センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

29話 レベルを上げにいこう!

 29話




 ゴートは、ラムドの記憶を漁り、経験値稼ぎが出来そうな所はないかと探った。
 すると、すぐにちょうどいいのが見つかった。


(……パラソルモンの地下迷宮か……南大陸の北東にある、存在値20~30のモンスターがウヨウヨしている迷宮……この魔王国からだと、ウイングケルベロスをつかって、15分くらいってところ……うん、なにもかもがちょうどいい)


 速断。
 ゴートは、すぐさま準備を終えると、自室の奥にある通路から外に出る。
 そして、ウイングケルベロスを召喚し、背中に装着すると、
 そのままフワっと舞い上がり、北東に向かって飛び立った。


 翼が身を運ぶ。
 その風の中で、


「おぉぉ! 空、飛んでいるよ、俺……はははっ、すげぇ、すげぇ」


 あらためて、ゴートは、


「俺……異世界転生したんだな……くくっ……あははははは!!」




 歓喜に震えながら飛行していると、後ろから、




「ちょっと、どこに行くつもり」


 背後から、レーザーファルコンを背負ったUV1がついてきていた。


 ※ レーザーファルコンは、種族ランクで言えば、ウイングケルベロスよりも上の飛行ユニット。
 仮に、ウイケロをマリカーのマ○オだとしたら、レーザーファルコンはキ○ピオ。
 ちなみに、レーザーファルコンと同ランクに、ドラゴンホークという種もある。
 さしずめ、そっちは、ク○パといったところ。










 ――『どこに行くつもりなのか』というUV1の問いに、ゴートは、


「近所の迷宮に行って、ちょっとレベル上げするつもりですよ、UV1様。ご存じだとは思いますが、一応言っておきますと、先ほどの事故で、レベルが若干さがってしまったのでね」


「事故……ねぇ」


 何か言いたげにそう呟いたUV1を無視して、


「あとは、召喚とか魔法とかの実験もしたいんですよねぇ。今の俺は知識だけなんで」


「知識だけ、ときたか……はぁ……まあ、好きにすればいいわ。どうせ、あんたじゃ、大きな事はできやしない。おかしな事さえしなければ、私は何もしない」


 言いながら、心の中で、


(むしろ、何もできなさすぎるんじゃないかと心配しているところだわ……ウイングケルベロスは召喚できるようだけど、飛行ユニットの召喚は、条件さえ整えれば、召喚士でなくとも出来るスキルの一つでしかない……判断材料にはならない)


 UV1がそんな事を想っているなどとは全く考えていないゴートは、軽くノンキに、


「助かりますねぇ」


 ニコっと微笑みながらそう言った。


 なぜ、UV1の心境に気付けないか。
 それは、ガチャルトホテプに対する『互いの認識』に差があるから。


 ガチャルトホテプの召喚によって、
 UV1は、ゴートの召喚能力が劣化したのではないかと疑っている。


 だが、ゴートは、魂レベルで、ガチャルトホテプが本物の『究極超神霊』だと認識している。










 そんな認識の差――いわゆる擦れ違いが、ここから、ちょいとした問題を起こす。










 UV1は、少しだけ厳しい目つきになって、ゴートを睨み、


「大抵の事は好きにしていい。ただし、動く時は一声かけなさい。私には、お前の監視責任があるという事を忘れないように」


「いえす、まむ」


 ここまでは納得ができた。
 だから、ゴートは、ポップかつ素直に頷いた。


 ――しかし、


「……ところで一つ質問があるのだけれど」


「なんですか?」


「正直に答えなさい。お前の召喚能力、落ちているわね?」


「はぁ?」


 本気で『何を言っているか分からない』という顔で、後ろからついてきているUV1に視線を向けるゴート。


 しかし、ゴートのそんな表情が、UV1のかんにさわった。
 『本当に何を言っているか分からない』という顔は、『とぼけている』と決めつけてかかると、酷く不快な顔つきに見えて仕方がない。
 ゆえに、『この野郎、全力で誤魔化しにかかってきやがった』という怒りがUV1の脳内を占める。


 だが、ゴートにそんな気はない。


 そして、ズレていく。





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