが現実にいてたまるか、人間の弱さをナメんな』とすら思った。




(だが、UV1は、『神帝陛下の意思』という『ベクトルそのもの』には傾倒している。どんな絶望を前にしても、世界のために、命をかけて闘う英雄。全ての生命の希望。全てを包み込む光)


 本物が実在するかどうかなんてどうでもいいんだ。
 最上位の連中にとっては重要な事だが、
 中層より下にいる多くの者達にとっては、
 神帝陛下が実在しようがしまいが、どうでもいい事。
 大事な事はそうじゃない。
 そうじゃないんだよ。


(どんな絶望を前にしても勇気を叫べるヒーロー。そうなりたいと、そうありたいと――そう思う人の数が、全ての理不尽を殺す光となり、合理的に完成した世界を創る。すなわち、世界の道標たる、大いなる希望そのもの。それが神帝陛下なんだ)




 ゴートの未来は決まった。
 最初から目指していた道が強固に舗装される。




(神帝陛下センエース。俺は……それになる。そして、世界のために尽くす)










 そして、ラスボスプロジェクト・第二フェーズは最終段階に至る。


 センエースでありながら、どこかセンエースらしからぬ思想を持つ者。
 第一アルファで歳を重ねた結果、色々な部分が歪んで育った究極の可能性が、
 究極のチートという、とんでもないバランスブレイカーで無双しながら、


 ――順調に、ラスボスへと堕ちていく。


 世界の明日はどっちだ?!







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