『経験値12000倍』のチートを持つ俺が、200億年修行した結果……

祝百万部

3話 最後の対話

 3話




『何が理想郷だ……今の、この世界は、ただの地獄だ』


『そうさ。ここは、地獄という名の理想郷。みんな、俺にいなくなって欲しいと思っている。俺の力で甘い汁を吸っている連中ですら、本心では俺に恐怖を抱いている。本当は俺を殺してやりたいと思っている』


『そりゃそうだろう』


『それほど恐れていながら、嫌っていながら、でも絶対に逆らえはしない。――どれほどの残虐な悪魔であろうと、底を知らない欲深な鬼畜だろうと、恐れを知らない感情が死んでいる闇人形でさえ、俺の事だけは心底から恐れる。俺を前にすれば、誰も彼もが、例外なく、神に祈るだけの矮小な羽虫になりさがる。これぞ、俺が理想としていた世界。一切の妥協がない、蝉原勇吾という、この世で最も罪深き【恐怖の象徴】に支配された世界』


『……』


『これから先も、俺は、この世界を、生かさず殺さず、ジックリと壊していく。誰一人、幸福になんかしてやらない。世界は、俺という恐怖に溺れていく。素敵な話だと思わないか?』


『………………蝉原……二つ、聞いていいか?』


『ん? 二つも? おいおい、センくん。君ってば、随分なよくばりさんなんだね。んー、でも、まあいいよ。では、一つめをどうぞ』


『直接触れなくても操れるという事を……どうして隠していた? 操れる人間の数も、本当は無限なのに、なぜ一万人限定だと嘘をついた……右目を潰せば洗脳を解く事ができるという嘘を……なぜ……』










 // 実際は、右目を潰せば正気に戻るように設定していただけで、蝉原の洗脳を完全に解く方法などはなかった //










『なぜ、お前は、その能力に限界があるようなフリをした』


『だって、この能力が完璧だって事が知られたら、抵抗する気がなくなるじゃん。でも、デ○ノートばりに弱点があれば、どうにかしてやろうって思うだろ? 実際、君たちは必死になって俺に抗った。おもしろかったよ。無駄なのに、必死になって、色々と対策方法を考えて。くくっ』


『……』


『あ、ちなみに、この能力にも、実は、本当に、一つだけ弱点があるんだよ。なんと、びっくり、強い心を持っている者には通じないんだ』


『……ウソくさすぎる……ということは、まさか……事実か?』


『あははっ、流石、俺をよく分かってらっしゃる。――そう。事実だよ。実は、俺、君の事をずっと操ろうとしていたんだ。でも、一度も出来なかった』


『……』


『一万人に一人くらいの割合で、操れないくらい心の強いヤツがいた。けど、どいつもこいつも、ちょっと追い込んでやったら、すぐに操る事ができた。心の強さって絶対のものじゃなくて、【力を入れている時の腹筋】みたいなもので、くすぐってやれば、簡単に緩むんだ。でも、君は最後まで操れなかった』


『……』


『今のところ、この世で君だけだよ。何をしても操れなかったやつは』


『……』


『ぶっちゃけちゃえば、君達とのゲームは、どのくらいで君のことを操れるようになるかっていう検証だったんだよ。けど、君は最後の最後まで操る事ができなかった。今もだ。つまり、君は、この期に及んで、まだ諦めていないってことなんだろう。すごいね、尊敬するよ』


『……』


『俺は、生まれてこの方、誰かを尊敬した事はない。けど、君の事は本気で尊敬する。そんなヤツと幼馴染(同じ中学)でちょっとした因縁もあるっていうのは、なんだか、冗談じゃなく、本当に運命というものを感じてしまうよ』


『……』


『センくん、二つ目の質問の前に一ついいかな。君がお巡りさんになろうと思ったのは、俺が原因じゃないかと予測しているんだけど、そのへんどうかな?』


『……ああ、お前が理由だ。お前に対抗できる立場になって、お前が何かヘマをしたら捕まえてやろうと思った。……あの時、お前は、そのぐらい俺を怒らせた。もし、あの経験がなかったら、たぶん、俺は、経済学部に入り、外資系の企業にでも就職して、投資銀行家かコンサルタントをやっていただろう。警察よりも、そっちの方が俺にはあっている』





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