センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

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6話 冒険者試験の受かり方

 6話




 そこで、ニーが、


「ま、なにはともかく、今考えないといけないのは、冒険者試験に落ちないようにするって事だね」


 そう言った。


 ゼンは、コクっと頷いて、


「ああ、そうだな。まずはそれだ。今は、『先』について、ゴチャゴチャ考えるよりも、そこをなんとかしないと……」


 いったん、頭を切り替える。


(ニーの言うとおり……冒険者試験に落ちない事が、現状の第一……しかし……)


 心の中でつぶやきながら、顔を曇らせて、


「……今のままだと、正直、厳しい……受かる可能性はあるが、落ちる可能性も充分にあるって状態だ……まずい……」


 今のゼンの『全力』は、おそろしく強い。
 だが、ソレは、かなり『限定的』な強さ。


 目の前にいる試験官を倒せば合格――これならば確定で受かる。


 しかし、冒険者試験は、そうじゃないパターンの方が多い。
 というか、まず、試験は一つじゃない。
 毎年、5~7つほどある。
 『戦闘で勝つ系の試験』だったとしても、『勝ちぬき戦』だった場合はきつい。
 5分で全てが終わってくれるとは思えない。


(考えれば考えるほどキツい……つぅか、俺よりも、シグレがヤバい。召喚獣禁止の試験だったら、その時点でアウトだ。こいつの素の力は弱過ぎる……アカコー行ったくらいだから、頭はそれなりだろうが、冒険者試験は、『剣と魔法が軸となる、この世界』での『上位者』を選別する試験……『頭だけはそこそこです』じゃあ話にならない)


 思考の奥で、ゼンは、


(確率をあげる必要がある。……てっとりばやいのは、強い味方……強力なサポートメンバーがいればグっと楽になる……頭・力、全てが優れている者……この世界で言えば……『勇者』が該当するが、『こいつ』は既に、冒険の書を持っている)


 当然の話だが、冒険の書を持っている者は、冒険者試験を受ける事ができない。


(つまり、冒険の書を持っていない強者の仲間が必要だ……くっ……意外と難しくないか、その条件。冒険者になれるだけの力があるやつは、とっくの昔に、冒険者になっている。冒険者ではないが、冒険者試験で強力なサポートができるほどの実力者……試験までは一週間を切っている……見つかるのか、そんなヤツ……世界中を探しまわれば、そりゃ、いないこともないだろうが、問題は、やはり、見つかるかどうか……試験中に、よさそうな奴を見つけて買収か脅迫……それが現実的か?)


 ゼンは、責任感の重さに押しつぶされそうになっていた。
 『シグレがどうなろうと知ったこっちゃない』と言えたらどんなに楽だっただろう。


 シグレが受けた呪いは、結局のところ、『シグレが無間地獄に落ちるか落ちないか』しか問われていない。
 つまり、ぶっちゃけ、ゼンは関係ない。


 『しーらねっ』と投げ出せば、それで終わる。
 あとは、親指の爪でも剥がして、忘れてしまえば、ザッツオール。


 だが、出来ない。
 『自分が頼んだ』
 『それが原因』
 この重荷を捨てられるほどゼンの精神は『至って』いない。


 ゼンが助けなければシグレはあの場で死んでいた。
 その前提条件は非常に頼もしい。
 けれど、そういう問題ではない。


 『だから、投げだせるか』と言えば、そういう問題ではない。


 もっと言えば――というか、ともすれば、


 『自分が余計な手を出したせいで、ちょっと拷問を受けて死ぬだけで済んだ女を、無間の地獄に導いた』


 とも考えてしまう。


 そんな事を考える必要なんかない。
 どうせ他人事だ。


 放り出して忘れてしまうのがどう考えてもベスト。




 ――そんな事はわかっている――




 けれど、だからこそ、――『だからこそ』というのは、実際、ぶっとびで『おかしい』のだけれど、しかし、やっぱり、だからこそ、結局、ゼンは、






「……『使えるコマ』がいる……あと一週間、全力でサポートメンバーを探す。最悪、見つからなかったら、試験中にスカウト……」






 当然のように、シグレと共に闘うと決めた。


「予選すら通らないって可能性が、あり過ぎて恐いから、やはり、事前に捕まえておきたいってのが本音だ。……せめて、一人、まともな頭と身体能力を持ったヤツ。金で雇うでも、俺の力で脅すでも、手段は、もう、マジでなんでもいい……とにかく、使える戦力がほしい……」


 ゼンとシグレ。
 二人の持つチートは凄まじいが、それが使えない場面では、どちらも、微妙。
 身体能力と頭脳という点では二人とも大した事がない。


 どちらも『バカ』ではないが、『飛びぬけて優れている』とは言い難い。


 絶対に落ちる事が許されない試験に挑むには、あまりにもこころもとなさすぎる。


 身体能力に関しても、ゼンの場合は、まだ魔力と高い生命力があるが、シグレの方は、本当にただのザコ。






「……『結局、誰ともチームを組めず、俺らだけで挑まざるをえない』って最悪も想定して、アイテム回収に、冒険者試験に関する情報収集も必須……課題が山積みすぎて、つらい……」






 もし、ゼンが――『閃壱番』が『ここでシグレを放りだせる人間』だったなら、彼は、そもそも、こんな所にいなかった。




 // 魂の深部に宿る、その『異質な高潔さ』がなければ、
    『究極の神』になる事などありえなかったから //




 ゼンのつぶやきを聞いたシグレが、そこで、


「そんだけ心配してくれて、ぶっちゃけ、メッチャ嬉しいねんけど、あんたの辛そうな顔は、できるかぎり見たぁない。しゃんとせぇ。あんたは、あたしのヒーローなんやから、どんな時でも、堂々としといてくれな困るで」


「勝手に困っとけや、あほんだらが。今の俺には、お前のザレゴトに付き合っていられる余裕が1ナノたりとも――」


「あ、ちなみに、言い忘れとったけど、チームならすでに組んでるで」


「あん?!」


「盗賊を狩りに行く前に、ちょっとした出会いがあってなぁ。ある男と……ぁ、変な心配はせんといてや。そいつは、間違いなく男やし、誘ったんはあたしやけど、あのクズに、そういう系の感情はゼロやから。あたしは、いつだって、あんた一筋やで」


「んな事、ほざいている場合か、状況を考えろ、アホが。くだらねぇ事ダラダラ言ってねぇで、お行儀よく、必要な情報だけ並べてろ。いったい、どんなヤツと組んだ? 足手まといのゴミじゃないだろうな。今の俺達に、カスのお守をしている余裕は――」


「足でまといにはならんと思うで。なんせ、この世界で最強の個である勇者やし」










「……あ? どういう――」









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