『経験値12000倍』のチートを持つ俺が、200億年修行した結果……

祝百万部

7話 バロールは緊張しぃ

 7話




 そこは、『世界の中心』を彷彿とさせる場所だった。


 主により直接『桜華堂』と名付けられた大講堂であり、
 主によって創造された裏ダンジョン『ゼノリカ』の最奥にある。










 ゼノリカは、上から、


 『創玄神層そうげんしんそう


 『真霊上層しんれいじょうそう


 『式彩中層しきさいちゅうそう


 『世渡下層せとかそう


 『塔最下層とうさいかそう




 の5層構造になっており、


 『ゼノリカ内での立場が高い者』ほど、
 『創玄神層に近い場所』に――『己の世界』――を築いている。


 ゼノリカは、段積みになっている訳ではなく、
 それぞれの層が亜空間で独立しており、
 『ゲート』だけが繋がっているタイプの複合ダンジョン。






 『ゼノリカに属する者』なら誰でも入れる『塔最下層』は、
 9999階建ての恐ろしく巨大なタワー。


 『最も身分の高い者』しか入れない神層は、
 アホほど豪華な城や宮殿で溢れ返った、超巨大アルファ。






 と、各層は、それぞれ固有の特徴を持つ。




 桜華堂が存在するのは、『ゼノリカに所属する者の中でも上位17名』しか足を踏み入れる事が出来ない創玄神層。
 通称『神聖域』の最奥。


 桜華堂の外見はシックな宮殿。
 けれど、荘厳さはヒシヒシと感じる。


 内部は、どこも輝いている。
 けれど、ケバケバしさは感じない。
 整えられた美しさがそこにはあった。


 外見は、完全に『10円に書かれているアレ』、
 中身もほぼソレ。


 堂内の扉や壁は極彩色の絵画で飾られている。
 天井や柱は、抑えめな色だが、それでも比類なき美しさで満たされている。




 その中殿に位置する『主の間』。
 十七の柱に支えられた広間。
 無数に並ぶ軍配形の窓から注がれる柔らかな朱色の太陽光。
 夕暮れの輝きで満たされた幻想的な空間。






 その荘厳な広間のど真ん中にある、十七人用の円卓に、二人の男女が腰かけていた。






 男――というより『老人』は、優雅に本(分厚いハードカバー)を読んでおり、
 女――というより『少女』は、足をくんで、前後に体を揺らしながらイスをカタンカタン言わせている。


 老人は、真っ白な長い髪と顎ヒゲを生やしており、荘厳なローブを纏っていて、常に、『価値のある時間を重ねてきた者』にしか纏えない『タダものでない空気』『暴風のような威厳』をバリバリ発している。


 対して、少女は、サイズの合っていないダッフルコート(センから貰ったもので、名前はレオン)を着ている、ませた中学三年生みたいな『幼いが幼すぎる訳でもない』という風貌だった。両手をダッフルコートのポケットにつっこみ、定期的に、アクビをするフリをしている(内心、めちゃめちゃそわそわしているが、バレないように演技をしている)。




 そんな老人と少女の背後には、それぞれ2人ずつ、
 老人と少女ほどではないが、『圧倒的強者のオーラを纏った者』が、
 背筋をピンとたてて、緊張を隠さず、直立不動の姿勢で、
 ひたすらに、ただ、まっすぐ前だけを見つめていた。




 途中、緊張感に耐えられなくなったのか、
 『ダッフルコートの少女』の後ろに立っている『凶悪に高そうな鎧を纏ってる背の高い男』が、


「うぅぇ」


 真っ青な顔をさらに青くさせて、口元を抑えた。


 装備品も体格も威厳たっぷり。
 しかし、その『表情』だけは、非常に頼りないソレで、
 まるで、奇病にでもかかったかのように真っ青だった。


 普段の『彼』は、配下から『どんな地獄を前にしても泰然としている理想の超越者』と評されているほどの、圧倒的な胆力を持つ偉丈夫。
 現世においては『最上位の地位』に在る『一つのアルファを統べる王』の一人なのだが、


「うぷっ……」


 今の『彼』は、『頼りない』という概念を全力で表現しているかのような、産まれたての子ヤギ以下の酷い有様だった。


 『彼』の、そんな『極限を超えた緊張』を背中で感じとった『ダッフルコートの少女』は、視線を向けることなく、アクビをかみころすフリをしながら、


「バロール、落ちつきなさい。緊張も、度を過ぎれば不敬にあたるわ」


 変わらずイスをカタンカタンいわせながら、そう言った。
 見た目と声には幼さが残るが、発する雰囲気には幼さなど微塵もなかった。


 『少し離れた場所に腰かけて本を読んでいる老人』ほどではないが、
 『ダッフルコートの少女』も『確かな威厳』を感じさせている。


 パラリと、ページをめくる音がした。
 老人の本を読む手に震えは微塵もない。
 もし、そこに座っているのが、『その老人』以外の誰かであれば、『それ』が『どれほどの地位にある者』だったとしても、手が震えてページなどめくれないだろう。
 というか、ここで本など読めない。










「も、申し訳ございません、ミシャンド/ラ様……」










 そう言って頭を下げたバロール。
 その隣で直立している『いかつい顔』をした『おぞましく高そうなドレスで身を包んでいる、バロールよりも頭一つ背が高い女性』が、バロールの頭を見下ろして、


「偉大なるゾメガ様とミシャンド/ラ様の前だというのに、なんたる無様……」


 あきれ果てたように、顔を歪ませ、


「緊張するなとは言わない。しかし、絶対に吐くなよ? もし、この神聖域――『主の間』で、少しでも吐いたりしたら、私がこの手で貴様を殺す」


「は、吐くか、バカが。……し、しかしだな……こ、これから『神帝陛下』にお会いできるかと思うと……どうしても……うぅ……」




「ああ、みっともない……栄えある『ゼノリカ』の『天上』、『九華』の一人ともあろうものが、そのような無様をさらすとは……」





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