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16話 ネオヘルズ覇鬼

 16話 ネオヘルズ覇鬼。




 UV1を蹴り飛ばしたのは、ヘルズ覇鬼よりも一つ上の種族、ネオヘルズ覇鬼。
 個体値最低でも存在値250。
 天才型になると300を超える事もあるキラSSR的な超王級モンスター。
 それは、すなわち、UV1でも、対処するのが難しいレベル。


 このネオヘルズ覇鬼の存在値は270。
 天才型ではない。
 弱くもない。
 ネオ・ヘルズ覇鬼の通常個体。


 つまり、UV1の方がかなり強い――が、六体のヘルズ覇鬼も一緒に相手をするとなると、勝算はゼロになる。


 ネオヘルズ覇鬼は、




「まだ、死んでいないのか……おそろしく強い……」




 ボソっと、流暢にそうつぶやいて距離を取った。
 超王級クラスのモンスターになると、進化前でも普通に喋れる者はいる。


 特に鬼種は、下級でも喋れる者が多い、INT値が龍種・精霊種なみに高い上位種族。
 ネオヘルズ覇鬼ともなれば、言語能力は、ほとんど進化種と変わらない。


 ただ、所詮はモンスター。
 本物の知性はない。
 あるのは、侵入者を迎撃しようとする本能のみ。


 ネオヘルズ覇鬼に搭載されているプログラムも、他のダンジョンモンスターと同じ、


 ――何がなんでも、侵入者を殺す――


 パソコンにインストールされたウイルスバスターのように、感情なく、ただひたすらに、ある種盲目に、理屈ではなく本能だけで、ウイルス(侵入者)を駆除しようとする。




「本当に恐ろしい女だ。オレよりも強いヤツがいるとは……しかし、総合戦力としてはこちらの方が上……確実に殺せる。侵入者は殺す」




 言いながら、ネオは、他のヘルズたちに指示を出す。
 UV1を囲むように陣形を整える、合計7体の鬼ども。
 ゴートのことは無視。


 いつでも潰せるゴミはあとまわし。
 とにかく、まずは、UV1という脅威をどうにかしようと行動している。


 ・まずは脅威の排除から。
 ・ゴミの掃除は後回し。
 ――つまりは、ただの安っぽいアルゴリズム。




「我らの支配するエリアに土足で踏み込んできたんだ……殺されても文句は言うなよ」




 UV1に、そんな事を言っているネオに、




 ――最前線から少し離れた場所にいるゴートが、




「わ、ワナで飛ばされただけだ! お前のエリアを犯そうとした訳じゃない! だから――」


 その発言を聞いたネオは、


「だからなんだ? 助けろとでも? そもそも、この迷宮に足を踏み入れなければワナが発動することもなかっただろう」


「……」


「お前らは、ここに、我々を殺しにきたか、あるいは宝を漁りにきた。だというのに、不本意なワナにかかったからといって見逃せと? バカか」


「ぉ……おっしゃるとおりだぜぇ……」


「仮に、オレがお前らを逃がそうと思ったとしても、そもそも、ここから逃げる方法などない。我々が全滅しない限り、脱出のためのルートは現れない。ここはそういうフロアだ」


「ああ……そう。じゃあ、闘うしかないわなぁ」


 言いながら、ゴートは、


「ワンダーナイト、召喚」




 現在の自身に召喚できる最強のモンスターを再召喚して、
 ゴートは、みずから戦線に復帰する。




 ネオは、ワンダーナイトをチラ見して、フンと鼻で笑い、


「酷いな。その程度のザコしか召喚できないのか。貴様は相手にする価値がない。あの女を殺した後で掃除してやるから、大人しくしていろ」


 ワンダーナイトは、この世界の表層だと、かなり強い部類。
 間違いなく優れた召喚獣。
 召喚獣というカテゴリー上では世界最高峰と言ってもいい。
 ゴートが誇る、準エースモンスター。


 しかし、


「まあ、確かに、お前が相手だと、ワンダーナイトじゃ、随分とこころもとない」


 この戦場では、あまりにも役者が不足している。
 そんな事は、ゴートでも理解できている。
 ゴートは……センエースは賢くないが、バカじゃない。




「……けど、大人しくしているってのは無理な相談だ」




 理由は至極単純。
 まるで、異世界モノで稀によく見るチョロインみたいだが、
 しかし結局のところ、やっぱり左記が事実、


 『ゴートが、今、ネオヘルズ覇鬼を相手に全力で立ち向かっている最大の理由』は、
 ――UV1が、命がけで、命を守ってくれたから。









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