『経験値12000倍』のチートを持つ俺が、200億年修行した結果……

祝百万部

30話 人間関係

 30話




「とぼけてもむだよ。私は召喚に詳しいわけではないけれど、さっきのザマを見ればわかるわ。お前には、どうやら、本当にラムドの記憶があるようだけれど、力まで同じという訳ではない――というより、大幅に失っている。お前は劣化した。そうでしょう?」


 言葉一つ一つが強くなる。
 反抗されたと勘違いしたから?
 もちろん、それも大きな理由の一つ。
 だが、それ以外にも、現地限定とはいえ、ラムドごときと同等扱いされたことが、ささくれ立った大きな要因。




 UV1は、ゼノリカの天下に属する超人。
 病的なほど、不条理を憎み合理を叫ぶ獣。
 しかし、とうぜん、完璧な存在ではない。




 理由や要因が重なれば、法則に従った因果が成立する。




 ゴートからすれば、意味が分からない謎のイチャモン。
 当然、イラっとくるわけで、しかし、まだ、


「俺は、神でも十億年に一度しか召喚出来ない究極の神霊を召喚したのですが?」


 丁寧に答える。
 『圧倒的強者であるUV1との敵対は避けたいという計算』がゴートの冷静さを維持してくれる。
 だが、確実にイラっとはしている。
 『ん? なんだ? なんか、俺に対するあたりが妙に強くない?』
 だが、爆発するほどではない。
 情動にはなりきらない。
 まだ、『なんだろう?』くらい。


「……まさか、あのウソつき小精霊の言葉を信じている訳じゃないわよね? なに、お前、そこまでバカなの?」


 また、強い言葉。
 UV1は、今回、口調にも、態度にも、ハッキリと、イラつきを乗せてきた。


 敏感でなくとも感じ取れる敵対感情。


 敵対というほどではないのかもしれないが、
 ゴートがそう捉えたとしても文句は言えない程度の熱が確かにあった。


 だが、まだ、ゴートは、


「ウソかどうかはまだ分からないと思いますが」


 部下としての態度をとる。
 だが、目に少し力が入る。
 『さっきから、なんなんだ?』
 それを眼球に滲ませる。


 軽い反発――だが、UV1は、敏感に感じ取る。
 かるく反抗的な態度。
 口答え。


 条件が整っていく。
 二人の間の空気がピリつく。


「……これは命令。数日以内に、召喚能力を取り戻しなさい。できなければ、出来ないでもいいから、その事実を、きちんと報告しなさい」


 UV1は、少しだけ冷静になって、合理的に処理をしようとした。
 ハッキリとピリついてしまった事で、逆に、頭の一部が冷える。
 だが、合理という正義を得たUV1の声は、むしろ、


「私からバロール猊下に、ラムドは劣化したと報告する」


 ゴートの耳に、だからこそ、余計に強くはじけて聞こえる。


「お前の劣化自体は、ゼノリカにとって、さほど問題というほどではない。それならそうで計画を練り直すだけの話。問題は、それをごまかす事――」










(人の話を聞かない女だな……)










 ついに、ハッキリとイラっとするゴート。
 現時点では、別に、そこまで燃えるほどイラついている訳ではないが、


(なんだ? もしかして、バロールから『現地では同等』って言われたのが気に入らなくて、俺に、そのストレスをぶつけているのか?)




 予感がした。
 これまでの人生経験から、これは、厄介なケンカに発展するかもしれないと、ゴートは『イヤな予感』にさいなまれる。


 ゴートのプライドの高さと、UV1の態度。
 実際のところ、このトラブルを回避する事はそう難しくない。
 最終的には、ゴートが流せば済む。
 そんな事はゴートも分かっている。


 だが、人間関係はそう簡単じゃない。




「聞いているの?」


「はいはい、聞いていますよ」


 ゴートは、自分を抑えようとした。
 その結果、少しだけ声の質が硬く強くなった。


 ゴートが男で、UV1が女だった。
 それも理由の一つ。


 その関係性が、ポジティブでも、ネガティブでも、あるいはフラットでも、
 なぜだかどうしても、万事穏やかにはすまないのが、男女の人間関係。


 男と、女で、こじれるのは、いつだって些細な事――


「イラつく態度ね……」


 UV1の眉間にシワが入った。


 空気が壊れる音が確かに聞こえた。







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