『経験値12000倍』のチートを持つ俺が、200億年修行した結果……

祝百万部

27話 弱いという罪。

 27話 『弱い』という罪。






 すぐに、ゴートは理解した。
 『やる』つもりだと即座に理解。


「やめっ――」


 反射的に止めようとしたゴート。
 だが、遅い。
 それに、止めても無意味。


 UV1の覚悟は、
 既に固まっている。


 ――コスモゾーンに命じる。




「――私を解放しろ」










 ――絶死のアリア・ギアス発動――










 極限の覚悟が、UV1を解き放つ。
 最後に、本当に最後だから、ほんの少しだけ、自由になる。


 ――これだけの覚悟を決められたのは、UV1が特別だから?
 ――違う。


 自分でも言っていたように、
 ゼノリカに属する者ならば、
 誰だって、同じことをする。


 長強だろうとアンドロメダだろうと、百済の100位だろうと。
 みな、例外なく、
 『自分はヒーローじゃない』と理解した上で、
 『それでも』と、勇気を叫ぶことができる。


 それがゼノリカ。
 この上なく尊い『神帝陛下センエース』の意思を継いだ者達。
 『全てを包み込む光』に、本気でなろうとした組織。










 ――グワァアっと燃え上がる、UV1のコアオーラ。
 真っ赤なオーラに包まれるUV1。




 そして、叫ぶ。




「ヒーロー見参!」




 地を蹴り飛ばして飛びだすUV1。
 膨大なオーラをこめた短刀を片手に暴れ猛るUV1に、


 7体のイフリートは、




「「「「「「「悪くない辞世の句だった。
         良し悪しを解する機能は備わっていないがね」」」」」」」




 高度な皮肉を口にしながら、華麗に応戦する。
 1体でも厄介な最高位精霊種7体。
 魂魄にプログラミングされているのか、
 いつも群生で動いている訳でもないくせに、
 見事な連携でUV1を追い詰めている。


 今のUV1は、恐ろしく強い。
 絶死のアリア・ギアスによって、存在値は跳ねあがっている。
 とはいえ、500には届いていない。
 絶死のアリア・ギアスは強大な力を与えてくれるが、
 とうぜん、『使えばだれでも神になれる』という訳ではない。


 アダムのように、内包しているコアオーラが『次元違い・ケタ違いに別格』ならば、自由になる事で、究極超神に抗える力をも得られるが、UV1はそうじゃない。


 その潜在能力は突然変異級――つまり、凄まじく高い、が、
 『ココ(常識の範囲内)』までが限界。




 ※ 仮に、存在値10の人間が、絶死のアリア・ギアスを使えば、
   存在値15~20近くまで上がる。
   第一アルファ人なら、潜在能力がケタ違いに高いので、
   存在値100近くまで上昇する事も全然ありえる。










「――くっ、そぉおおお!」


 UV1は、どうにか、ゴートに『道』を残そうと、必死に戦っているが、
 イフリートたちがけんに徹しているため、一匹を殺す事さえできずにいる。




 ダンジョン・モンスターに高次のイデアはないが、イフリートほどINT値(AI)が高ければ、『現状の最善手』を見極めるくらいできる。


 それに、この現状を処理するのに、難しいアルゴリズムは必要ない。


 ↓相手は『絶死のアリア・ギアス』を使っている。
 ↓タイムリミットは一分。
 ・つまり、60秒逃げ切れば勝利。
 ・対象から距離を取りつつ、可能ならば足止めのスキルを使いましょう。


 素人でも簡単に組めるプログラム。


 感情なく最適手を貫くイフリートたちに、
 だから、結果、何も出来ていないUV1。


「なにも! できないのか! くそぉおお!」


 自然と流れる涙。
 必死に抗いながら、UV1は、悔し涙を流し、それでも、折れずに抗った。


 最後の意地を背負って、どうにか、
 ゴートに道を、『生存の可能性』を残そうとする。




 せめて、
 最後まで、
 ゼノリカのために!




 ゴートは、UV1の想いを正しく受け取る。
 ――『言葉にしてもらった訳ではない』――だが、UV1の背中を見れば分かる。
 『自分を生かそう』と必死になって抗っているUV1の背中。
 だから、ゴートは、


(情けねぇ……)


 ギリギリと奥歯をかみしめ、


(弱い、弱い、弱い……)


 気付けば、ゴートも涙を流していた。




(なんて弱いんだ……俺……)




 その罪の重さと意味を知る。
 気血が逆流するほどの大罪。


 あまりのみっともなさに、ヘシ折れそうな奥歯。


 イフリート7体は、今のゴートに何か出来る相手じゃない。
 ゴートに、この状況をどうにかする力はない。
 UV1を救う手段はない。




 『洗脳していいぞ』『もういいから殺せ』――そう嘆くだけだった今までとは違い、今、ゴートの心には、確かな熱がともっている。
 だが、手段がない。
 ゴートは弱い。


(俺に道を残そうと、命をかけて闘っている女が目の前にいるってのに……何もできないのか!)


 血走った目。
 自分に対するイラつき。


 感情ばかりが膨れ上がって、
 けれど、何もできない。


 焦燥感と虚無感が混ざり合って、
 ゴートの心をギザギザにしていく。


 意識がわずかに傾くだけでも、ザクリと刺さって魂の血が溢れる。




「なにか! くそ! なんでもいい! この状況を打開できる何か! 思いつけ!」




 ゴートは、バッキバキに血走った目で、よだれをたらし、頭をかきむしりながら、


「せめて! UV1だけでも助けられる何か! なんでもいい! 俺も絶死のアリア・ギアスを――無意味! 今の俺じゃあ、存在値100前後になるくらい。この状況をどうにかする事はできない! つまり、ただの自殺! ――なにか! なにか! 考えろぉ! 思いつけ! 届け! たのむ!!」







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