『経験値12000倍』のチートを持つ俺が、200億年修行した結果……

祝百万部

19話 それに

 19話










「今後の現世、第2~第9アルファについてだが……」










 そこで、神は、厳かに、


「これまで、無駄に時間だけはあったんだ。『任せられる優秀なヤツ』の数万~数十万くらいいるだろ?」




 丁寧に言葉を並べていく。
 質問ではなく確認。




 砕けた口調。
 ゆえに、より高く感じる頂きの質。
 究極の自然体。
 本物の上位者。




 ただ、自然に、ただそこに『存在』するだけで、この上なく完全な絶対者たりうる――




「第2~第9アルファの事は、『天下よりも下』の奴らに任せて、お前ら――『ゼノリカ』は、今後、死力を尽くして存在値を磨け。後ろにいる九華。お前らもだ」


 主に声をかけられて、九華の者達は、みな、ハっと息をのんで硬直する。
 声が出ない。
 体が震えている。


 ――主の威光は、あまりにも輝きが強すぎる――






「――『今』に甘んじるな。今日を置き去りにしていけ。これからは、常に『そこ』よりも高い『どこか』だけを目指せ」




 目の前にいるのは、ただ、ちょっと意識をリンクさせただけの化身。
 なんだったら、今の状況は、ラジオを聞いているのとほとんど変わらない(マジの『神の声』なので、ラジオだろうがなんだろうが、凄まじい事に変わりはないのだが)。


 ただの変わったオーラドール。
 主本人ではない、ちょっとした分身の一つ。


 分かっている、そんな事。
 だが、


 その耀きから、目が離せない。






 その遠さが、むしろ――矛盾している表現かもしれないが、けれど、実際、溺れるほどに心地いい。
 この御方が、『ここ』ではない『どこか遠く』に、しかし『確かに』おられる。
 その事実に、胸が震え、高鳴り続けている。




 ――主はおられた――
 簡単な一文、しかし、なんと……なんと喜ばしい事かっ!




「世界統治のシステムは既に完成しているはず。現世の支配に関しては、『そこそこ統治の才能』がある『テキトーなヤツ』に任せて、今後、『可能性を持つ者』は全員、『自身の存在値を磨く事』だけ考えるようにしろ。全員で限界を超えていけ」


 そこで、主はニっと微笑み、小さな太陽から、御立ちあそばされて、
 右手を腰にあて、左手で、『地』を指さしながら


「最悪、今後、現世で何かがあった時は『俺』が出てやる。どんな問題がおころうと、一瞬で解決してやるよ」


 // これまでのセンは、他の世界に転生してしまうと、第2~第9アルファには手が出せない状態になっていた(無限転生のルールの一つ。他世界への移動不可)。しかし、無限転生という枷が破壊され自由になったセンは、いくらでも世界を行き来する事が可能となった。
 ならば、なんの問題もない。
 最悪、自分が出ればいい。
 それで、全て解決する。
 頭を使うのは得意じゃないが、
 センの領域まで至ってしまえば、小難しい事を考える必要などない。
 現世に、『センの介入』をどうにかできる『可能性』は存在しない。 //




 そこで、主は、左手を腰にあて、右手で『天』をさしながら、


「くだらない縛りはなくなった。クソつまんねぇだけの『世界管轄や事務処理に忙殺される日々』に『さよなら』を告げろ。退屈は終わりだ。これからは収穫祭といこうじゃないか」


 舞い散る閃光は、かく語りき。


「強くなれ、賢くなれ、高くなれ、遠くなれ――なんだったら、俺を超えてみろ。無理か? 当たり前だ。それでもやってみろ。『今の俺』くらい、超えてみろ。無理だと嘆く前にあがけ。積み上げた根性を数えてみせろ」




 神の言葉に、誰もが喉をつまらせる。
 どんな命令でも、命をかけて実行するつもりではいるが、




「師……よ……」




 ついに、平熱マンが、口を開いてしまった。
 先は続かない。
 しかし、想いは表情に溢れ出ていた。






 ――それだけは、出来る気がしない――






 何を言われても、
 どれだけ焚きつけられても、




 ――あなた様を超える事だけは、出来る気がしない――




 言葉を浴びるほどに、その想いは強くなる。


 平に続いて、ゾメガとミシャも、思わずうつむいてしまった。
 高みを知っているがゆえの躊躇。




 それを受けて、神は、ニコリと微笑まれて、








「できるはずだ。……限界や不可能なんていう無粋な輩は、俺のこの手が、残らず殺してしまったのだから。それに……」






 主は、一歩、『皆』に近づいて、両手を、柔らかな翼のように広げて、












「お前たちは――この俺に愛されているのだから」












 一気に、濁流のように、主の御言葉に『応えたい』という欲求が膨れ上がっていく。


 信じられないほどの、感情の奔流。




 ――魂がわめいていたんだ。




 みなの胸に湧き上がる。
 ――神の愛に応えたい――
 これほどの御方に愛されているという、その、もったいない祝福に報いたい。


 ゆえに困惑が加速する。
 想いに応えたい。
 けれど、出来る気がしない。


 ああ、主よ。
 天そのものよ、
 光のみかど










 ――この歯痒はがゆさすら愛おしく存じます――










「これから俺は、無限を目指す。ついてこい。以上だ。アダム、あとは頼んだ。俺は練武の続きに戻る」


「かしこまりました」


 神前の礼を尽くし切っているアダムを残して、






 この上なく尊い神帝陛下の『意識のカケラ』は、アバターラから消えたのだった。









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