『経験値12000倍』のチートを持つ俺が、200億年修行した結果……

祝百万部

17話 悲報 『セン、アダムのバター犬になりたがる』

 17話










 『ごめーん、私、もう、君より強いかも~』
 そんな事を言われたセンは、
 コメカミに、グニャっと怒りマークを浮かべて、


「ほざくじゃねぇか……」


 バチっと、センの全身に電気が走った。
 無詠唱で、究極超神化してみせる。
 もちろん、口に出した方が楽だけれど、
 今では、気合いを入れるだけでも、究極超神化までなら可能となった。


 これまででは出来なかった事。
 だが、世界が進化し、センも進化した。
 故に辿り着いた世界。


 ほんのわずかな時間で、
 しかし、センは確かに進化した。
 ぶっちぎり最強だった神が、カンストしてからも、念のためと溜めていた余剰経験値を清算し、最果ての向こうへと至った。




 世界進化前、カンストに達してしまってからも、センは、決して怠らなかった。
 救済に多くの時間を費やすようになったのは事実。
 しかし、鍛錬を怠った事は一度もない。
 カンストしてからも、『次に至る手段はないか』とセンは必死に探した。


 探して、探して、探して、
 けれど、もう『先』はないのだと気付いた。
 だから、絶望した。
 ゆえに、自殺を選んだ。
 しかし、センは、自殺を実行に移すその直前、ギリギリまで、
 決して緩まなかった。
『ないのか?! 本当に、もう、俺は終わっているのか?!』
『未来よ、生き返れ』
『頼む……』
『頼むから……』


 そんな絶望の中でも、


『開け! 進化しろ! 次を見せてくれ! これだけやっているんだ! せめて、ほんの少しだけでもいいから! 頼む! 俺の可能性! 頼むからっ!』


 センは拳を握り続けた。
 絶対にたゆまなかった


 けれど、


『むり……だ……もう、なにもない……俺は……達して……しまった……』


 事実は事実だった。




 ゆえに、センは自殺を実行した。
 あれだけ忌避していたはずの逃避。




 ――しかし、だからこそ、センは辿り着いた。




 センは、決して逃げなかった。
 逃げなかったという証だけを求めて、いつも、地獄をさまよってきた。


 そんな男が、自分を殺した。
 だからこそ、道は開いた。


 ただの自殺ではダメだ。
 それは、ただの逃避。
 そもそもにして自殺が醜いか尊いか――そんな事はどうでもいい。
 セン『は』、自殺を、最も忌むべき逃避だと認識している。
 それが、センにとってのすべて。


 だから、問題なのは、
 センほどの、決して逃げずに、全ての絶望と闘ってきた者が、
 自分を殺したという現実。
 それだけ。


 ゆえに、トリガーとなった。






 だからこそ、世界は進化した。
 センの絶望が、世界を次のステージへと押し上げた。




 事実がどうか、そんな事は知ったこっちゃない。
 しかし、センの中ではそれが事実。


 そして、
 だから、
 センは今に辿り着いた。


 現世の全てを背負い、
 絶望を殺しつくして、
 200億年を積んで、
 神の最果てに至って、
 ついには、自分を殺すほどの絶望に沈んで、




 解放されて、
 至った今。










 さらなる『先』に足を踏み入れた、最強の神。
 神界の深層を統べる暴君にして、運命を調律する神威の桜華。
 舞い散る閃光、センエース。










 だから、センは思う。
 センには、その感情を抱く権利がある。














『ナメんなよ』














 センは、眉間にグっとしわを寄せて、




「アダム、喜べ。その力を、俺で試す許可を与える」


 片足だけでトントンと、軽くジャンプしながら、
 スゥと腕をまわし、


「もし、俺に一撃でも入れる事ができたら、特別に……俺の本気を見せてやるよ」


「おおせのままに」


 そこで、アダムは、センの目をジっと見て、


「闘う前に、一つ、約束をしていただきたいのですが」


「なんだ?」




「この闘いで、私が勝ったら……いえ、間違いなく勝ってしまうのですが……」


 などと、ナメた枕を置いてから、


「私が勝ったら、私の……『永遠の伴侶になる』と誓っていただきたいのです」




「……」




 センは、青筋をたてながら、ギィっと鈍く笑う。
 怒りで、奥歯が軋んだ。
 血走った眼球。
 ワナワナと震える肢体。




 ――センは、アダムに惚れている。




 すげぇ女だと認めている。
 純粋に美しいとも思う。
 ぶっちゃけ、性格も見た目も、理想ど真ん中。


 嘘ではない。
 アダムは、シューリと真逆といっても過言ではない女。
 ゆえに、センの、理想ど真ん中。
 心の底から憧れた女と、全く違う性質を持つカッコイイ女。
 それほどそそる女、ほかにいねぇ。




 だから、センだって、『出会えた』と、思ったのだ。




 間違いなく、センは、アダムに特別な感情を抱いている。




 しかし、










「ぼけが……ぁあ、いいだろう。誓ってやる。伴侶なんて高尚な地位はおそれおおい。もっと下でいい。……もしも、てめぇ『ごとき』に、負けるような事があったら……この先、てめぇに従順な永遠のバター犬として生涯を過ごしてやらぁ」












 それと、これとは、話が別だ。







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