『経験値12000倍』のチートを持つ俺が、200億年修行した結果……

祝百万部

12話 濃くなっていく絶望。

 12話 濃くなっていく絶望。




 UV1の『個人的な視点』で言えば、ラムドが死のうがどうしようがどうでもいい。
 しかし、ラムドは、今のゼノリカにとって必要なコマ。
 偉大なる神族が一人『ブナッティ・バロール』から与えられたミッションを達成するために必要な道具。


 つまり、壊される訳にはいかない。
 UV1には、ラムドを守る『明確で絶対的な理由』がある。


 その前提を満たす一手の構築。




 などと、現状を整理していたUV1の視界に飛び込んでくる、さらなる異常事態。
 ゴートとUV1を囲むように、三つのジオメトリが出現した。


「っっ?! うそでしょ?!」


 UV1は青ざめる。
 脳にビリビリと電気が走る。


 おかわりのヘルズ覇鬼3体が、ジオメトリからヌヌヌッと飛び出してきた。


 ――と同時に、整ったフォーメーションでもって、ゴートとUV1に襲いかかってきたのだった。
 躊躇も容赦もない速攻。


 1体は、居合切りの間合いをつめながら、
 残りの5体はそのサポート。


 狙っている一撃必殺。
 明白。
 ゴリ押し。
 ゆえに、対処が限られる。


「くぅ!!」


 UV1は、迷わずに、ゴートの救出を優先した。
 自らの体を盾にして、ゴートを守る!


 護りたくはない。
 ゴートの命などどうでもいい。
 実際。


 しかし、ラムド・セノワールは、ゼノリカの目的を達成するための大事な道具。
 つまりは、彼女が命をかけて守らなければいけない『誇り』。
 そして、それが、彼女にとっての全て。


 だから、必死になって守る。
 至極当たり前の話。


 そして、ゆえに、その結果、










「がぁああああ!」










 ゴートをかばったUV1は、背中にクリティカルのダメージを受けた。


 ザクリと、大胆な袈裟切けさぎり。
 ゴフっと、UV1が吐いた吐血で、ドロリと赤く濡れるゴート。


「ぁ……ぁ……」


 ゴートの頭が真っ白になった。
 思考停止。
 視点が揺らぐ。


 ――UV1は異常な力を持つ超人。
 UV1は、神のように強い。
 その事実は、ゴートの身にしみている。
 身を持って知ったUV1の異常な戦闘力。


 ゴートの視点では、ブルー○イズ・アルティメットドラゴン的な強さを持つカースソルジャーを、ササっと瞬殺できる次世代の神。


(ゆ……UV1が……これほどの超人が……こんな……)


 彼は、第一アルファでは、異世界関係の仕事についていた。
 つまり、ただの第一アルファ人よりも、こういった異世界的な状況には慣れている。




 だが、それゆえに、UV1の強さが、そこらの第一アルファ人よりも正確に理解できていた。


 UV1は、間違いなく神のように強い――のに、


 そのUV1が、血を吐いて死にかけている――
 その、本来ならばありえない現実が、ゴートの頭を白くさせた。


「なん……で……こんな……」


 『何が起きた?』という問いに、数秒を費やしながら、しかし、まだ理解しきれていないゴートに、
 UV1が、ギンとした睨みでヘルズ覇鬼たちを牽制しつつ、激痛をこらえながら叫ぶ。


「出口を! さがしなさい! 全力で! 振り返らずに、死ぬ気で!」


「ぇ……ぁ、ぃや、でも――」


 オロオロしているゴートを背中に感じて、普通にイラっとするUV1。
 ゴートを慮っている余裕はない。
 余裕があったとしても、彼を慮ったりしない。
 ――というわけで、


「シャンとしろぉ! 行けぇ! はやく! 私があいつらを抑えているうちにぃい!」


 UV1は、戦線から離すように、強引な回し蹴りをゴートの腹に叩きこんで、後方に吹っ飛ばす。


 その勢いのまま、オーラで背中の傷を止血しつつ、
 近くにいるヘルズ覇鬼に、腰元から抜いた短刀をぶっ刺した。


 限界まで無駄をそぎ落とした、システィマティックな一連。


 噴き出すヘルズ覇鬼の鮮血。
 間違いなく、大きなダメージは通った。
 しかし、ヘルズ覇鬼は怯まない。


 感情なく、




「侵入者、殺ス」




 ただくりかえす。
 絶望は終わらない。







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